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104話「最終決戦! 燃えろサンライトセブン!」

 世界滅亡級の隕石も友達になってくれた星獣が粉砕し、その脅威も去った。


 ──残るは、際限(さいげん)なく再生を続ける不死身のクラッシュオーガ。どれだけ致命的なダメージを与えても、莫大(ばくだい)な量の劇薬によって元通りになってしまう。

 加えてナッセは星獣召喚のために、大半のエーテルを消耗していて長期戦は難しい。



 ノーヴェンはしゃがんだ形で(たたず)み、真剣な顔でメガネを通してナッセたちに語りかけていた。


「────以上が、不死身のクラッシュオーガの倒し方デス!」

「ああ! ありがとう! おかげで未来は見えてきたッ!!」


 そう穏やかに笑むオレを筆頭に、マイシ、モリッカ、フクダリウス、アクトが力強くクラッシュオーガへと歩んでいた。ザッザッ!

 控えはノーヴェンとコハク。

 いずれも真剣な面持ちで、最終決戦に臨む心構えだ。


 握った柄を振り、星屑を散らしながら太陽の剣(サンライトセイバー)が煌びやかに生み出された。


「さぁ……最後の戦いだぞ!」

「おう!」「だなァ」「うん!」「ふむ」



 それに対し、クラッシュオーガことオカマサは(うつむ)き気味で目線が影に隠れている。ドラゴリラも妙に()わった顔で沈黙している。

 オカマサはギリ……、歯軋(はぎし)りする。


「……積み重ねてきた俺たちの努力と熱血(バーニング)を踏みにじるのが、そんなに面白いのかな? この(クソ)野郎どもッ!!」


 だがオレたちは冷静な顔のまま、歩み続ける。


「お前らは……何なんだッ!? なぜ、いつもいつも邪魔ばっかりするんだァ!?」

「オレたちはサンライトセブン!」

「なに!?」


 オレは眉間にシワを寄せ、マフラーの端をたなびかせる。

 後続のマイシは「ああ! みんな同じ仲間だし!」と笑み、そしてアクトたちも頷いて同意する。

 この戦争を通して彼らの(きずな)は少しずつ育ってきた。そしてこの最高潮(クライマックス)で、その(きずな)は輝き始めようとしていた……。



「オレたちの、日本の、そして人類の未来を奪い去ろうとする手前勝手な努力を見過ごせなかっただけだぞッ!」

「正義の味方のつもりか!! 偽善者(ぎぜんしゃ)(クソ)餓鬼(がき)どもッ!!!」


「──なんでもかんでも『(クソ)』呼ばわりすんなぞッ!!」


 いつも聞き続けた侮蔑(ぶべつ)な単語。

 それに激昂したナッセの威圧と表情に、オカマサはビリッと気圧される。



「さよう! 己の鍛錬(たんれん)(おこた)って人造人間や劇薬に頼って、それで努力熱血(バーニング)を騙るなど(おとこ)の風上にもおけんッ!」


 フクダリウスは全身の筋肉がはちきれんばかりにメキメキ膨らむ。超重量の斧を軽々と肩に乗せ、ドズンと地面に足跡をめり込ませた。


「そーですよ! さんざん卑怯な事ばっかりして、努力とか熱血(バーニング)とか的外れですよねー。だから、僕はおめぇらを許さねぇぞ!!」

「あァ、いつもいつも口先ばっかだなァ……。おめェら発情期の猿かァ?」


 プンプン頬を膨らますモリッカと、ため息をついて呆れかえるアクト。

 よってたかって叩かれ、静かに怒りを滲ませたオカマサとドラゴリラは全身を震わせる。仰々(ぎょうぎょう)しい殺気が膨れ上がり、ナッセたちにピリピリと緊張をもたらす。



「ごああああああああッ!!!」


 超高熱の火炎のオーラを噴き上げ、日本全土を揺るがす勢いで途方もない威圧で支配してくる。尋常じゃないほどの激昂で捻り出される業火のオーラ。

