27.絶望
一ヶ月以上更新が滞ってしまって誠に申し訳ないです。さて、お陰で当作品『Achieve〜与えられた試練』のPV数が100000を越えることが出来ました。
これも偏に読者の方々一人一人のお力添えの賜物です。感謝申し上げます!これからも応援を宜しくお願いできれば感激ですっ☆〃
果たすべき試練を果たせなかった。
そんな気持ちが心の中で渦を巻いていた。
ボクが立候補するという事で多くの人に迷惑を掛けてしまった。
そしてその中でも白木さんに掛けた損害はケタ外れ。
ボクが当選しなければアイドルを引退するとここで公言した以上後戻りは出来ない。
ボクは何で存在しているんだろう。
人に迷惑を掛けるため?
自分の私利私欲の結果このようになってしまった。
ボクは舞台袖に向かって歩き出した。
木野城くん、琉嶺先輩、白木さんは無言のままその場に立ちすくんでいた。
ボクはゆっくりと歩み寄って膝まづいた。
両の掌を地面につけて頭を伏した。
「ごっ、ごめんなさいっ……」
重い心持と共にその言葉が出た。
ボクが何回謝罪を繰り返そうとこの人たちに許してはもらえないだろう。
だけどその姿勢が大事なんだ。
「やっ、やめろよ、土下座なんて! あゆむは何も悪いことしてないだろ。頭上げてくれよっ」
「ボクは、ボクはっ……」
「ハハ、無様だな!源 あゆむとて所詮その程度。
誰が協力しようとも貴様が負でもってそれを打ち消す。
そう折角の労力も無駄と化す。
そもそも私と雪穂さんに勝るものなどこの世界に存在しない。
まさに私にとって雪穂さんは鬼にレーザー銃!
貴様の負けなんだよ、源あゆむ」
ボクは下唇を噛んだ。
そもそも選挙に出馬すること自体間違いだったのだろうか。
確かにボクに折角協力してくれた人の労力を無駄にした。
そのせいで白木さんの社会的な席を失う事になる。
ボクには何の手も残されていないのだろうか。
この事態を何とか挽回する何か、……何もない。
「さて、私が生徒会長となったからには勅命が出来る訳だ。
最初の勅命はこの源あゆむを校外追放することだ。
その施行は私が生徒会長に就任する明日から。
それまで精々自責の念に囚われるがいい。
そして二度と私と雪穂さんの前に姿を現すな!ハハハ」
木野城くんは近寄ってきてボクにだけ聞こえるように囁いた。
雪穂さんを見つめる。雪穂さんは目をボクから背けて俯いていた。
地面に平手でついた手を硬く握り締める。
辺りの空気は乾いていた。息がとても苦しかった。と同時に胸も苦しい。
ボクの背中に誰かが手を置いて擦った。
ボクが見上げると目の前には白木さんが擦ってくれていた。
なんて優しい人なんだろう。
そしてボクはその優しさに甘えるだけで何か返しただろうか……。
更に胸が苦しくなる。その好意は反ってボクの心の負担を大きくした。
「みなもと君はよく頑張ったと思う。それに、謝らないで。
みなもと君は何もしてないわ。私が好きでやってる事。
私はいつもみたいに活き活きしてるみなもと君でいて欲しいの。だから立って、ホラ」
白木さんはボクの手を取って立ち上がった。
ボクもゆっくりとそれに合わせて立ち上がったがやはり顔は上がらない。
「みなもとさんが落選したという事は全て私の責務。
みなもとさんが悔いる事は何もないのです。
私が詩条 雪穂さんに敵わなかったということ、大きな屈辱。
いつかこの屈辱を晴らします。だから次の選挙に出馬なさって。
その時はダントツな差をつけて勝利を差し上げますから!」
先輩は優しい声色でボクにそう語りかける。
気を使わせてしまっている……。悪いのはボクなのに。
全てを先輩達に任せて自発的に事を進められなかったこのボクのせいなのにっ。
「あゆむは気に病む必要ないんだぞ。
またチャンスはある!今回は状況が悪かったんだ。
それになりより俺の力不足が選挙に響いた」
「手塚 渉!キミはもうウチの部活には要らない。
今日付けで荷物を纏めて去りたまえ。
今までご苦労!ハハハ」
木野城くんは手塚くんの言葉を遮ってそう投げかけた。
それを受けた木野城くんから苦心の声が聞こえた。
木野城くんがパソコン部を辞めさせられる?
ボクは顔を上げて木野城くんの目の前に駆け寄った。
「お願いですっ、木野城くん!
手塚くんをパソコン部から除名しないで下さい!
