表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のおっさんハンター異世界へ~今度こそゆっくり静かに暮らしたい~  作者: 月島 秀一
第四章:おっさんの世界での日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/91

四、遊び


「ぐっ……おい、みんな大丈夫か!?」


 周囲に立ち込める砂煙を手で払いながらスラリンたちを探す。

 すると――。


「ぬっ!?」


 すると前方から強烈な風が吹き、たちまち視界がクリアになった。どうやらリューがその巨大な羽で砂煙を払ってくれたようだ。


「い、今の爆発は何!? 何があったの、ジン!?」

「いったい……どうしたの……?」


 事情を全く呑み込めていないスラリンとリューが慌ててこちらに駆け寄ってきた。


「いや、ただヨーンの言う通りに魔法を発動させただけなんだが……すまない」


 まさかこんなことになるとは思ってもみなかった。俺はただ魔法を使う感覚を養おうとしていただけである。しかし、彼女たちを無用な危険にさらしてしまったのもまた事実。その点は非常に申し訳なく思っている。

 俺が二人に謝罪をしていると――。


「ちょっとおっさん! あたしたちを殺す気!?」


 たいそうご機嫌斜めなヨーンが異議申し立てを行ってきた。


「いや、そう言われてもな……。お前が教えてくれた魔法じゃないか……」


 こっちが「今のは、どういうことだ?」と問いただしたいぐらいだ。あれほど危険な魔法ならば、事前に言ってもらわないと困る。


「いや、<爆発/エクスプロージョン>にあそこまでの威力はないから……」

「となると今の魔法はいったいなんなんだ? たまたま偶然別の魔法を発動してしまったということか?」

「いや、今の魔法は基礎構成から見ても<爆発/エクスプロージョン>で間違いないよ……。だとすると……暴発? いやそうだとしても、あんなとんでも威力になるわけがないし……。んー……」


 ヨーンは首を傾げ難しい顔をしたまま、何やらブツブツとつぶやき始めた。どうやら彼女にもよくわかっていないようだ。

 ヨーンとの会話がひと段落すると、続けざまにアイリが不安気な表情で問いかけてきた。


「そ、そんなことよりも、ジンさんは大丈夫なんですか!?」

「あぁ、少し効いたが……。まぁ問題ない」


 魔法を使った故の疲労感と爆発が直撃したことによるダメージは残っているが、この程度ならどうということはない。


「そうですか……よかったぁ……」

「あの規模の<爆発/エクスプロージョン>を受けて問題ないんだ……。普通なら塵も残らないよ……」


 アイリは安堵の息を漏らし、ヨーンは呆れ半分といった風にため息をついた。


「こう見えて体は丈夫な方だからな」

「それ、もはや丈夫とかいう域を軽く越えてるよ……。まぁいいや――とにかく、おっさんは一人で魔法使うのはもちろんのこと、練習するのも禁止! あたしたちは、そんな化物みたいな体をしてないの!」

「ふむ……やむなし、だな」


 あの大爆発の原因が不明な現状、こうなるのは当然の帰結と言えるだろう。


(さすがにスラリンたちに被害が及ぶかもしれないとなれば、魔法の習得は諦めざるを得ないな……)


 いくら魔法が便利で強力な力と言っても、大事な家族を危険にさらしてまで欲するものではない。そんなことを考えているとスラリンが、服の袖を引っ張ってきた。


「ねぇ、ジン。今日はお仕事休みなんでしょー?」

「ん? あぁ、そうだが……どうかしたか?」

「それなら一緒に遊んでよー! ねぇ、お願いー!」

「私も……遊んでほしい……っ!」


 スラリンの提案にリューも賛同した。


「ふふっ。あぁ、いいぞ」


 ここ数カ月はクエストばかり受けており、(ろく)に遊んでやれていなかった。しっかりと家族サービスもしなくてはならない。


「ほんとに!? やったー!」

「今日は……いい日……っ!」


 二人は嬉しそうに喜びを爆発させた。


「さて、何して遊ぶんだ?」

「砂遊び! 大きいお山を作りたいなー!」

「一緒に……お空の散歩したい……っ!」


 しかし、二人の希望はぱっかり二つに割れた。


「むっ、ただ空を飛ぶだけって、そんなの遊びじゃないよっ! 何にも楽しくないっ!」

「これだから……スラリンは子ども……。風を感じながら空を飛ぶと……とっても気持ちいいい……。それに砂の山を作りたいって……どうせ食べたいだけでしょ……?」

「ぎ、ぎくっ……!? あ、遊べるし、食べられるし それを言うならリューだって――」

「ま、まぁまぁ二人とも落ち着け」


 二人が小さな喧嘩を始めたあたりですぐさま仲裁に入る。こういう些細なことから、今まで何度大喧嘩に発展したことかわからない。早めに手を打つのが吉だ。


「今日はせっかくの丸一日休みなんだ。どうせなら思いっきり遊び倒そうか」

「「やったー!」」


 そうして俺はスラリンたちとほとんど丸一日遊び回ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