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106話「限界ギリギリの決着! そして終戦!」

 日本はおろか世界をも揺るがす二つの力場の衝突がスパークし、放射状に散らばった電撃があちこち地面を穿(うが)ち、木々を断ち、残骸を崩す。


「ぎぎ……ぎっ……!」


 銀河の剣(ギャラクシィセイバー)を突き出したままエネルギー奔流(ほんりゅう)を放射し続け、その反動で体を震わせながらナッセは必死の形相で額に血管が浮かんでいた。

 その後ろでマイシが剣を、コハクが九十九紅蓮(つくもぐれん)の槍を、アクトが刀を、モリッカが杖を、フクダリウスが戦斧を、ノーヴェンは無数の浮遊メガネを前方にかざして、その総力をナッセに供給し続けていた。


 それでも衝突領域であるスパークがこちらへとにじり寄ってくる。


「おおおおお──ッ!!」


 オレたちは底力をひねり出すように、切羽(せっぱ)()まった剣幕で気合いを叫ぶ。



 リョーコたちは「負けないでっ!」と手を挙げたまま、必死に力を送り続けていた。ミコトもコマエモンも底力を振り絞るように手を挙げ続ける。

 それを尻目に、ヤマミはウニャンとボソボソ会話を交わし、頷く。

 学院外で防衛しているクスモさん含む創作士(クリエイター)も手を挙げ、その必死な顔に汗が滲んでいる。


 みんなの未来への希望はナッセたちに託されていると、誰もが必死に踏ん張る!



「ごはははッ!! 才能に鼻をかけて血も汗も知らない他力本願なキサマらと違って、俺たちは泥にまみれながら自力で努力を重ね技を磨いてきた! そして筋金入りのド根性でそれらを活かし、ここまで強力な力を発揮できるんだ!! そんな俺たちに(クソ)餓鬼(がき)風情が勝てると思うかァ────ッ!!」

 喜々とした感じでオカマサは吠える。

 ドラゴリラも「うほほほっ! あんさんらとは(かく)が違うんや! (かく)が!!」と嘲るように高笑う。



 ナッセたち間近に弾けるスパークが迫ってきていた。激しい激突の衝撃が徐々に近づいているのが分かる。

 その放電されている電撃がナッセたちを掠っていく。


「ぐ……ぐああ……!」


 掠っていく電撃で服が破け、皮膚が裂かれ、血飛沫が舞う。

 さすがに敗北濃厚で、焦り一杯で「ち、ちくしょ────!!」と吠える。


「さぁ! エセ熱血(バーニング)もろともサンライトセブンよ! 跡形もなく消えろ────ッ!!!」


 そう叫び、オカマサとドラゴリラは自分たちの完全勝利を確信した。




《フン! つくづく情けないヤツめ……》

 え? そ、その声は……!?


 気付けば、(うっす)らとジダ公が浮かんで来ているのが視界に入った。

 するとジダ公は手を差し出し、マイシたちと同様にエネルギーを注いでくる。思わぬ加勢に呆然した。


 え……? な、なぜ?


《キサマらに味方したワケではない! ヤツらに殺された借りを返したいだけだ! 勘違いするな!》


 ……さっきまで敵だったのに、なんだか暖かい力を感じる。

 ってか、急激にものすげぇ力が溢れてくる! これは心強いぞッ!!



 オカマサとドラゴリラは「ぬ!」と見開いていた。


 ナッセの背後にマイシたちのみならず学院の人々……、そしてまさかのジダ公が並んでいた!

