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149話「征服の予兆……!!」

 ────あれから数日後。

 大阪の復興が進んで、ようやく町並みも整ってきて賑わいも戻ってきた。

 だが……。


「どうしたの?」


 視線を鋭くした。

 普段通りヤマミと一緒に高架橋沿いの道路を歩いて、ようやく人通りが多い交差点に出た。一見、以前と変わらぬ交通のように見える。だが、どこか違和感がしていた。


「気付いているなら、話は後だ……」

「うん。あなたも?」

「ああ」


 ヤマミと小声でボソッと会話。いつものように振舞わなければ……。



 アニマンガー学院は相変わらず健在と建っていた。


 学院では二通りの勉学があり、そのまま漫画やイラストなど普通に創作する生徒と、実際にモンスターなど脅威となる敵を倒したり未知の洞窟(ダンジョン)などを探索していく生徒の二通りを導いていた。

 ちなみに両方とも学べるよう相談して学科を決める事も可能だ。


 オレたちはやや後者の勉学に傾倒している。



 とある『仮想空間(バーチャル・ルーム)』の岩山連ねる荒野で、マイシと実戦形式の修行を始めていた。

 それをモニターでヤマミたちは行方を見守る。


 光の花畑を広げて、二枚羽を背中に滞空させたオレは妖精王形態になっていた。更に二枚を追加して四輪羽だ。

 対するマイシも焦りを滲ませながら、ウロコを象って上昇するように流れる竜のエーテルを纏っている形態。激しく噴き上げる灼熱が周囲に高熱を撒き散らす。

 荒野は二つの力場の一触即発な威圧で震え上がっていた。


「行くぞッ!!」「かあっ!!」


 互いに地を蹴って大地が爆ぜる。マイシの剣と交差。ガッ!!


 ドオオオオオンッ!!!


 途端に大気の破裂音と共に爆裂が広々と四散した。周囲に波紋のように余波が吹き荒ぶ。岩山が揺れるほど大地が激しく振動。巻き上がった土埃が遠のくように舞う。

 ギリギリと鍔迫り合いして、共に睨み合い。


「おおおおおおっ!!」

「かあああああっ!!」


 その場で剣戟を繰り返し、爆裂散る連撃によって足元の地盤をも削り散らしていく。

 全くの互角だ。お互い、相対するものの同格の上位種族の力同士でぶつかっている。今度は上昇しながら剣を打ち合っていく。最後に渾身の『炸裂剣(バーストソード)』を打ち合って、爆ぜた爆裂でマイシと共に間合いを離れた。


