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Achieve〜与えられた試練〜  作者: Tale Jack
★第一章 【第一の試練】
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5.怪薬

 しばらうずくまっていると隣で座り込んでボクの事なんて気にもしなかった手塚くんがさっきの如何いかがわしい本を閉じた。やっと読み終えたのだろう。ボクは少し安堵した。やっとボクの心配をしてくれるのかな。

 

「っさ、持って帰ろう!」

 

 えっ? お持ち帰りですか? ここに置いてあった、いや、落としてあったんだからここに戻したほうが……。可能性としては窃盗せっとうになりかねないよ。とはいえそんなこと注意できる状況じゃない。結構限界まできてる。

 

「待たせたの」

 

 そう言って何処からか分からないけど先生の声が聞こえた。何処にいるの? 携帯の明かりはもう手塚くんが如何わしい本を読み終わったことにより消えていて辺りは再び暗闇にいざなわれた。再び不安がやってくることもなく、別の意味の緊張がやってきた。隣の手塚くんは何もすることがなくなったからか先生を気にし始めた。

 

「先生ぇー? どこにいらっしゃるんですかー」

 

「ここじゃよ」

 

 いきなりボクの耳元に先生の声が聞こえた。ボクはなんかものすごく気持ち悪い感じがした。耳元で微妙に震える先生の声。何度もボクは耳をこすった。そしてボクは振り返る。先生は小さい試験管を持ちながらしゃがみこんでボクの方を見ていた。しかもその試験管の中にはさっきとは違う色、エメラルドグリーンのような色彩を放つ液体が入っていた。見るからに怪しい事は言うまでもない。一体なんだろう。ボクは先生の手元に持っている試験管をずっと見つめる。それを見てか先生は

 

「気にするな! すぐに分かる」

 

「嫌な予感がするぞ」

 

 隣で手塚くんがつぶやく。ボクも同じ気持ちだよ。何をしようとしてるんだろう。すぐ分かるって……っあ! 先生はいきなりその液体を口に含み始めた。もしかして先生が飲んだ? 先生は瞬時にボクの頭の髪の毛をつかんで先生の顔に近づけ始めた。

 

「先生! 痛いですっ! イタイッ」

 

 痛がるボクを尻目に先生はいきなりボクの唇に先生の唇がピタリ、先生は吸い付いた。その光景を隣で見ていた渉はすぐさま後ずさりした。

 

「ん〜〜っっ!」

 

 先生は挙句の果てにこんな声を上げるボクなんかおかまいなしに口の中の液体をボクに流し始めた。

 

 これは悪夢だろうか……。それなら早く覚めてくれ。ボクは先生の額を思いっきり突っ張って顔を引き離した。その瞬間ボクは口の中のモノを思いっきり吐き出した。そのブハァ〜と勢い良く吐き出したモノは運が良いのか悪いのか、先生の顔に思いっきり噴射できた。だが不運にも少しその液体を飲み込んでしまった。

 

「なっ、何するんですかッ! そんな趣味ボクにはありませんよっ!!」

 

 ボクはそういいながら腕で口を拭う。でも先生の唾液だえきぬぐいきれても、唇の感触は拭うことが出来なかった。それでも何回も、何回も拭う。そんなボクを見て先生は意外な言葉を残す。

 

「……ワシもそんな趣味ないもんッ」

 

 なんですか? その回答は。先生の目を睨む。ボクの初めて……いや、これはカウントしないんだ。うん! コレはノーカン。

 

「おぬしのためじゃよ」

 

 先生は続けてこう言った。ボクの為? 何故に。

 

「どういうことですか」

 

 ボクは少し怒り気味に言った。先生の目を睨むのを少々弱める。

 

「おぬしの下半身……」

 

 ボクの下半身そういえばもうキツくない。丁度いい感じになってる。先生はボクの事を思って……。

 

「ありがとうございます」

 

 ボクはしゃがみながら頭だけペコリ礼をする。

 

「ありがとうございますとは?」

 

「っえ?」

 

「ボクを助けてくれたんじゃ……」

 

