表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死獣神~血の書~  作者: 天馬光
29/32

サイトオーナー 玄武(5)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の物語。

 玄武は、望月を殺すよう紫乃から依頼があったことを標的である彼に伝えてから、紫乃に依頼についてある確認をした。


「さて、志村先生。依頼文には『望月が死んでくれるなら何でもする』と、書いてありましたが、その言葉に嘘偽りはありませんね?」

 そう聞かれた紫乃は、目の前のことを把握できずに戸惑いながらも一応頷いた。


 すると玄武は、持っていた鉄パイプを紫乃に手渡し、紫乃自身の手で望月を殺すよう促した。


 彼の考えは理解できる。自らの手で殺せるのなら、それに越したことはない。できるならそうしたい。

 だが、教師としての人生や世間体、良心などが彼女を躊躇わせていた。


 その間も望月は、青龍と朱雀に羽交い締めされているにも関わらず逃げようとしており、どうしても死にたくない一心で、


「志村先生。まさかやりませんよね? あなたは常識的な人だ。こんなクズ共と違って殺しなんて、そんなバカなこと……」

 と、説得した。


 が、それがかえって命取りとなった。

 愛する武文らをクズと呼ばれたことに対する怒りで何かが切れた紫乃は、望月に近付き、殺意のこもった鉄パイプを大きく振り上げた。


「お、おい、待て! 嘘だろ!?」


「いえ、紛れもない現実です。では、クズ教師。物言わぬ骸となれ」

 玄武がそう言った直後、体育館に鈍い音が響いた。



 翌日。死獣神は雲雀の店を貸し切って、顔合わせをした。そこには何故か、依頼人だったはずの紫乃の姿もあった。

 実はあの一件のあと、望月という障害がいなくなった彼女は、武文に告白し、公私ともに彼の力となるために新メンバー・獅子として加わることになったのだ。


 こうなることも計算していただけでなく、龍達が殺し屋と見破っていたあたり、武文の洞察力と頭脳はやはりずば抜けてるとしか言いようがなかった。


 そんな彼にもあれ以来変化があった。父亡き後、習慣化していた例のテストの手抜きが、紫乃の説得を受けたことでピタリと止まり、次に行われたテストで武文は、学年トップの成績を収めた。

 武文がこの依頼を受けた理由はきっと、望月と父が似ており、そんな彼らのせいで再び大切な人を失いたくなかったからでしょう。

 余談ですが、この日の貸し切り代と食事代は雲雀の指名で何故か龍が支払うことになりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