表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Achieve〜与えられた試練〜  作者: Tale Jack
★第一章 【第一の試練】
17/56

特別話➀.執事の夜 

*注;今回は番外編です。

尚、今回の話は次回のストーリーへの布石ですのでご了承ください。

加えて、PV20000突破致しました。

これも偏に読者様の日頃のご愛読により致すところであります。感謝申し上げます。

 時は雪穂さんの家に引っ越してきて間もない頃……。ある日の夜の頃だった。

 

 ボクは自室に入った。内装としてはボクの意志に関係なくしつらえられた高級感溢れる赤いカーテン、クイーンサイズのベッド。天井まで支柱が伸びていて支柱と支柱の間に垂れ幕のような薄くて白いシルク状の布が架かっている。下は大理石の上にこれでもかといったくらいに端まで大きな絨毯じゅうたんが敷き詰められている。

 

 窓はやはり天井から床までの直径あるガラス張りな重厚さが感じられる。ガラス越しに外を眺めてみる。やっぱり周りのイルミネーションが綺麗だ。光り輝く噴水の水面。光に映えて更に緑々しさを増す木々達。手入れがここからでも窺えるそんな観葉植物や芝生、アスファルト。

 

 見ているボクになんらかの希望を与えてくれそうだ。さて今日は色々あって疲れたし……。ボクはベットの方を見やる。ピンと張られたベッドのシーツ・掛け布ら、ふかふかそうな横の長さが4人分寝れそうな白い枕。こんな布団に眠るのにどれだけの勇気がいるか。

 

 自分はこんな豪華な部屋で快眠できそうな布団に逆に寝てしまっていいのだろうか。こんなに大きな枕だからドッペルゲンガーが出てこないなんて保障は何処にもない……。

 

 心配は日を追う毎に増す。しかし他の人になんか言えないし。よし! 心を落ち着けるためにお風呂に入ろう。そう思ってみたものの周囲を見渡すが何処にもお風呂場なんて何処にもない。どうしたものか……。

 

 まさかここの家の人ってみんなお風呂に入らないとか!? そんな不潔な……ってことはないか。

 

 平賀さんに聞いてみよう。いや、ここは隣の部屋の雪穂さんの方が早いか。そう思い立って部屋を出て雪穂さんの部屋の真ん前に立つ。そして軽く握った手を前に出し徐にノックする。しかし返事はない。

 

 どっか行っちゃったのかなぁ再度ノックしてみるもののやはり声はない。少々悪いとは思ったもののドアにピタリと耳を当ててみる。これで声とか気配が感じられなければ平賀さんの所に行こう。まぁどうせ結果は見えてるだろうけどね。

 

『……おっ、おう、あっ』

 

 何故か声がする。耳を澄ませて全神経を集中させる。

 

『あっ、…いい、あっ、そこっ、はうっ』

 

 ボクは耳を急いで離した。そして数歩後ずさり。こっ、これは……。中で一体何が行われてるの! まっ、まさか雪穂さんが!?そんな、……そんなはずは。 誰と? まさか……イケメンのコールマンを部屋に呼び出して夜中の調教!?

 

 もしくはイケメンコックを呼び出してアナタの腕はどうかしら、とか? うわ〜! ボクのイメージ上の雪穂さんがどんどん崩壊してゆく。あんなに大人しくて性格温厚で容姿端麗な雪穂さんが夜中の女ご主人様なんてそんな。

 

 雪穂さんってそんな攻め手でSだったんですか!?

 

 ふくろうより過敏な夜行性ですかっ!?

 

 夜に変化へんげを遂げる女狼ですか!?

 

 実は相当のやり手ですか!?

 

 もう頭がパニくっています。ここはもう乗り込むしかないよっ! ボクはドアの方に再び歩み寄る。そしてドアの前へ、若干左右を見渡す。大丈夫ボク一人! よしっ、ボクはドアノブに手をかける。そしてゆっくりとドアを引いてゆく。

 

 鍵が掛かっていなければいいけど。そんな心配はすぐに消えた。鍵が掛かっていなかったのだ。無用心すぎじゃないかな、雪穂さん。そして中をゆっくりと覗き込んでみる。

 

 今度は対照的に声や音すらもしない。一体どういう事だろう……。中に入ってゆく。そして大広間に辿り着く。シャンデリアのダウンライトだけが照らされた落ち着いた雰囲気。どっかの貴族のお部屋みたいだ、なんと豪華なことか。

 

 ボクの部屋よりも装飾が凄かった。室内なのに螺旋らせん階段があったりピアノがあったり……。なにより天井が高い。

 

『あうっ、いいっ、うっ』

 

 また声がする。どうやら右側の扉の奥からするようだ。この雪穂さんの部屋にはまたその中に6つくらい扉があった。ボクの部屋の反雪穂さん側の部屋の扉は外廊下に数歩歩けば行き着く。しかしながら雪穂さんの部屋から一番奥の外廊下までは一つとして扉がない。

 

 初めて見たときは不思議に思ったけどこういう事だったんだ。しかしまた不思議な事が急上昇、ボクの目の前に種が一つある。声のするドアの方に行ってみる。そして一呼吸おいた。

 

 落ち着いた時点でドアの取っ手に手をかけ一気に開錠! 中に広がっていた光景は……

 

「ひっ、平賀さん!」

 

 平賀さんがロ○オ○ーイにまたがっている姿があった。しかも物凄く気持ち良さそうな顔をしている。サングラスを掛けていてもその状況がよく分かる。しかしそんな平賀さん見たくなかったな……。

 

 ボクの声でその顔が急に唖然あぜんとなり雰囲気も凝固する。ボクと平賀さんは口を開いたまま顔を見合わせていた。肩には肩こり用マッサージ道具らしきモノが装着されていた。

 

 なんだが見てはいけないモノ、パンドラの箱を開けてしまったような感覚だった。どうしよう……、この状況をどうやって潜り抜けようか?