 オカマサとドラゴリラは顔面を赤く染め、血管が浮かぶ。そしてその憤怒の形相。


「あ、あいつらも……『修羅外道』をッ…………!?」


「バイオとレンスではせいぜい五割だったが、俺たちは十割以上も引き出せるのだァァァァッ!!!!」

「出し惜しみはせへーん! 劇薬を大量消耗してでも、三十割増しで貴様らを葬ってやるんや────ッ!!!!」

「ここから先は俺たち熱血漢による一方的な熱い蹂躙(じゅうりん)だッ!! 本物の熱血(バーニング)を思い知れ────ッ!!」


 ゴゴゴウッ!! 更に更に明々と火柱のように激しく噴き上げていく膨大なオーラ。


 ビリビリと肌を突き抜けていく凄まじい威圧。

 だがナッセたちは満身創痍ながらも戦意と気合は少しも怯まない。むしろ充実していてそれが精悍(せいかん)とした顔に現れている。


「おおおおおッ!!!」


 オレも負けじと天に吠え、全身からエーテルが激しく吹き荒れる。

 マイシもモリッカもアクトもフクダリウスも裂帛(れっぱく)の気合いを吠え、エーテルをそれぞれ噴き出した。


「行くぞッッ!!!」


 ナッセ、マイシ、アクトは地面を爆発させ、クラッシュオーガへ素早く間合いを詰めた。

 オレは疾風のように地面を蹴り、(シールド)を足場に飛び上がり、激情を(みなぎ)らせ「流星進撃(メテオラン)────」と一言。


「二十連ッ!!!」


 辺り一面夜空、無数の流星群がクラッシュオーガへ降り注ぎ、一瞬連撃が轟音を伴って炸裂。

 ドドドドドドッと、高速で揺さぶられる巨体から血飛沫が舞う。その激しき猛攻にオカマサとドラゴリラは「ぐぬぅ……!」と苦痛に表情を歪めるが、憤怒の形相で歯軋(はぎし)りして(こら)えきる。


 それに続いて血気盛んにマイシは「かあああああ!!」と、竜を象る燃え(たぎ)るエーテルを纏って突進。ナッセにも負けてたまるかと闘争心を燃やす。


火竜(かりゅう)のッ、炸裂焔嵐剣バースト・フレイムストームッッ!!」


 クラッシュオーガの巨体を中心に、ボボボボボボンと、天地揺るがすほど嵐のような爆裂の花火が咲き乱れた。

 爆炎に包まれ、オカマサとドラゴリラは「ぐぅあ!!」と激痛に呻くも、歯軋(はぎし)りして耐える。


「今度はこっちの番かな! 無残に蹂躙せよ!! バーニング殺戮殲滅撃ッ!!」


 クラッシュオーガは全身の大小異なる重火器による一瞬射撃が発砲音と共に一斉掃射され、広範囲の地面が抉れるほど嵐のような爆破の連鎖が巻き起こった。

 ナッセとマイシは「うわああああああ!!」と吹っ飛ばされる。



「ぬうおおおおおおおおおッ!!!!」


 クラッシュオーガに、フクダリウスは超重量によるタックルを仕掛け、ドズンと轟音を響かせた。

 クレーターに抉るように衝撃波の噴火が広がり、大阪中にまで余波が容赦なく駆け抜け残骸や瓦礫を吹き飛ばし、敗走していたハスタル数人をも巻き込む。ゴゴゴ!


「真の熱血漢に勝てると思うなァァァァァッ!!」


 フクダリウスを弾き返し、扇状に大地を崩壊させながら逆に吹っ飛ばす。



九十九紅蓮(つくもぐれん)一閃槍(いっせんそう)天翔穿(てんしょうせん)”!!」


 コハクは勢いよく腕を振り、浮いていた巨大な槍を音速で撃ち出す。

 ドキュッと、地面を爆発させて、なおも軌道上の地面を穿ち続けながら超音速の槍はクラッシュオーガへと迫る。

 しかし大きな両手で「ごぉあああッ!!」と地面に叩きつけて火山噴火のように大規模な衝撃波が地面に爆ぜた。ボオォォン!



 負けじと「おおおお!!」とナッセ、マイシ、モリッカ、アクトが一斉に飛びかかる。それに対してクラッシュオーガも嵐のように拳を振るう。


 ガガガッガッガッガガガガッガガッガッガッガ!!


