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死獣神~血の書~  作者: 天馬光
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青龍と朱雀の夏休み(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の物語。

 宿に到着し、他が満室ということで同じ部屋に通された2人は、部屋から一望できる海に感激したあと、お目当てであった海水浴をしに、宿の近くにある白良浜に向かった。



 到着すると、やはり海水浴シーズンということもあり、遠方からの観光客などで人がごった返していたが、2人は思いっきり海を満喫した。

 もっとも、正確には満喫していたのは雲雀の方で、龍は水泳の授業でのスク水いじりを蒸し返されたり、雲雀にパシリに使われたりとほとんど召使いに近い状態だった。まぁ、2人の性格からしてこうなるのは明白だったが。



 それでも楽しんだ龍は雲雀と共に、夕方頃に海水浴を終えてこんがりと日焼けした体で宿に帰った。


 帰ってきたはいいものの、前述したとおり勢いで来た2人はやることが無くなり、この後どうしようかロビーで悩んでいた。

 熟考していると、ふと、宿のロビーに貼られたポスターが目に留まった。それによると、どうやら今晩、白良浜で花火大会か開催されるらしい。それを知った2人は、場所取りが面倒なことから、部屋から花火を見ることを決めた。


 花火を楽しみにした2人は、花火に間に合わせようと大急ぎで風呂に入り、入浴後、運ばれてきた夕食に舌鼓を打った。



 夕食後しばらく経った午後8時頃。間もなく花火が上がる時間になり、龍と雲雀は花火が見える窓に向かって並んで座り、その時を静かに待った。

 しばらく静寂が流れたあと、観衆の声と室内の静けさを吹き飛ばすように花火が高々と打ち上げられた。


「始まった」


「やな。めっちゃきれいやわ……たーまやー!」


 雲雀の無邪気な姿と花火の美しさの両方を側で見て、普段返り血を浴びる汚れ仕事をしている龍も、この時ばかりは1人の中学生として、旅行に来て良かったと満足した。

 雲雀は『ポ』から始まる某有名スポーツドリンクを愛飲しており、海水浴の時にも龍をパシらせて、何本も飲んでいました。

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