表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/201

153話「ヒーローたちと再びの再会!!」

 操縦席でヨネ校長が黙々と操縦。側にノーヴェン。


 そしてオレはナッセ。一緒にいるのがヤマミで、肩に乗っているネコがウニャン。

 ニコニコしながら荷物を整理するスミレ。床にカードを並べてデッキ構築に悩むミコト。瞑想するように目を瞑って静かに正座するコマエモン。壁に背を付けて腕組みするマイシ。推しキャラのアニメグッズをキリッと見つめるコハク。無駄にハイテンションなモリッカ。

 なんか銀狼のモフモフに顔を埋めて幸せそうなクスモさん。あとその他。


 ……そんなこんなで個性的なメンバーを載せた創作戦艦アニマンガー号は、ついにアメリカ合衆国の象徴である自由の女神の上を通っていく。


「わー!! 本物だー! 初めて見たよっ!」

「マジでデカいーッ!」


 窓から大きな緑色の女神像を見下ろして、リョーコとエレナは目を輝かせていた。

 聖火を掲げるポーズで、七本の突起が放射状に突き出ている王冠を頭に本を抱える女神。衣服はヒマティオンと呼ばれるウェーブがかかった全身を覆う布だ。

 誰でも知っているアメリカの有名な巨大像……。


「実際に見てみるとデカいものだな」


 フクダリウスですら驚きに満ちていた。

 オレたちや資産家のノーヴェン以外はアメリカの地を踏んだ事がない。こういう事態でもなければ行く機会はなかったかもしれない。

 それはオレたちも例外ではないはずだった────。



「また……アメリカに……」


 懐かしいような久しいような高鳴りを胸に、ビルが立ち並ぶ広大な景色を視界に入れていく。

 その一方で残念な気持ちもあった。


 あくまでアメリカに在住するヒーローと知り合ったのは幾度か前の並行世界(パラレルワールド)での出来事に過ぎない……。

 もちろん会えたとしても初めてになるから、向こうはオレたちを知らない。

 オレとヤマミみてーに並行世界(パラレルワールド)を渡って記憶を持ち続けるなんてのは普通できない。そんなのは当り前だ。

 だが分かっていたとしても……、やっぱり寂しいなぞ……。



《待っていたぞ……! ニンジャ・ナッセにマジカルガールよ!》


 しょぼくれていると、どこからか声が聞こえた。

 マイシたちも動揺して辺りを見渡す。しかしヨネ校長は「大丈夫。前を見なさい」と落ち着いている。言われるままに眼前を見ると、窓の向こうに緑の炎が轟々と人型を象っていた。


「なに……これ……?」


 いや知らん。つかヒーローなのかぞ?

 汗を垂らして内心戸惑っていると、炎の人はスウッと室内へすり抜けてきた。


「ぎゃあああああ!! オバケだぁ────ッ!!」


 涙目で慌てふためくリョーコ。エレナも腰にしがみついてブルブル震えている。



《HAHAHA! 驚かせてすまない! 自己紹介しよう。初めまして私はスペースオブザーバー》

「あ、なんか聞いた事あるぞ!」

「うん!」


 ヤマミも相づちを打つ。

 直接会った事はないけど、宇宙すら駆け抜けれるほどの偉大なヒーローで、宇宙全ての出来事を観測できるとか言われていた。オレが言うのも変だが誇張しているんじゃないかって思うくらいだ。

 それでなくても彼は宇宙空間でも問題なく生体活動が行えるらしい。いつもいないのは宇宙で活動しているからってもっぱらの噂だ。


《気軽にスペースって呼んでくれていい》


 纏っていた緑の炎が消えると、中肉中背で筋肉隆々とラインが浮かぶ全身タイツで顔だけが露わになっている。

 ブロンド色の目、茶髪のツーブロックでイケメンさを表していた。

 しかも身長も一八〇越えで非の打ち所がない容姿だぞ。ぐぬ……。


「わーわー! イケメンじゃないー!!」


 リョーコがエレナと一緒にはしゃいでいる。ヤマミの方を見ると無反応だ。こっちに気付いて「ん?」と傾げてくる。そんな仕草かわいい。


 しかしスペースは制止の掌を差し出し「失礼。既婚者なので」と一言。その英語が分からず首を傾げるリョーコたちに翻訳してあげるとガッカリしてしまった。

 エレナはどさくさに紛れてオレの腰に抱きついて目をウルウルさせていた。


「ダーリーン、なぐさめてぇー」


 するとヤマミは仏頂面でエレナの腰をガシッと掴む。


「困ってるから離れて」

「いやだー! ジャマミこそ離れろー!」


 怒りマークを頭上に引き剥がそうとするヤマミに、エレナは離れまいと手足でオレにしがみつく。ぐぎぎ……!

 後にニコニコなスミレがこちょこちょして引き離してくれた。



「つもる話は後にしよう。……誘導しに来た。ついて来たまえ」


 スペースは再び緑の炎を纏うと、すり抜けて外へ出る。それを追いかけるようにアニマンガー号はアメリカ上空を飛行。立ち並ぶ高層ビルが過ぎ去っていく。

 やがて荒野が続き、日が暮れ始めていく。しばらくしていると城壁のようなのが見えた。まるで万里の長城のように彼方まで続いてそうだった。しかも五つぐらい向こうまで並んでいる感じだ。

 それを越えるたびにビキンと、無数の六角形で並ぶ障壁が波紋のように浮き出てくる。


 ははぁ、侵入者を防ぐための結界かなぞ?

