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卯田くんとおにぎり  作者: 王石 勉
第1章:卯田くんとおにぎりと夏休み
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卯田くんとおにぎりとひめ

納屋を探検し、バイクの関係部品を捜索する。

夏の暑さから汗だくだ。

タオルを首に汗を拭きながら納屋を探すとイロイロと出てきた。

バイク工具一式、オイル&スプレー類(賞味期限が切れていた)

OILジョッキや、ジェリ缶、オイルパン、後はパーツリスト本&整備手順書が在ったのは収穫だった。


太陽が高くなりつつある頃。

バイクを外に出して、何が必要かリストアップしているとき。


来客が有った。

黒い高そうなセダンに。

昨晩の老紳士&男に凄い不機嫌そうな同年代の女の子だった。

親父は今、居ない旨伝えると。

老紳士は「昨日のお礼のため、家にお招きしたい。」との申し入れであった。

コノ様に作業中だ、片付けと身なりを、整えるため、午後から訪問したい、と言うと。

「勝手ながら。昼食をご用意しており、今すぐお召しを。」と言う。

えらい、早急な話だ、口には出さなかった、が困った顔をすると。

老紳士も無理を言っているのは理解しているのか。沈黙があった。

不機嫌な女の子は沈黙に耐えられなく成ったのか、イロイロ一方的に話したが、概ね、要約すると”不敬なヤツだ”と言う意味だった。

女の子は白っぽいワンピースに鍔広帽子という格好では昨日の女武者とよく似ていると見ていたが、声で別人だと思ったのが収穫だった。

狼狽する老紳士を見て。

「判った、身なりを整えるので暫く待て。」

と言い放ち、母屋へ入って風呂へ向かった。シャワーを浴びながら、不安になった。

さて、困った、何着ていこう。

部屋着と作業着しかダンボールから出していない。

クリーニングに出して帰ってきたのは、前の高校の夏服だ、しかし、評判の悪い学ラン(紺色、詰襟前チャック&短ジャケ)しかない。

イザと言うときの為に新しい高校の襟章はつけて有るが、まるで、チンドン屋だ。

ちょっとした葛藤が有ったが。

無礼なのは向こうも解っているので。多少の珍妙な格好でも言い訳できるが、嘗められたく無いとの思いで。

結局、学ランになった、糊が利いてるので。多少のことは押し通せるだろうという算段だ。

シャワーで濡れた短い髪を拭き、ジェルで立たせると。クリーニング屋のビニールから制服を出し。殆ど前の学校では使っていない帽子を出した。

入念にクリーニング札を外し(残っていると間抜けに見える)

