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死獣神~血の書~  作者: 天馬光
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再会のノクターン(1)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の物語。

 平成17年4月22日。この日、ある天才ピアニストの来日を、様々な朝の情報番組が取り上げていたが、何故かお茶の間の1人である龍は、素直に喜べずにいた。



 それでも普段通り学校に通った龍は放課後、中学からの親友の玄田武文(げんだたけふみ)に誘われて、彼と一緒に寄り道しながら下校していた。


「いいの? 玄田君。帰りが遅くなっても」


「うん。仕事ばかりじゃ息が詰まっちゃうからね。息抜きぐらいしないと。安心して。母さんのことなら、今日は先生に往診に来てもらってるから」


 武文の家は()()()()から父を亡くしており、母親も精神的ショックから植物人間同然の状態になってしまっている。

 そのため彼は治療費と生活費を稼ごうと、たった13歳で父の会社である玄田建設を継ぎ、若社長として会社の業績を1年で何倍も上げ、大企業に成長させた。


 そんな多忙な少年の休息に付き合う龍は、どんな状態でも母と共に生活している彼を羨ましく思った。自分の家族は7歳の時に蒸発してしまっているから。

 それを察した武文は、しまったと思い、


「あ、ごめん。龍君は……」

 と、謝ったが、龍は気にしていないといった感じで首を横に振った。


「いいよ。父さん達のことはもうどうしようもないけど、姉さんとは離れ離れになった今でも、メールでやりとりしているから、玄田君が思ってるよりマシだよ。それに、日本に帰ってきてるってテレビでやってたから、会おうと思えばいつでも会えるし」

 龍がそう言うと、武文は朝のテレビを思い出し、今まで龍から聞かされていなかった姉が誰なのかわかった。


 と、そこへ、1人の女性が龍をみつけて駆け寄り、


「いた! 龍ぅ!」

 と、言って、抱きついてきた。


「ね、姉さん!」


 そう。この女性こそが龍の姉であり、17歳という若さで世界中の人々の心を虜にする天才ピアニスト・青山奏(あおやまかなで)である。

 7年振りの姉弟の再会に2人は嬉しそうに話し、彼女ととあるパーティで面識があった武文も、その会話に加わった。

 龍の両親は名目上、奏のマネージャーを名乗っていますが、実際は何もしておらず、この時もラスベガスでカジノに明け暮れている始末です。

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