1.初対面
未熟な私ですが読者の皆様のお力をお借りして成長したいと思っているのでよろしく御願いします。この作品に少しでも興味を持って戴ける様精一杯励んで参ります。
「……て……さぃ。すみ……て」
ボクの身体が誰かに揺すられる。誰なのか分からない。もしかしたら莉紗子かも。だとしたら起きなくちゃいけない、でないとまたクドクド言われてしまう。
「う……うぅ、ふぁ〜っ」
家のベットってこんなに硬かったっけ。もっとふっくらしてたような気が…。そんな違和感を覚えながら起きて伸びをする。
------長い間眠ってたのかな
目を擦りながら自分に話しかけてきた声の方へ顔を向ける。
「やっと起きていただけました? もうすぐ日が落ちますし風邪をひいてしまいます。加えてそこのベンチに腰を掛けていてもバスは来ませんよ。残念ながら今日はバスの休業日なんですから、……。それともたまたまココに腰を掛けていたのですか?」
この人誰だろう? そう疑問に思った。そして辺りを見回す。そうか、ここで眠ってしまっていたんだ。
ベンチやバス時刻表に向いていた視線を目の前の女の子に戻す。
ショートロングで茶色がかった髪、目が大きくて口元が小さい、夕日のせいか唇は朱色に染まっているように見えた。なんでボクに声を掛けてくれたんだろう。でもちょっと嬉しい。
辺りは確かに薄暗くなっていて、街灯がつくのだろうか眩い光がチカチカ点灯し始めている。
思い出した。これから通う新しい学校に、転校届けをお父さんと出しに行った帰りバス停に着いた。その時急にお父さんが近くの仕事場に用があると言った。だから一人でバス停に待つことになってしまった。定刻のバス時刻になっても中々来ないので、そのまま寝てしまったんだ……。 っえ、バスがもう来ないって言ってた、あぁどうしよう、家に帰れないし。迎えに来てもらおうにも携帯を自室の机の上に充電しっぱなしで置いてきたからないし……。
自分のマヌケさをただただ自覚するしかなかった。
「はぁ〜、何で確認しなかったんだろう……」
溜息交じりにそう言い捨てる。
「はいっ? ふふ」
咄嗟に出た言葉に対し女の人に笑われてしまった。
「お隣いいですか」
「えっ、ええ……どうぞ……」
そういって女の人はボクの横にチョこんと腰を掛ける。顔があまりにも綺麗で整っていたので、思わず彼女が隣に座る事に何の違和感も抱かずそう承諾した。
「お名前を教えていただけませんか?」
「源あゆむです」
「あゆむさん……ですか。私は誌条雪穂といいます」
「よろしくです」
そう挨拶すると、誌条さんは黙って口元に笑みを浮かべながら軽く会釈する。
「歳はおいくつですか?」
「えっ、歳ですか。17歳ですけど……」
「17歳ですか? ちょっと驚きました。失礼ながら、てっきり私より数個下だと思ってしまって。私と同い年なんですね?」
前にかかった髪を掻き分けて、上品にウフフと笑いながら右手を口に当てる。
同い年、という事はこの人もボクと同じ高校2年生なんだね。てっきり年上かと思ってしまったよ。
「差し支えなければ学校はどちらか教えて戴けませんか?」
「え、あ、はい。えと……」
ふとボクの持っていたカバンを開けてワタワタしながら学校の資料をみて
「あ、あった……奏応学園」
ボクは手元のパンフレットから顔を上げて
「奏応学園です」
ボクの手にしている学校からもらったばっかりのパンフレットの学校名が記載してあるところに指をさして言った。
実は転校すると両親から教えてもらったのは引っ越してから。ボクは最初引っ越したところから前の学校まで全然通える距離だったからかようつもりだったんだけど、ちょっとした諸事情で通えなくなっちゃって。だからここの学校の詳細を聞いたのは実質さっき。さすがに今日の朝まで学校は転校しないものと思ってたから唐突にお父さんに『今日転校手続をするから支度をしなさい』 と言われた時は物凄くビックリした。でも妹やお母さんは驚いたような素振りはしなかった。聞いたらボクにだけ言うの忘れてたんだって。通う本人が知らされないって一体全体どういうコト。頭の中が真っ白だった。新しい友達や先生達、確かに素晴らしいコトが待っているかもしれない。
でも正直新しいトコロでやっていく自信がなかった。勿論前の学校を離れたくないっていうのもあった。折角一年間付き合ってきた友達や先生達なんだからこのまま一緒に卒業したかった。でももう決まってしまった事だし、お母さんや莉紗子が同意してるなら仕様がないことなんだ。そう無理やり思い込もう。
「一緒、ですね。もしかして転校生さんですか。」
やっぱり分かるよね。学校の名前もパンフレットを見なきゃ分からないんだから。
「はい、明後日からここに転校してきます」
