22.支援者➁
詩条邸に帰宅し、自室に篭っていた。
勿論隣の部屋には雪穂さんがもう在室だろう。
ボクは色々聞きたいことがあった。
今からでもノックしに廊下まで出れば、この心配事は消えるかもしれない・・・・・・。
しかし踏み出す勇気が無い。
それはボクになにか原因があって支援者になってくれないという事なのか、
自分の思考は多岐にわたった。
ボクはベッドの枕に顔を埋めたまま結局夜ご飯を抜いて、夜が明けた。
「でボクはどうすればいいの?」
二時限目の休み時間。
ボクは後ろを向きつつ手塚くんにそう切り出した。
手塚くんは鼻息を立てながら腕を組む姿勢をとった。
「これ以降の授業サボるぞ!」
そう唐突に手塚くんがいう。
サボるって・・・・・・、ボクはこれから選挙に出ようとしてるんだよ!?
その候補者に若干グレてくれと・・・・・・。
それが策士のいう事なのかいささか疑問だよ。
「手塚くんの言ってる意味がよくわからない。ボクに堕落を教授したいの?」
「ちっ、違うに決まってるだろうッ!!
そんな事した時点であゆむの選挙は終了だ。
するこちらも困る。『策士、策に溺れる』なんてさらさらゴメンだからな。
俺が言いたいのは、これから支援者に会いに行くんだよ」
「それってこの学校じゃないって事だよね!?
だって、この学校だったら授業中だし有り得ない・・・・・・。
でも他の学校でも有り得ないか・・・・・・。
もしかして・・・・・・担任??」
あの卑猥な存在がボクの支援者になるのは拒絶させて貰うよ!
なんか話が進行しなさそうな事目に見えてるし、大体会話成り立たないし。
そう、発する言葉全てが淫乱。
若干前に痴女じゃないかなって思ったことも多々ある。
そんなワールドにボクを引き込まないで。
もし手塚くんが首を縦に振ったらどうしよう・・・・・・。
「・・・・・・、んな訳ないだろ!!
常識的に考えろ。教師ってのはいつだって中立の立場を取るんだ。
俺が言ってるのは・・・・・・、まぁこれから会いに行くし、その時までのお楽しみって事で良いだろう・・・・・・」
それから手塚くんは立ち上がり教室を出た。
ボクも後を追いかける。
手塚くんはどんどん廊下を歩いてゆく。
そして階段を下ってゆく。
3階、2階、1階。
その時手塚くんはボクの方を振り向いた。
「あゆむ、秘密の鍵って知ってるか?」
唐突にそう尋ねて、内ポケットから鍵らしきものを取り出した。
「何それ?」
「俺実は入ったんだ」
「何に?」
ボクがそう聞くといきなり手塚くんの鼻息が荒くなった。
ボクはすぐさま危険を察知する。
聞いてはいけない何か、触れてはいけない何かに手を掛けてしまったと。
気づいたときには手塚くんは口を開いていた。
「海パン・・・・・・」
「ヒィ〜っ」
ボクはその場を物凄い勢いで立ち去ろうとした。
「ちょ、待て!何か誤解してるっ」
ボクはその言葉で振り返ってみる。
「誤解って、手塚くん海水パンツマニアなんでしょ?
もっ、ももも、もっこり具合とととか重要なん、ななんでしょしょ?」
ボクの声は震えていた。
其れ程までにもボクの身の毛がよだっていたのだ。
「気にするかっ!!
その勘違い甚だしい誤解やめてくれるか!? 何か俺が変態みたいじゃないか?」
「変態でしょ、完璧に・・・・・・。否定しようないでしょ」
「ハァー。もういい。
とりあえず俺は水着が見たかった故に水泳委員会に入った。
そしてコレはその委員会室の鍵」
その理由はどうかと思うよ・・・・・・。
「ってことはそこに行くの?」
「そういう事だ。
しかしながら委員会室は水泳委員会のヤツしか入り口を知らない。
理由として挙げられるのは、男は狼だからだ!」
手塚くんはボクの方に人差指を向ける。
そして何故か知らないけど顔が得意げになっている。
「ボクにはその意味が全くと言っていいほどわからない」
「まぁ、いい。
さてこれから行く委員会室の居所は必ず秘密にしてくれ。
まぁ俺はあゆむを信じているから心配ないだろうが」
そういって降りてきた階段の方に戻る。
また階段に上るの!?