最後に姿見で前後ろを確認すると。玄関を出て。

「お待たせいたしました。」

待たせていたのと珍妙な格好で皆、微妙な表情になったが。

空かした顔で、後部座席の奥に座った。

その後、後部座席に乗ってきたのは女の子でチョット驚いたが。

助手席の老紳士が行った。

「これから御屋敷へ向かいます。」

御屋敷ってなんだ。と思いながら、隣の不機嫌な女子に悟られたくないので。無言でうなずいた。

老紳士はルームミラーでソレを確認すると。セダンは出発し、非常に重苦しい車内に耐えかねて。

流れる、木を窓から眺める。

ああ、昨日、ここらでイカがダメになったんだな。


セダンは山を降り、見知ったバス停を過ぎると、又、山を登り始めた。

なんだ、家の裏山、じゃねえか?まあ向こうからしたらこっちが裏山かもしれないが。

門を潜ると確かに御屋敷だった。なんだよ裏山しすぎるだろw。

玄関前にセダンが止まり、出迎えの女性(ウホッ女中さんキター!!裏山し~!!)がダァーを開ける。

セダンから降り、帽子を取り左の小脇に構える。軽く挨拶をする。


ここで注意すべきは貧相に見えない様に背筋を伸ばすこと、イチイチ機敏な動作に心がけることである。

みんな、結構ビビっているのが解る。ワレ、奇襲ニ成功セリ。


ココからは女中さんの先導で長い廊下を進み。

案内された部屋は、12畳+床の間に8畳間をくっ付けた欄間も掛け軸も見事な和室

部屋の真ん中の座布団に案内されたので正座で座る。帽子は左側畳の上に置く。

背筋を伸ばして上座を見ると。座布団が4つ並んでる。

げっ、面接かよ、ワレ、奇襲ヲ受ツツアリ。


家人がやって来たので、頭を下げ。顔を上げると。

正面にいかにも”お婆様”と言う風体の年齢不詳の女性が座り。

続いて左手に、髪の長いブレザー制服少女、昨日の女武者だ、包帯をして脇差を手に持つという、中二病ゆんゆんの姿、リアルで見ると怖いなあ。

その次は、今朝、迎えに来た、不機嫌少女。今朝と同じ服装だ、帽子は被っていない。

最後に、中学生くらいのオカッパ。セイラー服少女。コチラに興味津々らしい。


皆、顔立ちが良く似ているので、家族と姉妹であろうと当りをつける。まあ、あとから、ぞろぞろ同じ顔が出てきても驚かないようにしよう。(ぱっと♪さい○○あ~♪)


お茶が運ばれてきて女中さんが下がる。

お婆様がお茶に手を着けて。話を始める。

「昨晩は我家の長女さくらの危ない所を助けていただき大変ありがとうごさいます。当主の私から御礼申し上げます。ささやかではありますが御食事を用意しております。召し上がってください。」

「いえ、降りかかる火の粉を払っただけです。」

「当家では先の戦から女手ばかりになってしまいました。」

「左様ですか」

やべえ、なんか変な方向に話が行きそう。話題を変えよう。

「ご紹介が遅れました、僕は、海なし県より来た卯田将弘といいます。この御宅の山の裏側の空家に引越ししてきました。元は母の実家であった場所で雷蔵の孫に当たります。」

「まあ、雷蔵さんのお孫さん。雷蔵さんのお爺様は、この家で生まれたんですよ。あなたからすると曾々お爺さんかしら。」

やだ、なんかこのお婆様怖い。

「そうでしたか、昨日、家の父がご挨拶に伺っておったはずです。」

「おや、そうでしたか。昨日は驚いたでしょう。あんな者が出るなんて。」

くっ、そっちは興味なしか。

「まあ、暖かくなれば、あんな変質者も出てくるでしょう。」

「変質者ですか…。そうですね、ではコレを」

お婆様が制服包帯少女へ目配せすると。制服包帯少女がコチラに脇差を両手で渡してきた。

脇差を両手に受け取る。昨日の脇差だ。

下がる制服包帯少女。

「ソレを御使いになられますか?」


使って見せよってことらしい。

廊下を正面、上座より横向きに居直り、正座から脇差を左手に持って腰に置き右手で柄を持って、膝と腰を使い蹲踞の姿勢へ飛び跳ね、抜刀する。

片手で上に切り上げ。右から下、左から下に、そのまま手を返して、鞘にしまう。なんで、出来るんだろう?

蹲踞から正座に戻り正面を上座に戻す。


お婆様はえらい機嫌が良さそうだ。包帯少女は驚いている様子で。不機嫌少女は超不機嫌少女に変身した。セイラー少女はぽかんと口を開けている。

「さあ、さあ、お昼の準備が整いましたよ。」

お婆様の弾んだ声で手を二回叩き女中さんがお膳を運んでくる。

なぜか僕の前にはお膳が三つ並ぶ。

各、お膳は一つは普通のお膳一汁三菜、一つは鯛の塩焼き、一つは焼いた勝ち栗とアワビの煮付け&昆布煮。白徳利が付いている。

なお、女性陣の方はお膳が一つのみだ。


やだ、お婆様、僕を出征させる気満々だ。

(´・ω・`)突然勃発した、嫁戦争。

暑い初秋の八月に一陣の風が吹く。

次回、卯田くんとおにぎり第6話、おにぎりとたい

君はこの先生きのこることができるか?(声:永○一郎)



話がなかなか先に進まんな。


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