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Achieve〜与えられた試練〜  作者: Tale Jack
★第一章 【第一の試練】
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6.ニューフェイス

「さっきはビックリしたぜ」

 

 ボク達は先生から説明と弁解を受け終わった帰りに廊下を歩いていた。どうやら先ほどの事件は毒闇先生がボクの気力を失くさせてボクを自分専属のパシリにさせたかったという自己中心的且つ意味不明な理由が故の行動だったらしい。この学校にはこんな先生ばっかりが大半のウウェイトをしめてるのかって思っていた。まったく困ったものだよ。担任といい、理科教諭といい教頭といい……。渉もボクを見捨てなくたって……。まぁしかしながら何でボクをパシリにさせようとしたかという理由を聞いてみたら、「使えそうだから」いういかにも簡潔それ故に腹立たしい回答が返ってきた。ボクの何処に使えそうな要素を感ずることができようか。

 

 担任に加え理科教諭に対しても別の意味での不信感がわずか今日1日で得られましたよ。それに比例して渉の拒絶の仕方は比例してたけど。

 

「ぼっ、ボクはそんな気持ちは一切なかったんだからね。誤解してもらったら困る」

 

 言いふらされても困るけど、流石に渉はそこまでしないかな。そこは信じてみても良いかも。

 

「まぁそういうことにしといてやろう」

 

 行く先も分からぬまま、またまた長い長い廊下を歩いている。左方さほうから木漏れ日が差し込んできてその光が廊下中に充満し、ほんわかした雰囲気が漂う中何処まであるのか疑問に思ってしまう廊下を渉と一緒に歩いていたのだ。

 

「そういうことにしといてやろうじゃなくてそうだって!

 

 信じてよ! まぁそれは置いて置いて、今何処に向かってるの」

 

「あの光景を見て信じろというほうがおかしいと思うが、まぁあの後毒闇先生の弁解を受けたし信じてやるよ。あぁ、今向かっているのは……」

 

『パソコン部〜、パソコン部〜、会議をやるさかい、至急パソコン室に来なはれ』

 

 急にそんなドスの利いたアナウンスが手塚くんの言葉を遮る。

 

「っあ! しまった。俺とした事がッ! ワリィ、俺これから打ち合わせだからまた今度学校案内するよ。勘弁な!」

 

 そう言って駆け出してどこかへ消えてしまった。詳しくは今度聞いてみることにしよう。さて、これからどうしよう。ボクはその場にたたずんだ。ボクの横を通り過ぎていく人々はボク事をチラチラ見ていく。何もすることないし帰ろうかなぁ。ボクは腕時計を見た。平賀さんが来るまでは……、え〜っと、2時間近くあるな。どうしよう……。帰ろう、そう思って後方を見た。

 

 どうしたのかなと思い後ろを振り返ってみると向こうからこちらに向かって山積みのノートが歩いてきた。って足があるからそれはないか。時たま千鳥足でこちらにくるので歩いている人はそれを避けて歩いていった。山積み過ぎて顔が見えない。一体誰が……? 第一これを見て誰も何も思わないのだろうか。これは一人じゃ無理じゃないかな。ボクでも少しキビシイ部分があるよ。ってボクなんかと比べちゃダメか。

 

「あの〜」

 

 ボクはそのノート越しに声を掛けた。

 

「はい」

 

 透き通るような声。女の子じゃないか。なんでこんなものを女の子一人に運ばせてるんだろう。あまりにも可哀相だよ。

 

「お手伝いします」

 

 せめてボクがこの力不足に感じられるであろうボクが力になってあげられれば、そんな気持ちから出た言葉だった。

 

「えっ、あっ、ぉっお願いできますか……。さっきは学級委員の子と一緒に運んでたんですけどパソコン部の子で会議とかでそっちに行っちゃって」

 

 その子はノートを地面に置いた。ボクと少し境遇が似ていた。

 

「ふう〜」

 

