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卯田くんとおにぎり  作者: 王石 勉
第1章:卯田くんとおにぎりと夏休み
7/21

卯田くんとおにぎりとたい

よくよく考えたら未だ学園もいくさもない。(´・ω・`)

さて、女中さんが下がると。

目の前には三つのお膳。

豪華で美味そうで、カラフルだ。インスタント&レトルトとスーパー惣菜のヘビーローテの僕には眩しい彩色だ。


お婆様が手を合わして。弾んだ声で始める。

「さあ、いただきましょう」

皆手を合わせて合唱する。「「いただきます!」」


各々、箸を取り椀に手をつける。

吸い物に手をつけてから、さあ、どうしよう。

まあ、先に苦手そうな物からやっつけるか。

焼き勝ち栗を食べる、

『ボリボリボリ』

食器のこすれる音しかしない座敷に騒音が発生する。すごく、恥ずかしいです。こんなん誰が食べても音が出るだろ!!煮付けにしろよ。

「まあまあ、男の方は足を崩して、ささ、先ずは一杯。」

お婆さま、僕の隣りに移動して。白徳利を両手に持つ。

正直、正座は辛かったので胡坐に変形!!良かった、後もう少しで無様な生まれたての小鹿のような姿を曝す所だった。

「いえ、未成年ですのでお酒はチョット。」

手の平を見せて断る。

「お屠蘇です。だいじょうぶですョ」

やだ、お婆様、押しが強い。仕方が無いので。箸を置き。ひっくり返してある。杯をとり、受ける。

「ささ、どうぞ。」

仕方が無いので、杯をあおる。やだー、お酒じゃないですか。

「あら、良い呑みっぷり、私ももらおうかしら。」

お婆様の杯に白徳利をさす。杯を飲み干す。お婆様。僕にうなだれてくる。

「うふふふ、」

やだ、お婆様カワイイ…。

包帯少女は驚いて箸が止まっている。超不機嫌少女は超々不機嫌少女に二段変身した。まだまだ変形しそうだ。セイラー少女は黙々と食べている。なんかハムスターっぽい。


包帯少女にアイサインを使って『どうしよう?』と送信したら。受信不良で。首を傾げる動作をした。

「おや、そうでしたね。長女のさくらと次女のつばきと三女のかえでです。」

ソコ大事だろ。お婆様。

「さくらと申します。昨晩は助けて頂きありがとうございます。」

深々とお辞儀する。御髪が椀にかかってる。残念さんなのか?

「妹のつばき…。」

わーい、ツンツンさんだ。

「もぐもぐもぐもぐ…。かえでです。もぐもぐ」

うん、たくましいぞ。


「あ、あの、卯田様はどちらの学校へお通いですか?」

残念包帯少女が尋ねた。やはり昨晩の声に間違いない。

「名路鵜西高に転校する予定です。この制服は前の学校の制服で、未だ新しい制服は出来ていない。盆明けには取りに行く予定です。」

「そ、そうですか私は。名路鵜一高の三年です。」


箸が止まった超々不機嫌少女は超々々不機嫌少女に変形した。

「まあ、一高では無いのですか?」

止めてお婆様。超々々不機嫌少女が変形しそう。

「あちらは、定員に空きが無かったそうです。」

「まあ、一言、相談していただければ、何とかしようが有ったのに。」

こわいから止めて下さい。お婆様。

「西高の方がバスの乗り継ぎが無くて便利ですよ。まあ、父の急な転勤では贅沢も言っても仕方ありません。あと、僕は二年なので敬語は不要です。」

やだ、超々々不機嫌少女は超々々々不機嫌少女に進化した。ドコが地雷発言だったか解らない。


「うふふふ、カッコイイ制服ですね。」

お婆様、お屠蘇が進んでる。

「いや、海なし県では不評でしたよ、男子校ですしバンカラ(死語)なヤツが多かったもので。」

男子校と聞いて、セイラー少女が目を輝かせている。やだ、もしかして、この子…。


「あら、将弘さん、お魚に手を付けておりませんが、御魚はお嫌い?」

「いえ。魚は好きですが、海なし県生まれの性か、あまりキレイに食べることが出来ません。人前では御見苦しいので。」

「あらあら、うふふふ、そんな所までそっくりなのね。それではこうしましょう。はい、あ~ん」

あ~んで鯛を食べる僕。なんという羞恥プレイだ!鯛は旨いけど。


「ごちそうさま!!」

超々々々不機嫌少女が最終形態に進化して、席を立ち、座敷を後にした。


その後。昼食は進み。

全てのお膳をたいらげると。

「まあ。流石、男の子、立派だわ。」

と、字面から微妙な評価を頂き。妙に居心地の悪い昼食会は終了した。


女中さんがお膳を片付けはじめ、帰りの算段を考えていると。


片付いた後に。古そうな唐櫃からひつを持ってきた。やだ、大きなつづら?舌きり雀なの?


お婆様がフタを開けると中から。兜を取り出した。

「これが、貴方に似合うと思うの。着けてごらんなさい。」

兜を付けて碁盤から飛び降りるぐらいで済むかと思ったら。

何故かフルセット有った。やだ、コスプレ大会?と言うか、端午の節句の様だ。


お婆様の音頭の下、残念包帯少女と女中さんも手伝って、鎧を着る(詰襟は脱いだ)

ああでもない、こうでもないと和気藹々の女性陣の中。指示に従うだけだ。こう言う時は逆らっちゃいけない。

全ての具足をつけ終わると。

起動戦士1/1スケール鎧武者”僕”が出来上がる。


「まあ、まあ、流石、ぴったり。これ、貴方にお譲りするわ。」

「この様な高価なものを頂いても困ります。手入れの仕方も着方も分かりません」

請求書だけ後から渡されても困るからな。

「おや、大丈夫ですよ。手入れや、仕度は女の仕事ですから。」

いや、その女っ毛が我家には皆無です、と言おうとしたが、更なる地雷なので、言わなかった。

「うふふふ、この具足は貴方の物、当家で責任を持ってお預かりしますわ。」


「おー、」と声をだしてぺちぺち拍手する、お腐れセイラー少女。お前、見てただけで、何も手伝ってないだろ。


少々ストレッチを行い、ドコにも無理の無い稼動箇所を確認し。

サッサと脱いだ。

どうやら調整箇所の修正があるようなので。女中さんが仮縫い場所の長さ、とかを測っている。

さいごに肩幅や腕の長さを測って終わりだった。


手土産のお菓子をいただき。御屋敷の門でお見送り。

全てが終わり、ご挨拶すると。最後にお婆様が爆弾発言。


「つばき、将弘さんをご自宅まで案内しなさい。」

「はい!」

返事は良いが。突き刺さる視線が痛い。最終形態から更なる進化を遂げたスーパーDX不機嫌少女は最早、一発触発の爆弾だ。それより、帰りの車、無いのかよ。

「ふふふ、実は山中の近道が有って。歩きですと車より早いのですよ。つばきはここらの山道に詳しいのでご案内します。」

「しかし、それでは帰りが…。」

「大丈夫ですよ、今日は鬼が出ない日です。でも、日の高いうちに帰して下さいね。今日でも明日でも構いませんから。」

止めて!お婆様!信管ニップルの上で踊らないで。


(´・ω・`)結構、しんどい話だった。

次回、卯田くんが山道を歩く話。


リア充爆発しろ!!(キャッキャ・ウフフは無い。)

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