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それが普通なのかもしれない

 その日もお昼休みにロランがやってきた

 他の従業員と、楽しそうに談笑しているのを見て僕は、何でこんなに取りいるのが上手いんだと思う。

 でも、それが普通なのかもしれない。


 むしろ僕がおかしいのだ。

 ロランの心の声が読めてしまうから本性を知っているけれど、皆はあのロランしか知らないのだ。

 僕だって心の声が聞こえなかったら、すでに絆されていたのかもしれない。


「……この力があるから、僕は未だに恋人が出来ないのかな」


 ただ漏れになるエロワードに、僕は辟易しているのか。

 自分は魅力的らしいと心の声からも分かっているので、防御が出来るのは幸運だが。

 やっぱり初めては可愛い女の子がいいよな。


 あ、でもロランが女装したらそれはそれでいいかも。

 あの金髪に青い瞳にドレスは似合いそうだよな……そう考えると僕は幸せな気持ちになる。

 だが暫く幸せな気持ちになって、すぐに僕はこんな風になっている場合じゃないと思った。


 あいつは体目当ての可能性があるのだ。

 そう思うと胸が締め付けられるように苦しくなって、何も考えられなくなってしまう。

 僕は一体どうしてしまったのだろう。


「このまま逃げてしまおうかな」


 ポツリと呟くものの、お店に迷惑はかけられないしと僕は嘆息してようやく最後のお皿を吹き終わったのだった。







 いつもの公園に来た僕達。

 ロランが僕の顔を覗きこんで、


「チーズケーキを持ってきたのだけれど……今日は元気ないね」

(色気より食い気の猛獣にしては珍しいな。……まさか誰かに美味しくいただかれたとか?)


 心の声に、僕がそんな簡単に喰われてたまるかと突っ込みを入れつつ僕は、ロランに切り出した。


「ロランは何で、僕に……優しくしてくれるの?」


 正確には下心満載でどうして僕のご機嫌取りをしつつ、何度も通うのか、である。

 銀髪美人ならいくらでも他に居そうな気がするのだ。

 こんな、ロランの言う猛獣な僕ではなく。


 これだけ無碍にしてなびかないでいるのに好感度は上がるは足蹴く通うわ、何か理由があるとしか思えない。

 それともあれか、こう、なびかないのが逆に良いとか?

 でもロランに絆されたような行動をとれば即お持ち帰りな感じだ。

 こう、慣れている感じがするし。

 考えていたらいらっときた僕だが必死に我慢していると、ロランが困ったように笑って、


「それはリュシー、君が好きだからだよ?」

(ん? もしやここで押せば落ちるか? そうしたらお持ち帰りして、たっぷりエロい事をしてやる。そうしたら、多少、本性だしてもかまわないし)


 更に事態が悪化しているがそれよりも話を聞くのを僕は優先する。


「でも、こんな風に来るのって理由があるんでしょう?」

「君に一目ぼれしたから、それではだめかな?」

(まあ、一目ぼれしたのは事実だしな。頭からこのリュシーという猛獣の事が全然離れないし……こんなの初めてだ。とはいえ切っ掛けはあれなんだよな、俺の周りに銀髪令嬢はべらしていたら、いい加減にしろと怒られたあげく、こうなったんだが)


 心の声を聞いた僕だが、僕は罰ゲームか何かか、そう思った。

 でもロランが僕に一目ぼれして本当に好きなような感じがする。

 ただ銀髪フェチなので銀髪に惚れているだけなのだろうか?


 今の話でも銀髪令嬢を侍らしていたみたいだし。

 というか連れて帰ってエロい事をしたら、本性だしても良いよなってさっき思っていたし……ないわ、ないない。

 どうやら僕はロランに恋しているというのは気のせいだったようだ。

 なので僕は作り笑いを浮かべて、


「そう、なのですか。ちょっと不安になってしまって」

「そうなのかい? そう、だよね。あ、ケーキを食べよう、今日はチーズケーキなんだ」

(なんか壁を作られたぞ? どうしてそうなるのか分からないが、俺に落ちないはずはないから、とりあえず餌で釣っておこう。しかし本当にリュシーはエロ生命体だよな、なんだか見ているだけでむらむらするし)


 更に悪化してやがるこいつ、というか誰がエロ生命体だと思いつつ必死に抑えているとそこで、ロランが少し離れた場所を睨みつけた。


「リュシーを見ている妙な奴らがいるね」

(誰だあいつら、俺の手の者じゃないぞ?)


 それに僕は、ロランじゃないのと驚くが、まだこの時僕は自分の力を過信していたので深く考えはしなかったのだった。


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