行って来た道を逆に戻るっていうのは今までの行為が無駄だったって事!?
ボクは肩を落としながらそう落胆した。
すると思いがけなくも手塚くんは階段横の掃除用具室のドアの鍵穴に先ほどの鍵を差し込んだ。
「そこは掃除用具室なんじゃないの?」
鍵穴を回しながら手塚くんは声を上げながら笑う。
ボクは何故笑っているのか意味不明であった。
「そう、確かに皆そう思ってるはずだ!
だからこそココには誰も入ってこない。上手く隙を突いたのさ」
そうして手塚くんはドアを引いた。
ドアを開くと今度は下りの階段が出現した。
地下・・・・・・!?
ボクは驚愕した。学校に地下があるなんて聞いたこと無いよ・・・・・・。凄すぎる。
ボクは息を潜めて手塚くんの後を追う。
手塚くんは階段を下りながら
「この下にあゆむを支援したいってヤツがいる・・・・・・」
ボクを支援したい人!?
そんな人いてくれてるの・・・・・・。
手塚くんそんな人とアポを取っていたなんて、意外と策士かも・・・・・・。
手塚くんが立ち止まった。
そう、段数がなくなったのだ。
平坦な地面。
正面に見えるのは扉一つ。
手塚くんはまた鍵を鍵穴に差し込んで回す。
扉は勢いよく開かれ室内が視界に入ってくる。
そこにいたのは・・・・・・
「源くん、来たのね?!」
その問いかけに対し手塚くんが代弁する。
「連れて来たよ。
しかしホントにあゆむの支援者になってくれるのか?」
手塚くんがそう聞くと
「うん、勿論。色々恩もあるし、それなしでも源くんはいい人だから応援するよ!
私、白木 爾菜は源 あゆむ候補の支援者として傘下に入らせてもらいますっ!」
白木さんは満面の笑みでそうボクに元気よく発言した。
白木さんがボクの支援者になってくれる・・・・・・。
「あゆむ、実はこれでも勢力的に足りない・・・・・・」
手塚くんはいきなり真剣な面持ちでボクの方を向く。
白木さんがボクの支援者になってくれるんだから相当な票が動くはず。
ボクは若干躍動していた、アイドルやってるんだし。
手塚くんの言葉でそんな躍動感が次第に薄れてゆく。
「どういう事?」
「状況を今一度整理するか・・・・・・」
ボクは固唾を呑んだ。若干の冷や汗が額を伝う、これは仕様なのだろうか・・・・・・。
お読み戴き誠にありがとうございました。
感謝申し上げます。
最近はスランプ気味というか、プロットは凡そ出来上がっているものの、それで上手く言葉を紡ぐ事が出来なくなってきております。
加えまして、当作品を読者の皆様に本当に楽しんで戴けているのか等の悩みの種も発足してしまい、それも影響してきているのかもしれません。
故にこんなに期間の空いた投稿となってしまいしました。まずはその事をお詫び致します。
このスランプからいち早く脱したいとは思っておりますがいつまで掛かるかは推測出来かねます。
ですので読者の皆様にはご迷惑をお掛けいたしますが、ご配慮戴ければ嬉しく思います。
感想・評価・投票ランキング等、皆様にご協力戴ければ私の執筆意欲が更に高まると思いますので、この作品に好意を抱いて戴いている読者の皆様がいらっしゃいましたら宜しくお願い致します。
それではまた次のストーリーを読んで戴ければ幸いです。
執筆者 Tale Jack