「へぇ〜そうなんですか。でも不思議ですね。この6月に編入してくるのってものすごく大変なんですよね。途中からの編入試験ってものすごく難しいって言いますし」
雪穂さんは人差し指を顎の辺りに当てて思案していた。
「あ、あっと、なんとかたまたま、たまたま編入することが出来ました」
ボクの目は斜め上を向いていた。試験なんて受けてませんなんて言えないよ。第一、お父さんから試験のしの字も出てきたっけ。多分出てきてない、と思う。そんなのがあるなんて一言も言わてない。試験を受けずにこの学園に転入できたのはなんでだろう。その疑問ばかり頭の中をリフレインしていた。
「謙遜しなくてもいいんですよ。本当に凄い人っていうのは口には出さないといいますし。それより、どこに行かれる予定だったんですか。もしかしてご自宅ですか」
「えぇ、でもバスが来ないとなると、困りました。結構自宅からここまで距離があるもので…」
「もしよろしければ、車でお家までお送りしましょうか」
いきなりのもち掛けだった。流石に出会ったばかりの人の車で送ってもらうのは気が曳ける。
「い、いえ。流石にそれは申し訳ないので」
「困っている人を見過ごせないんです。どうかお役に立たせて下さい。」
こう言われてしまうと自分は弱い。目の前の彼女に少し目配せしながら悩んでいると、逆に純粋な目で見つめ返されてしまう。この状況にもう耐え切れず、ボクは首を縦に振る。彼女はそれを見るなり嬉しそうな表情をして、ポケットから携帯電話を取り出して何処かへ通話をする。そして数分後、その携帯電話をパタンと閉じ再びポケットの中へと閉まった。
「はいっ。じゃあ行きましょうか、それと一旦家に帰る用事があるので先に自宅に寄らせて戴けますか? そこから車でご自宅までお送りします、自宅はわりと近いので徒歩で向かいますね」
「えぇ、いいですよ」
そう答えると、雪穂さんは立ち上がってボクの手を引いて前へと歩いていった。
「最近引っ越してきたってことはここら辺を歩くのは初めてですよね」
なんでだろう。手を引かれてるだけで顔がほてって。いや、でもこれはいわゆる初体験なわけだし仕方ないっていったら仕方ないのかもしれないけど。
「あゆむさん。大丈夫ですか」
「え、あっ、はい。気にしないで下さい」
初めてなんです、女の人に手を引かれるの…なんて言えるわけないよ。ボク達はそのまま道なりに歩いてゆく。海に面した一本の道路を。右側には木が生い茂る丘。そこの頂上に学園がある。左側にはボクたちが歩くがけの下に海岸があって夕日が海の水面に反射してダイヤモンドのような光を放つ。歩いて行くに連れて街灯が設置してある間隔が次第に広くなっていっているような気がする。モチロン、ボクの考え違いかもしれないけど。ってコトは街から遠ざかっているってコトかな。これも想像だけど。ボクは雪穂さんの家へ向かっていった。
「ここが私の家です」
「えっ」
雪穂さんの家に到着した頃には夕日はもう沈んでいた。あまりの驚きに目をパチクリ大きくしてしまった。大きな門扉。周りは物凄く高い塀。 外側を見るかぎり豪邸以上の邸宅。家というより城に近い。雪穂さんは門扉の前に立つとおもむろに自分のスカートのポケットから携帯電話を取り出して
「私です。只今帰宅いたしました。開場していただけますか」
そういって電話を切ってまたポケットにしまった。ん、携帯電話? なんだったっけ。なんか忘れてる。途端に門扉がキィーという音を立てて徐々に開いてゆく。すると真ん前に一台の黒塗りの高級車(?)が止まっていた。その車はエンジンをウォ〜ンという音を立ててボク達の側につけた。そして運転席から一人の中年のSPらしき男の人(黒サングラス装備)が降りてきた。
「お迎えにあがりました、雪穂様。そちらの方は、どなたでしょうか」
その男の人はそういうと走ってボクの目と鼻の先まで顔を近づけて下から上へとなめ回すように見た。絶対このサングラスの奥の瞳はボクに眼を飛ばしてるぅ。ものすごく冷や汗かいてきた。
「平賀、その人はわたくしの客人です。そんな態度は失礼に値します。おやめなさい」
そうおかんむりな口調で雪穂さんが言うとそのSPらしき男の人は
「し、失礼いたしました。そうとは知らず……」
そういって頭を下げた。というか客人じゃなかったら来ませんって。とういうかボクの手がまだ雪穂さんの手から放されてないんですよ。
「この人は平賀圭。見ての通り運転手です、恐そうに見えて恐くないんですよ! 少なくとも私たちは怒ったところを見たことはありません。加えて意外すぎる趣味もおありのようですし」
そういってクスクスと雪穂さんは笑い出す。こんな眼飛ばしてそうな男の人に意外すぎる趣味って……何?
