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卯田くんとおにぎり  作者: 王石 勉
第1章:卯田くんとおにぎりと夏休み
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卯田くんとおにぎりととうもろこし

倒れた女武者にマジックハンド。

途方に暮れる僕、

「とりあえず片付けよう。救急車を呼ぼう。」

マジックハンドを片付ける為。落ちていた鞘を拾う。

刺さったハンドを足で踏み。脇差を引き抜く。

何となく、映画”西洋妖怪家族アダムスさんち”を連想したので鞘についていた小柄を外れたハンドに刺して縫い止めておく。

趣味の悪い昆虫標本的な物の出来上がりだ。コイツ動くぞ!!

刀を振って血糊を飛ばすと。紙がない。

どうしよう、服やハンカチで拭くのは嫌過ぎる。

ふと、見ると倒れた女武者のどうの胸元の合わせから、白い、ブ…いや、懐紙が見える。

どうやって取ろう。倒錯的過ぎる。なんか悪いことしているようだ。


意識の無い女性の胸元の合わせから懐紙を抜くと言う何でも無い。途轍もなさ過ぎる難題をクリアし。脇差の血をぬぐい鞘に納める。

さて、次は救急車だが、しかし困った何て説明しよう?

『事件ですか?事故ですか?』とOPオペレーターに聞かれたら答えようが無い。(注意:これは110番通報した時です)

まだ引っ越してきたばかりで住所も道も不案内だ。付近に電柱も無い。(覚えておこう、緊急通報時には付近の電柱番号札に書いてある何号を通報すればOPが検索してくれる)


そうこうしていると。

山道を登ってくる車のヘッドライトの光に気が付いた。この道の先は我家一軒しかない。

やった!親父だ。とりあえず親父に病院に運んでもらうか。

登ってきた車を手を振って止めると。

見覚えの無い黒いセダンだった、高そうなヤツね。

うわーい何て説明しよう。

車から降りてきたのは、品の良さそうな初老の男性とドライバーのガッチリした男性、2人。

女武者の顔見知りらしく名前を呼掛けていた。

たすかった。

初老の男性の『家に招待したい』旨の申し入れに。

『最近、この先の空家に越してきた者で、この後、夕食の準備に忙しい』旨で断ると。

ハンド標本と女武者を車に乗せて帰った。


車のテールランプを見送る僕は竿と空になったバケツを拾うと。

MTBに跨り。大急ぎで家に帰った。


門をぬけ、MTBを停め玄関を潜ると家の電灯は付いており。TVの音と親父の声が部屋から聞こえた。

「おう、遅かったな、弁当を買ってきてあるから。食べよう。ご挨拶に伺った先でトウモロコシを貰ったから今、茹でてるぞ。」

よかった、なんか、普通だ、あんな事があったから、何か出てきたら如何しよう。しかし、なんと説明した物か。

「おい、どうした、大物でも掛ったのか?」

部屋から顔を出し玄関を見る親父、目が合ったので、ごまかすコトにした。

「いや、イカが大漁だったんだが。帰り道でバケツをひっくり返して全部ダメになってしまった。」

空のバケツを見せると、親父は笑って。

「それは残念だな、怪我は無かったか?早く上がって飯にしよう。」


弁当とトウモロコシを食べながら。

納屋にバイクが有った。釣りに行った。ナド、当たり障りの無い話をして。

親父の方は、近所に挨拶に回って、母方の本家に挨拶に行ったが当主が不在で家の方に引越祝いの粗品渡して帰った。

バイクは恐らく叔父さんの物で私物は運び出してあるので、要らない物なのだろう。なんなら”スカ○プ”で聞いてみろ。

と言われた。

そうか”スカ○プ”が有った文明の利器とは恐ろしい物だ。時差を考えるともうチョイ遅くだな。


夕飯の片付けをして、風呂に入り、噴出す汗をタオルで拭きながら茶室に入ると、むわっとした熱気が室内に篭っていた。

換気しないと熱が篭るのか。急いでエアコンのスイッチを入れ。

茶室が涼しくなるのを待つ。


パソコンを起動しスカ○プを立ち上げ。親父から聞いたIDを入力する。

「ピコンピコン」と言う電子音のあとつながった。

『おお、久しぶり!大きくなったな~』

「おひさしぶりです引越しおわりました。御報告を兼ねてご挨拶に」

『そうか、ソコは茶室か?ははは、お前、茶室好きだったからなw。何かあったのか?』

「いえ、特には…。」

『そうか、未だ何も起きて無いのか。』、『ハーイ』

僕の従弟にあたる少年が割り込んでくる、くっイケ面じゃないか。まあ、お母さんが美人では子供もイケ面だろう。しかし、”未だ”って言ってたな。やっぱり、ナニか有るんだ。

「ハーイ、実は納屋にバイクが置いてありまして。」

『おっ、早速、見つけたね、アレは叔父さんが高校の時に使っていたんだ。私物取りに行ったとき持って帰ろうかと思ったんだけど。大きいから諦めたんだ。まあ使ってくれ。単車の為にも。』

「動くんですか?」

『動くはずだよ。最後に整備した時、動いたから。ゴムが劣化してなければ、エンジンかける前に、OIL交換とタンクのガソリン交換してね、タンク内が錆びない様に満タンにして有るけど。あれ、混合式に改造してあるから』

「混合式って?」

『あ~アレだよ、ほら、草刈り機みたいにガソリンと燃料OIL混ぜてから給油するヤツ』

「へー、あれ?叔父さんバイク免許持ってました?」

『うん、二十歳の時取ったよ』『ハーイ』

こんどは金髪のようじょがはにかみながら手を振ってきた。後ろに金髪奥さんがいる。

「ハーイって、叔父さん高校の時、使ってたって言ってましたね。あれ、それと女の子居ましたっけ?」

『おーう、通学に山の下のバス停まで使ってたんだ、元々ナンバー取ってなかったし、無面むめんきょだったけど私有地だから問題ない。生まれたよ~もう三歳だよ~』

ようじょが親指と人差し指と中指で3本指を立て3を作る、そうか向こうはそう数えるのか。

しかし、無免許&ナンバー無しバイク乗り回すなんてフリーダム過ぎるだろ。

「たしかにあの坂はツライです。」

『そうだろ、そうだろ、あ、エンジンは乗せ替えて220ccのレース用モトクロッサーが乗ってるから練習しないと振り落とされるから頑張って。』

「えーっとソレはいろいろアカンやつでは?」

『だ~いじょうぶ、バス停までは私有地だし、文句言う人なんて居ないよ。通学に使ってやってよ。』

「あー問題無ければ使わせてもらいます。」

『じゃあね~。そっちはオヤスミかな~。』『OYASUMI~』『OyaSyumu~』『oya~dumu』


最後に向こうの皆が手を振って通話がおわる。


ごろんと布団に仰向けに転がり天井をぼんやりと眺める。

状況を整理しよう。

この地方は昔からナニかある。

ナニかには鬼が含まれる。

ナニかと戦う武者集団?が有る。

バイクは自由に使って良い。

しかし、僕、鬼を切っても何にも思わなかったなあ。

サイコパスに変身したのか。

イカは噛む。

バイク整備の為にイロイロ揃えなければ…。

そのまま、僕は眠りの中に沈んでいった。


ちなみに、私有地でも条件によっては無免許運転禁止です。


次回、(´・ω・`)おにぎりと酒盛り


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