 そう言ってその子はおもてを上げて額の汗をポケットから取り出したピンクのハンカチで拭う。なんとも言えないほどかわいかった。雪穂さんとはまた違う部類だ。黒のロングショートの髪型で目がクリクリ大きくしてどことなく輝きを放っていた。耳には少し控えめな赤く小さいイヤリングをしていた。雑誌とかに出ててもおかしくないレベルだ。

 

「あたしは2年F組の白木しらき爾菜にな、よろしくね!」

 

 白木さんは手を伸ばしてきた。夏服だから半袖である。腕から手にかけて真っ白でもの凄く目を惹かれた。

 

「ボクは2年B組の源あゆむ。こちらこそよろしく」

 

 ボクはいきなりで戸惑ったがしっかり手を取って握手した。

 

「同じ学年なんだね」

 

「うん」

 

 ノートを床に置いたまま立ち話をしていた。

 

「なんか凄い偶然」

 

 彼女はニッコリ笑ってた。こんな笑顔見せられたら、男子は皆落ちるだろうな……。そんな事を思っていた。

 

「じゃあ、半々でもっていこっか!」

 

 彼女の提案を受けて目線を下に落とす。半々というのは平等ではないと思う。男子と女子だし、ここは男子であるボクが大半を持って行った方がいいよね。そう思っておもむろに山積みになったノートの8割がたを手にとった。

 

「わるいよぉ、そんなに持ってもらっちゃ。私がこんなに少ないのはおかしいし……」

 

「いいんだよ。ボクは一応男の子だからこれぐらい持たないとダメなんだよ、というか持たせてよ!」

 

 これは勝手な自分の中の常識を言っただけだけど。でも普通はコレが妥当だとうなんだと思う。

 

「えっ、じゃあ、お願いしようかな……」

 

 白木さんは床に置いてある残りのノートを持ち上げる。さっきの表情より大分楽になったような少しほころんだ顔をしていた。ボクのこのボランティア的な活動は一応役に立ってるのかなぁ。少しでも楽になってくれればそれで。白木さんは持ち上げたのち

 

「じゃあ、行こ!」

 

 そういって前に歩き出す。ボクの方の歩幅がその場の感情で若干白木さんより遅くなっていた。それに気づくと修正しようと歩調をあわせる。

 

「白木さん……」

 

「はい?」

 

「何処にコレを持っていくの」

 

「教員室よ」

 

 なんか嫌な感じがした。あまり会いたくない人物が一人二人三人いたような……。まぁ即効で置いて帰ってくればいいかな。話が途切れてしまった。なんとかこの場をつながなければ。

 

「白木さんってなんか部活動入ってるの」

 

「ううん、入ってないの。入ろうと思ったんだけどやってみたい部活がなくて」

 

「みなもと君は?」

 

「ボク今日転校してきたばっかりだから入ってないんだ」

 

「ホントにッ? 転校生なんだ、どうりで知らない顔だと思った」

 

 白木さんはつぶやく様に言った。

 

「でも一応入るトコは決まってるんだ」

 

 そう一応お父さんの指令だから果たさなければならない。

 

「ドコに入るの? っあ、待って! あたしが当てるッ。……吹奏楽部?」

 

「いや」

 

「それじゃあ、マンドリン部とか?」

 

「いや」

 

「そしたら、コンダクター部とか?」

 

「いや」

 

 全部音楽関係なんだね。

 

「ダメ、もう降参。一体何なの?」

 

「……生徒会だよ!」

 

「生徒会……」

 

 白木さんはその場で立ち止まった。そして浮かない表情で再び歩き出した。その後階段を下った。それまで終止無言。白木さんの顔を見てみるとなんだか考え事をしているみたいだった。一体何を……。途中彼女の足が止まった。それに合わせてボクも止めた。少し白木さんに見入っていると、白木さんが目を合わせて口を開いた。

 

 その時ボクにはそれらが何を意味しているか知る由もなかった……。

 

 

 


読破ありがとうございます。

9月からの更新ですが日曜日(不定期)に行おうと思います。

ですがあくまで出来ればなのでどうぞ参考になさってください。

加えて評価・感想等をよろしくお願いいたします。

それではまた次のストーリーを読んで戴ければ幸いです。

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