 指パッチンで心臓爆破したはずのジダ公がナッセに力を貸しているという事実に、電撃に打たれたようなショックを受けた。


「ジダ公……ッ!! う、裏切るのかい!? 俺たちの熱い恩を忘れ……」

《そんなものはない! 裏切ったのはキサマだ! 死ね!》


 心を(えぐ)られたように、オカマサは愕然と表情を崩す。



《……コイツは堂々とオレと戦ってくれた最強の剣士(セイバー)……。我が認めた真の熱血漢。何度血を吐こうとも不撓不屈(ふとうふくつ)で立ち上がり、持ちうる最高の技を繰り出してオレを超えたんだッ!! 卑怯者のキサマとは全く違うッ!》


 オカマサは頭に血が上り、激昂(げっこう)(あら)わに「ジダ公ォォォォ!!!」と怒鳴った。

 彼にしてみれば熱心に修行をつけてやったのに、それを否定して憎き敵の力量を褒めたのだ。それは許しがたい行為で、頭の中が沸騰(ふっとう)する想いだろう。



《我が友、ナッセよ!! 行けぇぇ────ッ!!》

「おう!!」


 学院のみんな、そして好敵手のジダ公の力をも背負っている! だからオレは負けられないッ!!

 負けるワケにはいかないんだ──────ッッ!!


 今度は激突のスパークがクラッシュオーガへと押し寄せる。ゴゴゴ!!



「な、なんやと!? せ、せや! 今度はゴン蔵たちを生け贄にパワーアップしたろ!!」


 大阪中のゴン蔵それぞれに渦が包み、その生命力(ライフ)を絞り出してクラッシュオーガへと集約。

 勢いを取り戻し、クラッシュオーガからのエネルギー奔流(ほんりゅう)が押し返す。ようやく互角に戻り、拮抗(きっこう)していく。

 それでも憮然(ぶぜん)としているオカマサはチラリとあさっての方向へ視線を送る。


 なんと遠くでコータロが銃身の長いライフルを二脚で地面に固定、狙いをナッセの横顔に定めていた。

 もしもの時のために生身のコータロだけは逃し、オカマサから譲り受けたスナイパーライフルで狙撃するように指示していたのだ。万が一の時のためにな!


 ニヤ……、オカマサは笑む。


「死ねぇ!!」


 コータロは緊張気味にライフルのスコープでナッセを見据え、引き金を引こうとする。

 するとそのタイミングを狙いすましたかのように いくつかの黒い筋が地面を這っていた。それはコータロの足元へ近づくとボゴウッと爆炎が噴き上げた。

 スナイパーライフルは粉々と爆散し、その欠片(かけら)や火を浴びてコータロは「ぐあああああ!!!」と苦悶(くもん)しながら地面を転がる。

 その様子にオカマサとドラゴリラは「なに!?」と驚愕して見開く。



 司令室でヨネ校長を始め、リョーコたちは目を丸くした。どよどよ……。


 ヤマミが片腕を伸ばし手をかざしていた。その側でデフォルメされたようなヤマミの姿をした漆黒の小人が周回しながら踊っている。


《当たったよ!》


 肩に乗っているウニャンの言葉に、ヤマミは「よし!」と頷く。



「ナッセェ!! 今! やっちゃって────ッ!!!」


 モニターへ向かって、ヤマミは天に向かって拳を振るって精一杯激励(げきれい)する。

 それを耳に、カッと気合いを漲らせて腹の底から叫んだ。


「おおおあああああ────ッッ!!!!」


 一気に押し切ろうと、力の全てを出し切って放射!

 爆発するように溢れた膨大な奔流(ほんりゅう)は、一気にクラッシュオーガへと押し出すように流れ出す。それに絶句するオカマサとドラゴリラ。


「ごあああッ!? こ、こんな……、(クソ)餓鬼(がき)に……、この熱血漢がぁあ!!!?」


 凄まじい激流に呑まれ、究極完全体クラッシュオーガの巨体は流されるように部分部分と崩れ去っていく。やがて散り散りと破片の一切まで光の彼方(かなた)へと消し飛んでいく。

 そしてその一条の光線は地球から飛び出し、漆黒の宇宙まで飛び出していった…………。


 シュウウウウウ………!