 

「みっ、見ていません! そっ、そんな平賀さんが健康道具を使って快感を味わっているなんて光景、見てませんから!」

 

 思いっきり顔を背ける。こんな嘘八百の御託ごたくを並べ立てた点前たてまえ的な処置など通じる筈はおそらくないだろう。

 

「いっ、いえ、なんというか、その……」

 

 『見られてしまったらしかたねぇ、貴様を処刑台に送ってやる。来な兄ちゃん、まずは磔を試してみようか……、ヒッヒッヒ……』とか言わないよねぇ。平賀さんって本性絶対隠してるって! まぁそれ以前に雪穂さんがこの場にいなくてそれはせめてもの救いだったけど。

 

「ご勘弁を! 私は日ごろ乗ってみたくて……その、乗った次第でして。あゆむ様には知られたくはなかったのですが……」

 

 平賀さんの額からは無数の汗が垣間見えた。

 

「大丈夫ですよ。誰しも疲れた時はリラックスしたいものですし」

 

 しかし、これが雪穂さんの部屋にあるって事はこれは雪穂さんのかな? 結構あんな雰囲気なのに日々疲れてるとか? だとしたらなんで気づいてあげられなかったんだろう……。

 

 ボクは健康器具を見つめていた。すると平賀さんが思いついたように忽然と言葉を発した。

 

「ごっ、誤解しないでください! これらはお嬢様の所有物ではないのです。私の部屋に置けなくて困っていたところを『私も乗ってみたいから』などという理由でこの部屋に置いて下さったのです! ですがそんな使った様子など窺えません。お嬢様は私の事を思ってくださったのです。本当に雪穂お嬢様はお優しいく思いやりにけておられ、思慮に分別のある方です」

 

 雪穂さんっていつもそうだよ、人の事を最優先だもんね。彼の有名な中国の思想家である旬子が唱えた性悪説を根本から覆しそうだよ。さすが、改めて尊敬しちゃうよ、雪穂さん。

 

「雪穂さんって色々凄いですよね。寵愛ちょうあいなんて言葉はあの人にはないのでしょう。皆、雪穂さんと関わりあう人全て平等にに愛を振りまいているとボクは思います」

 

 ボクはしみじみと言った。

 

「……雪穂様は執事である私にも愛想を振りまいてくださいます。私も若い頃雪穂様に色々助けて戴きただでさえ恩恵を預かっている身なのに。 ……、あゆむ様っ」

 

「はい」

 

「私がサポートできない部分はあゆむ様にサポートをして戴きたいのです」

 

 ボクはその時その意味を全く理解できていなかった。平賀さんのどんな想いが込められているのかみ取れなかった。

 

「はいっ、分かりました」

 

 ボクは何にも考えずにその言葉を言い放った。

 

「ところで私に何か聞きたいことがあったのでは」

 

 なんでボクの思っていた事がしかも今の今まで忘却の彼方へとあった用事が平賀さんにどうして分かってしまったのか? やっぱりこの要素はこの人も雪穂さんと同じカテゴリに同一化されるな。

 

「ええ、そうなんです!聞きたい事があったんです」

 

 そして後ろに数歩あゆみだして周りを見渡す、やっぱり見当たらない。平賀さんに向き直って再び話を盛り起こす。

 

「ボクの部屋や多分この部屋にもだと思うんですけどさっきお風呂に入ろうと思ったら見当たらないんですよ……」

 

 ボクは疑問の念を平賀さんに伝える。

 

「あぁ、すみません、この前まで部屋の塗装が未完成ということで28号館の方でお休みになっていたため、お伝えしてませんでした。誠にすみません」

 

 そう言って深々と頭を下げられた。そして頭を上げ再度話の続きを喋る。

 

当館とうやかたには各室内にお風呂は設けておりません。これは雪穂様起ってのご希望で全て当館の地上83階と地下〜6階までに温泉施設を兼ねそろえております。ですからそちらをご使用くださいませ!」

 

 平賀さんの手の上にはいつの間に用意したのか白いバスタオルとフェイスタオルと何故か下着と浴衣が用意されていた。恐るべし、平賀さん。お辞儀をして恐る恐る平賀さんの掌のモノを取った。そしてボクはお風呂に向かうのだった。

 

 

 

 

 番外編Part2乞うご期待! (未定)

読破戴きありがとうございました。

ここで私事で誠に恐縮なのですが、仕事の関係で今月の更新はこれをいれますとおそらく1〜2ストーリーとなります。どうかご了承ください。

しかしながら評価や感想、メッセージ等は随時お受付致したく存じ、同時に返信をなるべくしたいと思い致している所存です。

よろしければコメント・評価等宜しくお願い致します。


今ストーリーを書き上げた時点で思いましたが、やはりまだまだ腕が足りませんね。

申し訳ありませんと謝辞を述べるより日々精進し更なる飛躍を目指しますという宣言をこの場を借りてしたいと思います。応援宜しくお願い致します!


それではまた次のストーリーを読んで戴ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