「おっ、お嬢様。恥ずかしゅうございます。いやっあのっ、コホンっ、お乗りください」
そういって男、いや平賀さんは後部座席のドアを開けた。
「ありがとう。っさ、あゆむさんも乗ってください」
そういって雪穂さんは後部座席奥へと詰めた。ボクは渋々乗り込んだ。それを確認して平賀さんも運転席に乗り込んだ。
「本日は33号館でよろしいですね」
「ええ。よろしくお願いします」
電話を借りたいだけなのに。ん? 電話? そうだ! 雪穂さんがさっき持ってた携帯を貸してもらえばよかった。あぁ、失敗だぁ。わざわざここまで来なくても。なんか申し訳ないし。窓から辺りを見渡す。辺りはライトアップされていて光の三原色をベースとした様々な種類のお花畑や大きな噴水、テニスコート、湖、建物は洋館(お屋敷)が主だけど和風の建物もいくつかあった。というかアメリカのワシントン辺りの白いでっかい建物に似たものもあったような。ふと雪穂さんに視線を移す。この人は一体何者なんだろう。
「あの、ゆっ、雪穂さん……」
「はいっ」
そういってニッコリ微笑みかけた。
「んと、なんで色々な建物があるんですか」
「ええ、それは父がやっている仕事の関係で色々な人がココに出入りするものでしてこんなに建物があるんです」
「お父さんは一体何をやっているんですか」
「投資の傍ら外資の仕事をしております」
投資?外資? だからこんなに敷地面積が大きそうな豪邸に住んでるのかな。でもこの話題から話を展開させて他の話題をふることはできなかった。
この度はPrologue Firstを読破いただきありがとうございます。いや〜、笑えるエッセンスゼロですね。なんて私が言っちゃっていいんでしょうか。ラブコメと銘打って皆様に通知していながらのこのストーリー。最初なのであまり笑いを入れられるような腕があればいいのでしょうが、残念ながら私にはそんな技術は持ち合わせておりません。やはりまだまだですね。次のストーリーを読んでいただければ幸いです。
※追記(4月1日)
読者の皆様からのご指摘もありまして前半部分の大幅改編を行う予定です。
ストーリーの主軸は変わりませんのでご安心下さい。
尚、現在は時間的に余裕がありませんのでストーリーの改編のメスはまだ入れられる見通しはありません。
そこで、この短時間で出来る事と言ったら文法の間違いを修正する事だと思いましたので更新させて戴きました。
徐々に突っ込み所を減らしてゆこうと思っておりますので変わらぬ応援の程宜しくお願いできれば幸いです。
また、何かおかしい部分があれば仰って戴ければ嬉しいです。
加えましてご評価・投票ランキングの方もして戴ければ感謝致します。
この場を借りて一応宣伝をさせて戴きます。
私にとって『なろう』に投稿した中で処女作である『Achieve〜与えられた試練』に続く新たな作品を企画・執筆中です。
一応ファンタジー(魔法)・ラブコメを題材とした王国物語を予定しております。
題名もまだ決まっておらずまだ3部分までしか執筆できていない状態ですが10部分程執筆出来次第投稿したいと思っております。その際にはこの作品とリンクしてご閲覧戴ければ感激です。それでは長々と失礼致しました。