 遥か彼方の夜空まで渦を巻くように、余韻(よいん)の風が散り散りと吹き荒ぶ。



「お、オレたちの勝ちだッ…………!」


 荒い息をしながらも、毅然(きぜん)とマイシたちと一緒に、目の前のオカマサとドラゴリラに言い放った。

 彼ら二人は、なんと元の人間状態へ戻っていた。


「あ……あっ……!」


 仰向(あおむ)けで上半身をやや起こした姿勢で、オカマサとドラゴリラの二人は愕然としていた。なぜ自分たちが無事なのか戸惑いながらも、なんとか慌てて懐から劇薬を口に飲み込む。

 緑色の光がオカマサを包む。ニヤリと笑んで立ち上がろうとすると、ぐらりと体勢を崩し手を地面につけてしまう。


「な、なに……!? ち、力が…………??」

「どういうことやッ!?」


 オレは息を切らしながら、悪漢の様子を静かに見守る。


 オカマサとドラゴリラは悪戦苦闘しながら何度も立ち上がろうとするが、脱力でガクリと地面に手をつけてしまう。そのどうしようもない事態にオカマサとドラゴリラは動揺した。

 立てぬまでも、なんとか拳銃を手にフルフルと震えながらオレに向けるが、ポロリと取り落とす。


「無駄だし! ナッセの奥義に打ち負けた以上、引き金すら引ける力ないし!」

「そしてスキルも完全封印されて何もできないんです!」

「部分エンカウントを閉じて、魔界(あっち)に逃げるってのもできやしねェぞ……」


 マイシとモリッカに続きアクトまで事実を突きつけるように言い放つ。


 ナッセの奥義は打ち負かした相手をオーバーキルする事もなく、かつ完全無抵抗に(おちい)らせる……。

 それを悟り、オカマサは全身を震わせ屈辱(くつじょく)歯軋(はぎし)り。


「ち、ちくしょおお────────ッ!!」


 完全敗北したオカマサはタンタンと力なく拳を地面に叩きつけていた。

 それを見て、ドラゴリラは観念して力なく(うつむ)く。




《フン! 相も変わらず甘い男よ……。だがそれも悪くないか…………》


 亡霊のジダ公はこちらへ笑み、やがて(はし)から崩れて煙に流れ始めていく。

 その不器用ながらも柔らかく笑んでくれてる事に、なんだか(なご)んできてこちらも笑みを見せた。


《…………オレはもう()く。じゃあな……》

「ジダ公! ありがと! また会おうな……!」


 バイバイと手を振った。するとジダ公は少し驚きを見せた後、フッと笑いながら手を振ってくれる。


《また……な…………》


 キサマと出会えて…………本当に……良かっ……た…………。



 ジダ公は安らかに風に流れて、夜空へ溶け込んでいった……。

 なんだかじんと胸が熱くなり、目尻に熱いものが溢れた気がした。


 また会えるよな……? きっと……。


「うん! 戦争は終わった!! これで────……!」



 グラリ……と、力が抜けて体が傾いていく。


「ナッセェ!!」


 慌ててマイシがガシッと胸で受け止める。呆然する。とっくに限界を超えていて、立っていれられたのが奇跡のようなものだった。

 アクト、モリッカ、ノーヴェン、フクダリウス、コハクが心配そうに集まってきた。

 遅れて学院のみんなと一緒に、そしてヤマミは「ナッセェ────!」と駆け寄った。



「みんな……! ヤマミ! ありがとな…………!」

「うん!」


 腰を下ろしているオレに寄り添うヤマミを中心に、円陣を組むように群がる学院の人たちは安堵に笑む。

 再び和気藹々(わきあいあい)と談笑が飛び交っていった。


 そして地平線から眩い朝日の光が差し込んできて、空は滲むように明るくなっていく……。



 ────大規模侵略四日目。午前四時四五分にて終戦!

あとがき雑談w


 無事決着がついて、へにゃへにゃと安心する。ふう疲れた……。


クッキー「勝ってよかったぁ~w」ふにゃ~w

アリエル「ほんっとぉ~w」ふにゃ~w

アテナ「よく頑張りましたねw 孫ちゃん、なでなでしたいですw」ほぅw


アリエル「見た見た!? 黒マフラーヤマミの力が、ヤマミに力を!」

クッキー「うん! アレなかったらマジやばかった~!」


アテナ「ここまで長かった戦争もこれで終わりですねw」(微笑み)



 次話『戦勝の後日談──────!』

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