 それでもと空を翔るようにあちこち激しい剣戟を繰り広げていく。

 花火のようにあちこちで爆ぜた爆裂が連鎖していく。



「火竜の爆裂散弾(バーストブリッド)ッ!!」


 マイシは機関銃のように灼熱の光弾を乱射する。それに対し、後方へ引いた拳を前方に突き出す。


「デコレーションフィールド!! 攻撃無効化!!」


 業火球を全て拳一つで巻き込み、渦を巻いて蝶々の群れに散らした。マイシは見開く。

 あのゴン蔵さえ耐え切れなかったほどの苛烈な猛攻すら霧散させるナッセの浄化力に、誰もが目を丸くした。



「あれが……浄化の妖精王。……これがナッセ本来の力か!」


 フクダリウスも汗を垂らして驚く。

 今までマイシに真っ向から挑んで力負けしていたナッセが、今や互角に打ち合えるほどにパワーを増していた。

 竜の攻撃を避けたり弾いたりで工夫しながらではなく、純粋にガンガン打ち合えるのは大きな飛躍だ。



「なんか悔しいし……」


 終わった後、項垂れたマイシは恨み節みたいに呟いた。

 ヤミザキにやられただけではなく、ライバルと認めた人にフィジカル面で追いつかれた事も追い打ちになったのだろう。

 だが、マイシは自分で自分を落ち着かせた。そしてこっちを見る。


「あたしは必ず進化してやるし! このままでは済まさんし!」

「ああ! きっと進化してくると思ってる」

「フン! せいぜい首を洗っておくんだなし」


 お互い不敵な笑みで拳をぶつけ合う。なんかいいなコレ。

 某漫画のライバル同士の掛け合いって、こんな感じだよな。なんかワクワクすっぞ。





 広大な庭園広がる中心に立派な屋敷が立っていた。

 例えるならば一般的な学校のような大きさと構造で、古風な雰囲気を醸し出している。


 ────夕夏(ユウカ)家本陣。


 真紅の絨毯、シャンデリア、テーブル、机、イスなどに加え、骨董品のツボや絵画も飾られている。更に名刀が何本かご大層に並べられている。

 この書斎に住む者の趣味がありありと表れていた。


 ヤミザキは大きな鏡を前に、曇った顔をしていた。額の斬られた角の断面。

 そう、これはナッセの奥義が掠った傷跡だ。


「これまでカルマホーンの除去を色々試みてきたが、いずれも無駄だった。なのに……何故だ?」


 そう、あれから数日経っているというのに元通りにならなかった。

 ただ角の断面がそこにあるだけだ。


「ナッセは剣士(セイバー)のはずだ。いや例え高レベルの僧侶(プリースト)の浄化力をもってしてもカルマホーンの浄化だけは不可能だ。なにか奥義に特性があるのか……?」