 一進一退と嵐のような連撃の応酬(おうしゅう)を繰り返す。

 一つ一つの衝突のたびに地面を揺るがし、大気が震える。(ほとばし)る電撃が地面を走る。周囲に煙幕が吹き荒れていく。

 だがクラッシュオーガは押し勝ち、ナッセを殴り、マイシを地面に叩きつけ、モリッカを蹴り飛ばし、アクトを掌底で弾き飛ばす。


「ぎああ!!」「ああっ!」「うわー!!」「があああッ!!」


 そろって四つの噴火に地面は爆ぜた。

 四人の猛攻すら弾き、不動の明王のように物言わぬ形相で依然(いぜん)と立ち(そび)えるクラッシュオーガ。



「こ……これほどとは……!」


 ノーヴェンも唾を飲み込む。

 ナッセにも伝えたように不死身への攻略は二つ。だが確実に有効デース。


 ヤマミさんとリョーコさんの話を聞いた所、精神生命体(アストラル)巨大な(ギガント・)女王人形(パペットクイーン)に襲われた時、オカマサとドラゴリラの近代兵器では全然ダメージが通らなかったのに、ナッセの剣は顔に一筋の傷をつけましタ。


 不死王リッチ・デスシの時は、スミレが霊属性(レヴ)を付加してくれたけど、実際はナッセの剣でも普通にダメージが通りマース。

 つまり魔法力で作られた剣は、物理に対して無敵の精神生命体(アストラル)にもダメージを与えられるのデス。

 この理屈なら、魔法力が混ざったエーテルを得たナッセたちの攻撃で、不死身のクラッシュオーガにも精神ダメージを与えられるはずデース。

 そして精神ダメージはさすがに劇薬では回復できまセン……。


「つっよい!! つっよいですね~~~~!!」


 喜々とモリッカが立ち上がる。ナッセたちも苦悶(くもん)ながらゆっくり立ち上がる。ググッ!



「ここまで強いと精神ダメージで倒す前に……、我々は全滅しマス…………」

「では、もう一つの策で?」


 コハクの言葉に、しゃがみこんでいるノーヴェンは頷く。


「……ですが、恐らくモリッカの『まじかる大爆裂』以上の大技でないとダメみたいデース」




「まだだ! まだ終わらんぞ!!」


 ハァハァ、オレたちは全員血まみれでボロボロながらも立ち上がる。疲労困憊で満身創痍。つつけば倒れそうなほどひどい状態。だが、依然(いぜん)と戦意は(みなぎ)っており威圧も(おとろ)えていない。

 オカマサとドラゴリラは「ば……馬鹿な! なぜ……立ち上がる!?」とうろたえ始める。

 そしてハッと見開いて気付く。


 必死の形相のナッセたちから、轟々(ごうごう)と熱気が燃え盛っているように見えた。


 どんなに痛みつけられようとも負けじと何度でも立ち上がるド根性。目的達成まで(くじ)けぬ信念。激痛や疲労をものともしない強靭な精神力。

 まさに自分が思い描いた『熱血(バーニング)』ではないか!



「そ、そんなもの、認めてたまるか────────ッ!!」

「せや! ワイたちこそ本物の熱血漢だとみせつけたるわ────ッ!」


 再び日本全土を震え上がらせるほど、業火のオーラをゴウッと火柱に噴き上げ、巨大な威圧で辺りを席巻(せっけん)


「……もうお遊びはここまでだ! (クソ)ども!!」


 クラッシュオーガは両手を前方へ突き出す。するとその手前にプラズマボールのように、光球の内部から放射状に稲光を(ほとばし)らせ、ギュイイイイと唸りながら膨らんでいく。

 ベコン、途端にクラッシュオーガの足元の地面がクレーターに陥没。

 更に恐ろしい威力が増そうとしているのか、内部に稲光(ほとばし)る光球は巨大化を繰り返していく。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!


「日本ごと消えてなくなれッ!!」



 絶句するナッセたち……。

あとがき雑談w


クッキー「負けるなー!! 踏ん張れー!!」

アリエル「ああ、そこ! そこよぉ!」


 クラッシュオーガとの盛り上がる激戦に、クッキーもアリエルも大興奮でカッカしながら応援していた。

 一進一退の攻防に喜怒哀楽と感情を変えていく。

 アテナは二人を微笑ましいと思って、にっこり。


アリエル「あ、敵さん大技出すわよぉ~!」

クッキー「そんなん奥義で跳ね返せ────!! ナッセェ────!!」


 手に汗を握って、拳を振るいながら観戦────────!



 次話『みんなの力を集めて、巨悪を吹き飛ばせー!!』

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