「おぬし、なんか力が抜けていく感じがしないか」

 

「しませんけど……」

 

「何? ワシの特製PWQ183−LZ薬品が効かないだとっ! 効かないはずはないっ」

 

 人に勝手に薬を口移しして飲ませて効かない、効くの次元の話じゃないでしょ。やっぱりこの人信用できない。そんな事を思っていると辺りがいきなり明るくなった。上を見上げると蛍光灯がついたのだ。一体誰が? 辺りを見回すとやっぱり机や実験器具ばかり。ボクたちの周りは机に囲まれていた。しかし前方だけは机がなく、あるのは扉だった。しばらく見ていると扉がガラガラーっという音と共に開いた。そこから出てきたのは白衣のポケットに手を突っ込んだ若い女の人だった。しかも美人。なんでこんな人がここに?

 

「おいハゲっ! 老いぼれっ、ここで何をしてる」

 

 っえ? ボクは目を疑った。

 

 こんなに美人な人なのに言葉遣い悪いの?

 

「ひぃ〜えっ! 雪野先生っ! 何故ここに、確か、出張のはずでは……」

 

「静養の為に出掛けるつもりでしたが、論文が仕上がっていないことに気がついて戻ってきました!」

 

 一体何が起ってるの?

 

「戻ってきてみれば、どうせまた生徒に変な薬飲ませたんでしょう!いつもいつもバカの一つ覚えみたいに……。ほんと、さすがハゲですね」

 

「こめんなさいですじゃ。もうすぐ教頭と柊先生と植毛サロンに行ってくるから許していただきたい……」

 

「おい、ハゲっ」

 

 そう言ってその女の人は毒闇先生の胸倉むなぐらを掴んで顔を近づけた。

 

「ひぃ〜〜」

 

 先生は悲鳴をあげる。ボクと渉は別空間にいた。先生が少し可哀相でもあったが、さっきのお返しというかなんというか、助けてあげる気持ちはあまりなかった。というか、皆無かいむに等しい。

 

「そんな事を聞いてんじゃねェ。生徒さん方に迷惑かけたんだろぉっ? それもこれもテメェの日頃の素行そこうが悪いからだろうが。毎日毎日飽きずにエロ本ばっか見やがって。しかもこの前私に隠れて表紙がスク水着てたロリ女が出てた本買ってたよな。あの誓約書書いた翌日に! 黙認してやった恩も忘れやがって。おどれは物覚え悪いサルか? 少しは学習能力を身につけろっつーんだ! いいか。今すぐ迷惑をかけた生徒さんに土下座して謝れっ! ……いいですね?」

 

 その女の人は引きつった笑顔で毒闇先生を見る。先生の頬に汗が流れるのを確認できた。多分冷や汗だろう。先生は怯えた声で

 

「はい」

 

「ごめんですじゃ」

 

 ボクの方に向き直って正座をして頭を下げた。この先生よりこの女の人って力関係的に上なんだなぁ〜。完全に尻に敷かれてるよ。

 

「もうしないで下さいね」

 

 ボクは弱い口調でそう言った。そう、もう二度と男の人と口付けなんて交わしたくない。気持ち悪くて逆に鳥肌が立つよ。

 

「ごめんなさいね。この通りよ」

 

 その女の人は頭を下げた。

 

「いや、もういいんですよ」

 

「私はこの先生の助手をしてる者で、雪野雫よ。この人の無礼は許してあげてね。多分好奇心からだと思うの。

 

 彼女とのその後の会話はそれから続いた。

 

 

 


読破お疲れ様です、と共にありがとうございます。

まず最初にラブコメとお知らせしておりますが未だラブの部分を出せずにいる自分に少々もどかしさを感じております。それにつきましては謝罪申し上げます。

段々とヒロインやその他の女の子を出しつつ自分なりの本来のラブコメに近づけて参りたいと思っている所存ですのでどうか気を長くして待っていただければ嬉しい限りです。

質問・感想等ありましたら是非、評価の方を宜しくお願い致します。

それではまた次のストーリーを見ていただければ幸いです。

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