 それがヤミザキにとって懸念と、拭い去れぬ不安が胸中に滞っている。




 シャンデリアがたくさん吊るされている大広間。長いテーブルに豪勢な料理が並ぶ。

 総統でもあるヤミザキは威圧あふれる雰囲気で数十人もの我が子と共に食事会を開いていた。この広間の壁際で控えているメイドたちが等間隔で並ぶ。


「我が誇れる王子たちよ。こたび、久しい食事会に集まっていただき感謝する」


 第一子コクア。美形の好青年。黒いスーツを身に包み、マントを羽織っている。

 第二子ブラクロ。ピンク染まる豪華なドレスを着て、占い師の水晶玉を持っているが実は中性的な男。

 第三子ダグナ。歳によらず大男で厳つい顔をしている。

 第四子ライク。ツンツンに逆立った金髪で勝気な性格。

 第五子カゲロ。ツンツンに逆立った黒髪で寡黙な男。ライクとほぼ容姿は似ている。


 そして以下の五人は俯いたまま戦々恐々と冷や汗で震えていた。

 第六子ウユニーギ。紫の紳士服にマント。銀髪のギザギザな髪にイケメン。

 第七子ホエイ。チビは緑の紳士服にマント。黒髪オカッパでオカマオッサン顔。

 第九子カンラク。赤の紳士服にマント。赤髪ロン毛で馬面っぽい顔。

 第十子ギュラー。大柄長身の青の紳士服にマント。坊主頭で無精ひげをぼうぼう生やすオッサン。

 第十一子ムイリ。長身優男の黄色の紳士服にマント。モヒカンでパイナップル見てーな縦長な顔。

 彼ら五人は『夕夏(ユウカ)家五戦隊』と自称して、戦隊じみたチームを組んでいた。だがナッセたちの襲撃に歯が立たなかった。


「まぁ、そう震えるでないぞ。貴殿らにもチャンスを与えよう」


 屈辱の敗北は許さぬはずのヤミザキも和やかな顔で言い放つ。

 五人の王子は目を丸くして「は、ははー! ありがたき温情! 期待に応えられるよう精進します」と頭を下げる。

 彼らはじんと総統様の懐の広さに感動していた。



 今度は厳つい顔のダグナが口を開ける。


「失礼します。伺うのも恐れ多いのですが第十二子ヤマミ殿と第十三子マミエ殿は同席なされぬのですか?」

「いや気にする事でもない。マミエは別室で大人しくしてもらっている。そして今回はヤマミの件で話をしようと思っておった」


 ざわ、と騒然。

 これまでヤマミが才能なき者として、先兵として各地に送り出して情報を集めたりする雑務を与えていた。妹にあたるマミエの方が優秀な女性として、後継者の妻と育てられた。

 その対比は身内にも周知されている。

 誰もヤマミの事など気にかけず、ほとんど話題にされていなかった。


「……ヤマミ様の事で?」

「うむ」


 第一子コクアは怪訝だ。


「とりあえずこちらのヤマミは始末しておいた。だが、黒マフラー女がもう一人のヤマミだった」

「ええっ!?」

「なんですと!?」

「……まさか、あのヤマミ殿が?」

「ああ? 恐ろしいほど強い黒マフラーがヤマミだとぉ??」


 黒マフラー女の脅威は夕夏(ユウカ)家の誰もが恐れているほどだった。

 こちらの内情をよく知り、影でコンパチ男を次々と消していった。各地の企業や研究所も潰されている。更に優秀な暗殺者や王子も行方知れずだ。

 今となっては()()()()とヤミザキは鼻で笑う。


「まさか例の『アナザー』の!?」

「恐らくアナザー側のヤマミだろう。あまりにもそっくり過ぎるのが気になるがな」


 夕夏(ユウカ)家の広い情報網により『アナザー』の件も捉えていた。

 どういうワケか、同一人物っぽい人間がこの世界に紛れ込んでいる。彼らはこの世界の人間と似た容姿を持つ。

 こちらの世界では白い肌の明るい人なら、向こう側は褐色の暗い人と()()()()()()みたいな感じだ。更にクラスや性格も違ったりする。

 そいつらはどこから来てどこへ消えるのか、未だ不明……。


 もしかしたら『空想(ファンタジー)』の進行による怪現象なのか…………?



「黒マフラーヤマミ。いや改めてヤマミアナザーとでも言おうか。

 こちらの箱入り娘と違い熟練された生粋の戦士だ。判断に迷いがない。恐らく幾多の戦場を潜り抜けたバージョンだろう。更に血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)に加え、時空間移動や偶像化(アイドラ)など厄介な能力も無視できない」

偶像化(アイドラ)……もだと……!?」

「ナッセたちの奇襲を受けて、接待した時の話だ」


 ここへ殴り込んできたマイシ、ナッセ、コハク、モリッカを返り討ちにした。その際に現れた黒マフラーがナッセたち全員を救助して撤退していった。

 ……という話をして、王子たちは「信じられん」という顔を見せていた。



「最近(ちまた)を騒がせているアナザーの件は『総統継承式』が終わってからでも遅くはない」

「ははっ!!」

「そして、もはや既に()()()()()()()! 始めるぞ!」


 影に覆われた不敵な笑みでヤミザキは手の甲の『刻印(エンチャント)』を赤く輝かせた。




 すると日本中の人々は全員、糸に繋がれた人形のようにピンと背筋を立てた。誰もが全員、手の甲に『刻印(エンチャント)』と両眼の瞳に夕夏(ユウカ)家の家紋マークが灯り出す。

 そして編隊するように足並みを揃えて、無表情のまま何かを目指すように向かっていった。

あとがき雑談w


『刻印で転生しながらTUEEEEEE無双してハーレムな件』


ヤミザキ「こんなにも子供が多いのは娶った美女だらけでウハウハしたからじゃ!」


アクコ「ヤミザキ様はわたしの夫よ! 引っ込んでなさい!」

シンエン「ふっ! わたくしの大巨乳に勝てるとでも?」ボヨ~ン

アクコ「デカけりゃいいってもんじゃないでしょーが!」


コアマ「あたしーヤミザキ様すきー! こんなロリババアを抱いてくれるもん」

キョム「………………極愛、体密着毎晩」

マアク「けひひひ! この褐色巨乳でヤミザキもデレデレ! ひひひひ!」

シテン「みんな仲良しですね……。一緒に夜ヤミザキ様と眠れぬ夜を過ごしましょう……」


 他にも何十人もいる妻がわらわらとw



ヤマミ「……ごめんね。こんなラノベ主人公みたいな馬鹿親父で」(怒)

ナッセ「気持ち分かるぞ……」(´Д`;)


 ※本編とあとがき雑談とではキャラが違っていますw



 次話『総統継承式でナッセとヤミザキ再びの対峙!』

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