 オレたちは許可されているから、すんなり入れてるみたいな感じか……。



「なんか見えてきたよー!」


 リョーコの奔放な声に、窓へ向かうとその夕陽の景色に言葉を失う。


 縦スクロールのシューティングゲームで見かけそうな要塞が見えてきた。夕日で赤いものの銀色の歯車のように突起がある円形の建造物で、中心部に周囲の複数の電光で囲まれている青白いコアみたいなのが灯っている。その周囲のあちこちで小さな施設などが複数ある。

 薄暗くなっていくせいか、その要塞の灯りが神秘的に輝いているようにも見えた。


 まるでSF映画の世界に迷い込んだかのような、近未来的な要塞だぞ。

 日没後、アニマンガー号は見渡しの良い滑空路のようなものへ滑るように着地していく。




「遠路はるばるご苦労。こここそが最高機密の大要塞。ようこそいらっしゃいました」


 学院から降り立ったオレたちを、スペースオブザーバーは両腕を左右に広げてニコリと微笑んで迎えてくれた。

 背景は夜空にライトアップが映える重厚な要塞。

 いやいやいや、これマジで映画の世界だ……。


 そして気付けば見慣れたヒーローたちが勢揃いで歩いてきていた。やばい緊張してきた。

 炎を模したスーツのバーニングガイ。

 黒仮面の黒タイツ男ダークシャドー。

 緑で統一された全身タイツのトルネードヴィーナス。

 骸骨を模した白い仮面に白黒織り交ぜた紋様の全身タイツのチェーンヘルザ。

 そして先頭は大きな頑丈な円形の盾を腕に、アメリカ国旗の模様の全身タイツのイケメンのキャプテンジェネラル。


 そんな懐かしい面々に思わず感動して心が昂ぶっていく。

 かつて地竜王グレンや星獣との戦いで共に戦ってくれたからだ。今でも鮮明に思い出せる。


 だが…………。



「おお! ニンジャ・ナッセ!! それにマジカルガールも!!」

奇跡(ミラクル)ヒーロー久しぶりね」

「フフッ、待ちわびていたぞ」


 まるで知っているかのように笑顔で迎え入れてくれる彼らに、思わず見開く。


「なぜ……? オレたちを??」


「水臭いぞ! 連絡もせず日本で星獣を倒しおって!」

「そうそう。並行世界(パラレルワールド)(また)いで記憶を保持しているのはアナタたちだけじゃないよ」

「厳密に言うとお前たちの転生術とは()()()()でだな……」


「ええっ? マジで?」


 呆然とし、これまでのヒーローたちとの思い出が走馬灯となって脳裏を駆け巡っていった。

 もう二度と会えないと思っていたのに、こうしてまた同じ知り合いとして会えた……。


「よかった……。また会えて本当によかった…………」


 安心に満ち溢れて、自然と涙が溢れ出してきた。


 慰めるようにバーニングガイが爽やかな笑みでオレの背中をポンポン叩く。

 トルネードヴィーナスも懐かしんでオレの手を挟み込むように握手。後ろのヒーローも優しい笑みを見せながら次々と握手をしてくれる。

 かつての過ぎ去ったと思っていたはずのヒーローたちとの感動の再会……。



「あァ! 俺ァ忘れんなよォ…………」


 ドスンと足を踏み鳴らしてきて、それに振り向けばアクトが不敵に笑んでいた。

 その側で飄々(ひょうひょう)としたシナリもいた。


「アクト! それにシナリも!!」

「へへっ! ご無沙汰してたなァ……。ちなみにヒーローと一緒に星獣ァ挑んだ記憶もあるぜ」

「カオス枠のオイラもよろよろ~!」


 なんとアクトまで、向こうの並行世界(パラレルワールド)での記憶を!?

 恐らくシナリも、そしてここにいる誰もが同じような状態になっているのか?


 スペースオブザーバーが歩いてきて、ワケありな笑みを浮かべる。


「なぜ我々が他の並行世界(パラレルワールド)の記憶も持ってるか、その理由を説明しよう……。恐らく四首領(ヨンドン)ヤミザキたちは、間違いなく最高機密である()()を狙ってくるに違いない」

「な、なんだって!!?」

「さ……最高機密ですって…………!?」


 そ、それは一体なんぞ…………?


 ここまで五重に結界を敷くほど厳重な防衛システム。

 そして中心部に青白いコアを抱いている要塞になにか重大な秘密があるのか?

 なにか大きな出来事が起きそうで胸騒ぎがザワザワしてきたぞ。



「えーちょっとぉ! 英語で話さないでよー! わっかんないじゃないー!」


 プンプン不機嫌なリョーコに、思わず「あ……悪い」と謝る。

あとがき雑談w


スペース「ちなみに宇宙全ての出来事を知るうんぬんはガチで誇張だぞ。魔女クッキー様じゃあるまいし!」

ナッセ「そ……そりゃそうか……」

リョーコ「えー! 宇宙人いるかどうか聞きたかったのにー!」


スペース「星間移動はできずとも宇宙へ出れるぞ! HAHAHA」


リョーコ「マジでぇ??」

スペース「人工衛星のメンテナンスや修理や、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去など地道な活動が主なだね」


ナッセ「そうだったのか……」

リョーコ「なにそれ! つまんないー!」(*`3´)ぶー!


スペース「あと霊体化して見れない内部を確認したり修理したりできるんだ! HAHAHA!」


ナッセ「あー、それで壁をすり抜けてたのかぞ……」


※なおスペースさんの出番はここで途絶えてます……。

(最終回にすら登場しない)



 次話『最高機密要塞の秘密が明らかに……?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