手塚くんはボクが脅してこちらに加担したんだ。
だから手塚くんは悪くないっ。悪いのはボク、だからお願いします……」
ボクは木野城くんに懇願して頭を下げた。
「あゆむさん……」
雪穂さんが悲しそうな声で囁いていた。
「フン、人にお願いするときはそんな態度でいいのか?」
これも手塚くんがパソコン部を辞めさせられない為……。
ボクは跪いて、再び地面に平手をつけた。
「おっ、おねが……」
ボクの手が上方に引かれた。その手の主は手塚くんだった。
「何をするの!」
ボクは手塚くんに向かってそう怒鳴った。
「こんなヤツに土下座する必要なんてないっ!」
手塚くんも大きな声で言い返した。
「ボクがこうする事で手塚くんがパソコン部に残れるならそれで本望だよっ!
ましてやボクは明日この学校を去る。だからもういいんだっ」
ボクのせいで手塚くんがパソコン部を辞めさせられるなんて耐えられない。
このまま学校を去ることは更なる後悔を残すことになる。
そんなことは絶対にしたくない。
「誰がそんな事頼んだっ!俺が少しでもあゆむに頼んだか?
第一、俺はパソコン部になんて未練はないっ。そのクソ部長にそう言われずともこっちから辞めてやるよ。
俺をあんまり見縊ってくれるなよ!」
手塚くんはいつにもなく怒号にみちた声色でボクに向かってそう言い放った。
「分かったか?
貴様がすることは全て負の連鎖。友達の事を思ってしたつもりが裏目に出る、フン。
第一、貴様の対人関係はなんだ? 人に縋ってばっかりで自発的に何にも出来ないじゃないか?
人に何でもお任せ的な、迷惑極まりない厄介なにんげ……」
「オイっ! それ以上あゆむの悪口を言ったらお前をぶん殴って二度と口が聞けないようにしてやる」
木野城くんが言った事を遮って手塚くんはまたも声を荒げた。
「おいおい、暴力発言か? 礼儀を知らない無知な輩はコレだから困る。
仮にも今まで私の部員だった人間の言う事とは思えない。
フン、何度でも言ってやる、ここにいる源 あゆむは存在価値のないいなくていいにんげ……ムフっ」
「もう一度言ってみろ!」
手塚くんは木野城くんがそういいかけると物凄い勢いで殴りかかった。
木野城くんは勢い良く倒れこんでそれに手塚くんが馬乗りした。
「誰がいなくて居なくていい人間だって? エっ?
この世に居なくていい人間なんて一人も居ないんだよ!
あゆむの事を知りもせずに能書き垂れてんじゃねぇっ!
あゆむは思いやりのあるイイ奴なんだぞ、知ってたかっ?
他人が危険な目に遭ってると一目散に駆け寄って自分の危険を顧みないやつだって、知ってたかっ?
俺がパソコン部辞めない為に身代わりになろうとしたやつだって、知ってたかっ?
俺が影でお前の事を蔑んでいたらあゆむはお前は悪いやつじゃないって言った事、知ってたかよっ?」
手塚くんはこん身の力で木野城くんの顔を殴った。
何遍、幾度も、殴打。
「手塚くん、やめてよっ!」
手塚くんはこんなにもボクの事を思ってくれていたんだ。
それなのにボクは何をやっていたんだろう……。
ボクは手塚くんのお腹を抱えて木野城くんから引き離した。
「ボクが悪いんだ。ゴメンっ、ゴメン、本当に、ゴメン」
そういいながらボクは憤慨して今にも再度飛び掛りそうな手塚くんを抑えていた。
すると次第に手塚くんは静の心を取り戻した。
「フン」
木野城くんはそう言うとそのまま立ち上がることは無かった。
「晴紀さんっ?」
雪穂さんは木野城くんに近づいていった。
俯きそして手を取って脈拍を測っていた。そして顔を上げた。
その事態は辺りを混乱の渦に巻き込んだ。
辺りはどよめきを極めていた。
そしてその内のあるグループは出口に向かって走り出した。
おそらく先生にこの事を報告する為だろう。
ボクはそのドアの方に視線を送っていた。
そのグループはそこに目掛けて駆けている。
そんなグループはドアは締め切り状態な事を分かっているだろう。
しかしドアマンである先生に事態を知らせるべくノックしドアを解禁してもらうつもりだろう。
もうじきドアにグループが差し掛かる。
そこでボクは目を瞬いた。
そのグループが辿り着く前にドアが開け放たれたのだ。
勿論外にいる教師は現在の状況を知る由もない。
時間制でドアの開閉を行うのだから。
終了の時間まで残り20分……。
何故?
そんな開くはずの無いドアが今開け放たれた。
御覧戴き誠にありがとうございました。
もう少しで第一章が完結します!
正直ここまで来るのに長かったです……。
作者としては色んな方からの感想や評価を賜り吸収することが沢山ありました。その事をこの作品に活かせてないかもしれませんが次作で活かしてゆきたいと思います。次作も只今目下全力で執筆をしております。
ちなみにジャンルは恋愛モノのファンタジーです。
コメディ色に富んだ恋愛のファンタジーモノに出来るよう獅子奮迅の勢いで励んで参りたいと思います。読んで戴けたら幸いです!
評価・感想・投票ランキング等もして戴ければ嬉しいです。
それでは次話も読んで戴けたら幸いです。