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最強のおっさんハンター異世界へ~今度こそゆっくり静かに暮らしたい~  作者: 月島 秀一
第五章:モンスターだらけの世界

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二十七:緊急事態


 ユークリッド村に帰る途中、俺たちはゴブリンたちの住む洞窟へ足を向けた。

 ここの護衛を担当していたリューを迎えに来たのだ。


 洞窟の前に到着して早々、アイリとヨーンは驚愕の声をあげた。


「こ、これは……っ」


「うわぁ……どうなってのさ、これ……」


 そこにはペシャンコになって、深々と地面に埋まった緑龍がいた。

 当然、リューの仕業である。


「ジン……、おかえり……っ!」


 洞窟の斜面にポケーっと空を見上げていたリューが、こちらに気付いた。


 彼女は軽やかな足取りで斜面を駆け下り、勢いよく俺の胸に飛び込んできた。

 彼女の突撃は中々な威力を持つ――俺はしっかりと足腰に力を入れて踏ん張り、しっかりとリューを受け止めた。


「よっと……っ! ……ふぅ、ただいま」


 艶のある美しい髪をスッと手でといてやると、彼女は嬉しそうに小刻みに羽をはためかせた。

 その間に俺は素早くリューの全身をチェックする。


(……よかった。どうやら怪我は無いようだ)


 そうして密かにホッと胸を撫で下ろしていると、


「む……っ。りゅ、リューさん? ジンさんはかなりお疲れになっています。その辺りにしておいてはいかがですか?」


 どこか鋭さを感じさせるアイリの指摘が飛んだ。

 しかし、リューはどこ吹く風。


「ジンは今……安らぎに包まれている……」


 余裕を感じさせる堂々たる態度で、真っ向から迎え撃った。

 そうして何故か二人が睨み合いを始め――それから突然、リューは「あっ」と声をあげた。


「ジン……怪我、してる……。……大丈夫?」


 俺の右腕にある切り傷を見つけたようだ。

 彼女は心配そうにそっと手をかざし、こちらを見上げた。


「あぁ。ただの擦り傷だから、唾を付けておけば治るさ」


「それなら……よかった……っ」


 リューは安心した様子でニッコリ笑うと、俺の胸に頭を(こす)り付けてきた。

 長い髪が肌を刺激し、少しくすぐったい。

 そうして少しの間リューとスキンシップを交わした後、緑龍の話題へと移る。


「それにしても中々派手にやったなぁ……」


 黒く焦げ付いた土。

 凍結した木々。

 そして極め付けは、深々と埋められた緑龍。


 かなりの激闘であったことは容易に窺えた。


「えへへ……そう……?」


「ここまでしたということは……かなりの強敵だったのか?」


 赤龍があまりに弱かったために、他の配下もそこまで大差ないだろうと思っていたのだが……少し予想が外れたようだ。

 するとリューはフルフルと首を横に振った。


「格付け……大事……っ!」


「あぁ……なるほど」


 龍種はプライドが高く、同種族の間でもきっちりと上下関係を付けたがる。


 それは破滅の龍であるリューであっても例外ではない。

 今回はしっかりと格の違いを叩きこむべく、本気であたったようだ。


 俺が一人納得していると、洞窟から一人のゴブリンが姿を現した。


「おぉ、ジン殿いらしていたんですね……っ!」


 粗末な茶色のローブをまとい、古びた木製の杖をついている。

 ここの部族をまとめるゴブリンシャーマンのゴブシャマさんだ。

 ゴブリンとは思えないほどに理性的であり、人間の言葉を解するだけでなく、恐ろしく流暢に喋ることができる。


「ゴブシャマさん、ご無事で何よりです。他のゴブリンたちは洞窟の中ですか?」


「はい。リュー殿にしばらくの間、洞窟から出てこないようにと言い付けられていたのです」


「なるほど、そうだったんですね」


 さすがはリュー、冷静かつ素晴らしい判断だ。


 その後、地面に埋まった緑龍を見たゴブシャマさんが腰を抜かしそうになったりとひと騒動があった。それから少しして、恐る恐るといった様子で彼は口を開いた。


「ところで……問題のグラノスはどうなりましたでしょうか……?」


「中々の強敵でしたが、しっかりと討伐しましたよ」


「そ、それは本当でございますかっ!?」


「えぇ、これからはもう奴の支配に怯える必要はありません」


 俺が優しい声色でそう告げると、ゴブシャマさんは深く腰を折って頭を下げた。


「あ、ありがとうございます……っ。この部族を代表して、お礼を言わせていただきます……っ」


「気にしないでください。俺たちがここに来たのも、あのグラノスを討伐するためですから」


 それから二言三言交わして、ゴブシャマさんとは別れた。


 村ではスラリンが首を長くして待っている。

 あまりゆっくりとしている時間はない。


 それから元来た道を戻り、ユークリッド村へと向かう。


 すると遥か前方にいくつかの人影をとらえた。


(……何だ?)


 かなり村に近いとはいえ、まだまだあの辺りは森の中のはず。


(あんなところに集まって……いったい何をやっているんだ……?)


 そのまま少し警戒しつつ進むとそこには、ユークリッド村の人たちがいた。


 それも一人や二人ではない。


 村中の人が集まっているのではないかという数だ。


 とにかく詳しく話を聞かなければ。


 そう思って俺が足音を立てながら、そちらに歩いていくと。


「じ、ジン殿! た、大変でございます……っ!」


 こちらに気付いたジグザドスさんが、血相を変えて駆け寄ってきた。


「どうしたんですか、そんなに慌てて?」


「お、お連れの青髪の少女が……っ! と、とにかく、こちらへ!」


「スラリンが……っ!?」


 背中に嫌な汗が流れる。


 俺は急いでジグザドスさんの後を追った。

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