我らは死獣神(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の物語。
3分後、組長は腰を抜かし、その場にへたり込んでいた。
それもそのはず、青龍達が乾と彼以外の組員を余裕で全滅させてしまったのである。
これだけの惨劇と強さを見せつけ、いまだに余裕を崩さない彼らが化け物のように感じた組長は、このままでは手下達のようにあっさり殺されてしまうと思い、一目散に逃げようとした。
だが、彼はこの場から逃げることはできなかった。
部下であるはずの乾にバッサリと斬られたからである。
「い、乾……き……さ……ま…………」
「あんたは終わりだ。俺のことを見抜けなかった時点でな」
そう言うと乾は、組長の首をはね、トドメを刺した。
彼の裏切りを目の当たりにした青龍達は目を疑った。
「どういうつもりですか? 彼を殺すことで自分が組長になる気ですか? それとも、『彼を殺したから許してくれ』とでも言うつもりですか?」
青龍の質問に乾は首を横に振り、
「どっちでもねぇよ。そもそも、俺はこのクズ共を調査するために、潜入していただけだ」
その言葉を聞いた青龍と朱雀はピンとこなかったが、ペガサスだけは乾の正体に気付いた。
「……そういうことか」
「どういうこと?」
「今はそれを話しているヒマは無い。けど、これだけは覚えてて。こいつは言うなれば前座。本命がまだいるってことを」
ペガサスがそう言った直後、乾は不意打ち気味に彼の首を狙った。すんでのところでかわしたペガサスは微笑み、
「仕事熱心なのはいいけど、引き際を見誤ると命を落とすよ。番犬さん」
と、挑発した。
「ほざくな殺人天使」
そう言って振り下ろされた乾の太刀を、ペガサスは白刃取りした。
あとは彼を仕留めさえすれば。そう思った直後、乾の刀に自身の光の力がどんどん吸われていった。その様子を見た乾は、苦しむペガサスを嘲笑った。
「バーカ、引っかかったな。この刀は光の力を吸う能力を持つ対天使用の刀・邪光だ! 光を抜かれた天使など、もはや翼の生えた人間。お前が虫けらのように殺した人間の知恵の産物。その力を……とくと味わえー!」
乾はそう言って、ペガサスを袈裟斬りした。光の力を吸われたせいもあって、深手を負ったペガサスは一撃でダウンし、気を失った。
乾が何者なのかは、次回明らかになります。




