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閑話-2 国王視点

 私は人間族の国の国王、エキストル・モンドールである。


 漸く女神様への謁見がかなった。聖女を務めているエリザベートから聞いていたとおり、10代半ばくらいの幼ささえ残るお顔立ちをした、お優しそうな女神様だった。心から安堵した。


 謁見を急いだのは、女神様が滞在なされている人間族の国の王より、他の国の者が先に女神様に謁見を許されたら我が国の面目が立たないからだ。

 いや、認めねばなるまい。側近達にはそう説明したが、実はその様な気楽なことが理由ではない。この世界では女神様は絶対的な存在なのだ。だから新しい女神様が降臨されたとなれば、女神様がどの様なご性格か、何を好まれ何を嫌われるのかを至急に把握したかった。万が一、私の行う(まつりごと)の内容が女神様の逆鱗に触れれば、私の首など簡単に飛ぶかもしれない。これが謁見を急いだ本当の理由だ。せっかく女神様が我が国にご滞在されているのだ、しかも女神様のおられる神殿はここから馬車で半日の距離。他国にはないこの利点を生かさない方がどうかしている。


 執務室でそんなことを考えている時だった。突然頭の中に言葉が響いた、念話だ!


 << 国王様、トモミです。今よろしいですか? >>


 「女神様! もちろんでございます。」


 私に女神様の呼びかけにお応えしないという選択肢はない。


 << お忙しいところ申し訳ありません。実はお願いしたいことがあります。冒険者の身分証を2通用意して頂けないでしょうか。詳しくはそちらに伺ってからお話します。>>


 「こちらにお越しいただけるのですか?」


 << はい、国王様のご都合がよろしければ瞬間移動でそちらに向かいます。>>


 「了解いたしました。すぐ人払いをしますのでお待ちください。」


 私はあわてて側近たちに執務室から退出するように命じる。何事かと怪訝な顔をした側近たちが退出する。準備が出来た旨伝えると、目の前に女神様が現れた。


 「!!!....」


 驚きのあまり声がでない。女神様は全身が虹色に輝いておられる。お美しいが威圧感がものすごい。謁見でお会いした時と明らかに違う。全身が震えて息ができない。


 私の異常に気付かれたのだろうか、女神様が 「あっ」と声を上げられた瞬間、女神様から発せられていた威圧感が消失した。


 「ごめんなさい。魔力遮断結界を張ったままだと魔法が使えないので。」


 魔力遮断結界! つまり先ほど見たのが女神様の本当のお姿というわけか。とんでもないものを見てしまった。やはり女神様は単にお優しいだけのお方ではなかったのだ。決して逆らってはいけないと認識を新たにする。


 「とんでもございません。お見苦しいところをお見せしました。」


 「ほんとにごめんなさいね。」


 「いえ、どうかお気になさらないで下さい。 それで今日はどのようなご用件でしようか。 なんなりとお申し付け下さい。」


 「ありがとうございます。実は先ほど念話でお話させて頂いた様に、冒険者の身分証を2通お願いしたいのです。身分証に記載する内容はこれでお願いします。」


 女神様はそうお話になり、身分証への記載内容を書いた紙を手渡された。内容を見ると、男性と女性が1通ずつで、お名前はタカシ様とタチハ様、年齢は30歳と15歳...まさかこの身分証をお使いになるのは、ハルト様と女神様ご本人!? いやまさか?


 「何にお使いになられるかお伺いしてもよろしいでしょうか?」


驚きの余りお尋ねしてしまった。


 「今は、神の仕事に必要なのですとしか...」


 とお言葉が返ってくる。これ以上の追及はしない。私も命は惜しいのだ。


 「畏まりました。明日までにはご用意させていただきます。」


 そうお答えすると、女神様は何度も礼を述べられた後お帰りになった。


 ホッとして力が抜ける。いや、安心している場合ではない、至急身分証の手配をしなくては。


 だが、と私は思考の渦に囚われる。女神様は身分証を何に使われるのだろうか。正規の身分証なら何も私に依頼する必要はない。間違いなく記載されているのは架空の人物だろう。身分証に記載の性別、年齢は女神様とハルト様に一致している。もしかしたら、女神様とハルト様で我が国をお忍びで査察されるおつもりか。

 もちろん後ろ暗いことをしているつもりは無い。査察されても大丈夫なはずだ。だが、私には末端の兵や役人が、一介の冒険者にどの様な態度で接するかまでは確信がない。例えば門兵が町に入ろうとされる女神様に失礼な態度で接したら...。おお、考えるだけでも恐ろしい。至急失礼な態度を取ることが無い様通達を出す必要がある。

 だが、お忍びで来られる女神様のことを皆が知っていると分かったら、それはそれで気を悪くなされるのではないだろうか。どの範囲にどの様に通達を出すか熟慮する必要がある。


 ....今夜は眠れそうにないな....


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