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あやかしの許嫁になりました~百鬼夜行の導き~

お久しぶりです!遅くなりすみません。

招かれた和室には、私とおばあちゃんの2人だけ。

気のせいだろうか。空気が重く感じてしまう…。


あやかし、とおばあちゃんは言った。

さっきは簡単に信じてる、なんて言ってしまったけれどもっとちゃんと考えて答えれば良かったと、今更だが思い返してしまう。


とりあえず、話を聞くことにしよう…!

深く考えるのはその後でも遅くないはず。




「咲ちゃん…」


「は、はい!?」


急に名前を呼ばれたので、思わず裏返った声が出てしまった。

あ……おばあちゃんがオロオロしてしまってる…。


「えっとね、ちょっとビックリしただけだから!」


「いいえ、私の方こそ驚かせちゃったわね。」


ニコッと微笑むおばあちゃん。

先程の重々しい空気がスッと軽くなった気がした。


さて、そろそろ本題に入らねば。



「おばあちゃんがさっき言ったことについて、詳しく話して欲しいな。あやかしとか妖怪って何のことなの?お祭りに関係してるの?それともこの村に関わってるの?」


「そうよね……不安にさせてしまったわね。そうさせるつもりは無かったのよ。」


いや、おばあちゃん…不安というか気になるんです!!

不安は不安だけども。


おばあちゃんは少し目を瞑り口を開いた。


「じゃあ、話そうかしら。この村と…………………私たちとあやかし達のことを。」









※祖母side


この村にはね、昔から言い伝えがあるの。

伝説とも言うかしら。


もともとこの村はあやかしが多く住み着いていて、あやかしが住む隠世(かくりよ)常世(とこよ)と私達人間が住む現世(うつしよ)を繋ぐ唯一の場所なの。



あやかしには、人に取り憑き悪さを起こす者もいれば、幸福をもたらす、人に対して無害な者もいるわ。


この村にはそんなあやかし達が(つど)うの。


特に、夏祭りの時期は盛んにあやかし達が訪れるわね。


この村に住む者、または住人の血縁者にはあやかし達の姿を見ることが出来るけど、普通の人の眼にはあやかし達の姿は映らないわ。


でも時々、聴覚や気配のみであやかし達を感じ取ることができる人はいるの。


私はこの村の住人だから、勿論あやかし達が見えるわ。

咲ちゃんもきっと見えるでしょうね。




この村にはどんなあやかしがいるのかって?


いろんなあやかしがいるわよ。よく見かける者からレアな者まで。この村はきっと住みやすいのね。


この家のすぐ後ろに大きな山があるでしょう?


あの山は天狗山といって、その名のとおり天狗がいるの。

神出鬼没だからなかなか姿は見られないだろうけど。


他にも沢山のあやかしがいるわよ。

優しい者もいれば、気が荒い者もいるわ。最初はお互い警戒心が強いだろうけど、咲ちゃんならきっと打ち解けられるから。


でも、人間を襲い喰らう(たち)の悪いあやかしもいるから、十分に気をつけてね。


それとあやかしの中には人間を攫う者もいるから。

いわゆる『神隠し』ね。


人間を隠世に攫い喰らう。または、女性なら嫁に迎える例もあるみたい。


あら!

咲ちゃん、怖がらなくて大丈夫よ。


この村で神隠しが起こるということは、あやかしに認められ、気に入られた証拠でもあるのだから。

この村での神隠しは喰われたりはしないから安心して。


あくまで『この村では』だから、村を出た時は注意しなくちゃね。



でも、人間を襲うあやかしがこの村で神隠しを起こしたら……どうなるかって?


咲ちゃん、その心配も貴女にはいらないわ。


どういう意味?って顔をしてるわね~。


まぁ、そのうち分かるから!


そうね……一応言っておくけれど、(たち)の悪いあやかしがこの村に住み着いているのも確かだし、そのあやかしが神隠しを起こして人間を攫うことも十分有り得るわ。


その時はそれに対応してくれるあやかしがいるし、村の住人らも動くわ。

だから、大丈夫。




長々と話しちゃったわね。


じゃあ、最後に…………………………。




この村で神隠しがよく行われるのは、夏祭りの時なの。


咲ちゃんは、『百鬼夜行(ひゃっきやぎょう、ひゃっきやこう)』って知ってるかしら?


百鬼夜行っていうのは、あやかし達の行列・群れのことよ。


百鬼夜行に遭遇し迷いこめば、あやかし達に連れていかれるという話があるわ。


さっきも言った通りこの村での神隠し、百鬼夜行は恐ろしいものではないから!


あやかし達に会えればきっと歓迎されるだろうから。



咲ちゃん…夏祭り楽しんでね!


この村はあなたを心から歓迎するわ。








※咲side


笑顔を浮かべて、おばあちゃんは私の手を握る。


「充実した夏休みを過ごしてね!」と言って。


おばあちゃんの手は暖かくて、不思議と安心する。


「うん。ありがとうおばあちゃん。全力で楽しむね!!」


私も笑顔で返す。


あやかしってどんなものかよく分からなかったけど、おばあちゃんの話を聞いてあやかしに興味を抱いていた。



会ってみたいなあやかしに。


見ることが出来るならばこの目で確かめたい、あやかしという存在を。



おばあちゃんは「浴衣の準備をするね。」と言って部屋を出た。


久しぶりだなぁ、浴衣着るの。

なんか照れくさいな~。



さて、私もおばあちゃんの所に行こっと!




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