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死獣神~血の書~  作者: 天馬光
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血塗れの聖天使(3)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の物語。

 午後11時。翔馬と雲雀の誘いで開かれた夕食会が終わってから3時間経った頃、中学校区内の公園で、『エンジェルゲート』の管理者が依頼人と会っていた。これから殺す相手についての最終確認のためである。

 いつも通り白いスーツと白い仮面に身を包み、いつでも仕事ができる状態の彼だったが、今回は少し乗り気ではなかった。依頼人に疑わしいところがあったからである。そのことを()()()から聞いていた彼は、


「依頼は拝見しました。しかし……実の子を殺せというのは、ね……」

 と、渋る素振りを見せた。

 それに対する依頼人の反応を注意深く観察した彼は確信し、ワイヤーカッターを依頼人の首に巻きつけた。


 理由は依頼内容の虚偽。

 彼は実の子がさも傍若無人な親不孝者のように言っていたが、実際はただただうっとうしいからであり、そもそも依頼人とは血が繋がっていない。

 そんな己を良く見せるためについた嘘が、文字通り自分の首を絞めることとなった。


「人にものを頼む時は、嘘をつかず、真実のみを語るべきです」

 そう言ってすぐ、彼はふっと笑い訂正した。


「おっと、すみません。それは無理でしたね。人という種族は嘘つきですから。では、Good-bye human」

 『エンジェルゲート』の管理者はそう言うと、男の首を切断して、白い羽根とカードを置き、依頼人の家族を殺すことにした。

 それがよほど楽しみで仕方ないのか、満月の下で高笑いをした。


 その狂った笑いに呼応したかのように、青龍と朱雀が彼の前に現れた。


「君もイカレてるね。人を殺して高笑い。その仮面の下は、狂ったような満面の笑みなんだろうな」

 青龍にそう言われて、2人の存在に気付いた『エンジェルゲート』の管理者は微笑んだ。


「お互い様だよ。殺人を犯す者の大半は、頭のどこかがイカレてる。君らも自覚してるはずさ。違うとは言わせないよ」

 彼にそう言われて、2人は同意した。

 それを確かめた『エンジェルゲート』の管理者は、仮面を外し、ウェーブのかかった金色の長髪をかきあげながら、


「で、君達は『エンジェルゲート』の管理者であるこの僕、天使ペガサスにいったい何の用?」

 と、言って、美少年の素顔を見せ、6枚の純白の翼を広げた。

 その整った顔立ちに雲雀は心を奪われかけたが、例の連続殺人鬼と『エンジェルゲート』の管理者が同一人物だったことや、初めて見る天使に驚いた。


「予想外って顔だね。けど、驚くのはまだ早いんじゃないかな? 龍君。雲雀さん」

 自分達の本名を知られていたことに、2人は耳を疑った。


「どうして僕らの名を?」


「どうしてって、さっき会ったからだよ」

 ペガサスはそう言うと、全身から光を放ち姿を変えた。


 その姿は、青龍達も良く知る者だった。


「おいおい。俺の顔、忘れたか?」


「しょ、翔馬!?」

 そう、その人物とは翔馬であった。

 翔馬は生まれた時からペガサスを体の中に宿しており、彼から得た知識や、入れ替わりによって直接助けてもらったことで、これまでの輝かしい実績を挙げているのだ。

 ちなみに、このことは綱手中ではかなり有名な話で、龍はもちろん、小学校からの付き合いの柚や翔馬の恋人も知っている。

 この話で触れられた翔馬の恋人についてですが、彼女の物語は、機会があれば書きたいと思います。

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