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卯田くんとおにぎり  作者: 王石 勉
第1章:卯田くんとおにぎりと夏休み
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鬼蔵さんと烏賊

(´・ω・`)イカした話を目指さなイカ?

とんでもない武士もののふと遭遇し。山と暗闇を掻き分け。洞窟を目指す。

切り落とされた腕の切り傷がじゅくじゅくと痛む。


洞窟を抜けると。顔なじみの営門の姿が見えた。

「おう、どうした、鬼蔵…。」

我の姿に。言葉を失う、営門に答える。

「お屋形様にご報告を、お屋形様に…。」

そこで、意識を失ったらしい。


次に気が付くと、戸板に乗せられ、お屋形様と親父殿が居る御屋敷の白洲であった。

手に包帯が巻かれて、気を失っている間に手当てを受けたようだ。

「気が付いたか鬼蔵、人界の様子は如何であった?」

「お屋形様!申し訳ございませんこの様な姿で。」

「ああ、良い、良い、見たまま話せ。」

「洞窟を抜け、人界に出たところ、山中で陣幕と篝火か焚かれた陣を見つけました。」

「ほう、出迎えが有ったのか。」

「ハイ、人が引いた陣であろう。と近づくと中には女武者が一人。」

「女にヤラレたのか?」

「矢を放って来ましたが、矢の力もなく、二、三、刃を交えたところ到底、児戯に等しく。当代の人の武者はこんな者かと増長し。逃げる、女武者を追いかけた所、山中にて若い太公望が一人。」

「太公望?山中にか?」

「はい、コチラが名乗りを上げて、女武者の首を貰い受ける旨、言い放つと。太公望は魚篭を投げ、ひるんだ隙に、竿の釣り糸で簀巻きにされました。」

「釣り糸でか?」

「はい、不可思議なことに、どんどん糸が伸びるのです。しかも強くて引き千切れない。」

「うむ。面妖な。妖術を使うのか。」

「おそらくは、かなりの使い手に思われます。簀巻きにされて身動きが取れなくなったところを、女武者の一太刀で、胴を切られましたが。浅く、簀巻きから脱することができました。」

「…。」

「太公望と対峙して、飛び掛ると、太公望は刀を抜き、一刀の元、我の腕を切り落とし。その太刀筋は目に追うこともできず。痛みに耐えかねて倒れた我に一言『立って戦えと』」

お屋形様と親父殿は驚いた顔を隠そうとはせず。無言であった。

しかし、切られた腕が痛い、まるで手に何かが刺さっているようだ。腹まで痛くなって来た、切られた腹はもう塞がっているのに。

「立ち上がった我に、また、太公望の一閃により、足を切り落とされ、立ちあがるコトもできなくなり。」

「む?足までやられたのか?しかし、そなたの足は付いておるぞ?」

「はい、動けなくなった我に足を投げてよこし『手は土産に貰ってやる、足をつけて帰り、伝えろ、首を洗って待っていろ。』と。」

「…。」

「なに、敵の情けを受けたのか?」

無言のお屋形様と声を荒げる親父殿、しかし、腹が痛い、まるで中から刺される様だ。痛みで脂汗が出てくる。

「ははっ、」


「お屋形様、倅の不始末は私が受けます、何卒寛大な御裁可を。」

「いや、様子を見て来いとの命は果たしておる。太刀を受けて来たのは仕方ない。」

「しかし、それでは面目が立ちません。おのれ、太公望、必ずや、この鬼柾が討ち取って見せます」

「ふむ、まあ待て、そなたの倅の話では武士もののふの手勢は少ないとの話だ。いくら強くても数で押せば良いであろう。」

「では、イカに?」

「そなたに、先陣を任せる、手勢を集め満月の夜、一気に人の世へ攻め入れ。」

「はっ、」

「それまで、暫く日が有るな。おい、鬼蔵、お主は娘に化けて、人の里を見てまいれ。満月の夜までに帰って来い。機会があればお主の腕を取り返してこい。無理はするな。」

お屋形様の下知を聞くが気が遠くなる。

「おい、どうした倅、お屋形様の命であるぞ。返事をせい、腕が痛むのか?」

「は、腹が…。」

緊張の糸が切れて吐くが、何も出ない。無様な姿だが、腹が痛くて、気が遠くなる。痛みで目の前が真っ暗だ。

「腹の傷は塞がっておったぞ!痛いはずが無かろう!」

親父殿の言葉を最後に気を失った。



倅の無様な姿に落胆するより、驚愕するコトの方が多い。

人が一刀で鬼の腕や足を落とすのである。

にわかには信じがたい。

倅の手当てに立ち会ったが、腹の傷はもう既に塞がっていた、痛いはずが無い。

しかし、腕より腹が痛いという。

お屋形様が青ざめた顔でつぶやいた。

「太公望の妖術だ…。若いと言っていたが、かなりの手練だ。」

その言葉に腑に落ちる。

「よもや、おとなしく倅を帰したのも、この妖術を掛けた為。」

「うむ、伝聞を伝えた途端この痛がりだ、間違いないであろう。山中に太公望と言うのもオカシナ話だ、妖術を使って姿を変えておるやもしれん。コレでは何かに化けた所で直に見破られるであろう。」

「なんと面妖な…。」

未知の敵に驚愕する。

腹を押さえたまま唸り、戸板に乗せて運ばれる倅を見届ける。

その後、倅は10日間も腹痛にうなされ。吐く物も無いのに吐き続け、飯も喰えず。その後は何も無かった様に回復した。

恐るべし、太公望の妖術よ…。


(´・ω・`)気をつけよう。夏の刺身とアニサキス

在庫が無くなったので、更新が遅くなります。



挿絵(By みてみん)

(´・ω・`)イラストを用意しました…。(鳥獣戯画制作キット:うろんげ様のベータ版で真面目に書いた)フンス!

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[良い点] イラスト 多芸多才羨まし
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