卯田くんとおにぎりとメシ
今日も日の出と共に起きだして、朝から課題を片付けている。
やることが決まっているので手早く片付ける必要が有る。
手が速くなる。
あれ程有った課題の山が半分を切っている。
健全的すぎる。
コレも全て、若者的不健全な目的のバイク練習の為だ。
最近は毎日、日の出から課題を行い。
親父を送り出すと荷物を持ってバイクに跨り。
裏の林道から広場で練習している。
オフロードバイクって面白い。
思わず熱中している。
自分でも運転技術が日に日に上達しているのが解る。
その為、天気の良い日は毎日だ…。
一度天気の悪い日も試して見たが、懲りた。
雨に濡れた林道ってスゲー怖い。
バイク、止まんない。
その日はバイクを置いて歩いて帰った程だ。
くそう。何時か土砂降りの中でも走れる様に練習だ。
心に誓ったので、今日も行く。
天気予報では明日は曇りだ。
雨では無いハズ。明日の天気は降水確率は低いが夕方は夕立が有る。
明日も朝からバイクの練習だ!
オフロード走行は身体の変な所の筋肉を使うので。
始めは節々が痛かった。
筋肉痛だ。
くやしい、ビクンビクン。でもバイク乗るのは面白い。
携帯アラームが鳴ったので、ストレッチをして肩をほぐす。
最近は随分と筋肉が付いた…。
いや、身体が締まった。
リアタイヤを持ち上げるのも苦労しなくなった。
整備の為にバイクを台(プラ清酒コンテナ)に乗せるのも簡単だ。
以前はエンジンを載せるのに汗だくでひいひい言ってたのに…。
「さて。」
親父がシャワーを浴びている間に、朝飯を用意する。
前日夜にタイマーセットしておいた炊飯ジャーを確認する。
蓋を開けると湯気の中にお米が立っている。
「うむ、完璧だ。」
直ぐに釜の蓋を閉めて冷蔵庫に向かう。
これまた、前日に用意しておいた、蒸し鶏むね肉を取り出して。
ラップのまま電子レンジの弱で自動。
冷蔵庫野菜室から出てきたレタスとキャベツの葉を毟り。
纏めて笊で洗い千切りながら二つの皿にのせる。
コツは葉っぱ一枚づつ毟って使う事だ。
いきなり包丁を入れると足が速くなる。
電子レンジの電子音が鳴る。
急いで千切り電子レンジに向かう。
「あちちちち。」
何故か角は熱く中身が冷たい蒸し鶏むね肉をまな板の上に乗せラップを広げる。
そのまま薄く切る。
コツはまな板を汚さない様にラップを広げる事だ。
まな板の油汚れは後で面倒だからな!
切った鶏むね肉を夫々、皿にのせる。
無論、ラップを切り裂かない注意の為に無駄に繋がっている。
気にしないので引き千切る。
歪なスライスで僕の皿は多めに盛る。
理由は最近、親父が鶏皮が嫌いだと判明した為だ。
後、冷たい脂も嫌いらしい。
その為、ある程度加熱している。
冷製蒸し鶏の冷製はイヤだと言う話だ。
脂身の無い棒棒鶏は良いらしい…。
謎だ。
棒で叩く程度しか違いは無いハズだ…。
知らなかった。
親父は唐揚げは冷たくてもむしゃむしゃ食べてたのにな。
親父にとって、唐揚げは別のカテゴリーらしい。
鶏皮せんべいはギリギリアウトだそうだ。
なので、鶏皮は僕の物。
空のお椀にインスタント味噌汁(赤だし)を入れてポットの熱湯を投入。
混ぜるのは各自が行うルールだ。
テーブルに並べ始めると…。
親父がシャワーから出て頭を拭きながら新聞を持ってきた。
テーブルの上の皿を見渡し親父が感想を言う。
「おお、今日も鶏肉か…。」
なんだ?残念そうだな。
三日間連続でその程度か?
テーブルの上を見て、親父が冷蔵庫から納豆パックと麦茶瓶を取り出した。
「ああ、やっぱ肉だよ肉。」
なんて言っても鶏むね肉は安いから。
沢山買って、蒸し鶏むね加工して冷蔵庫に貯めてある。
「いや…。毎朝だと…。」
ご飯を茶碗によそう。
「そうか?ドレッシングは選べるぞ?」
おかしいな。
買い出しの時はあんなに喜んでいたのに…。全部唐揚げにすると思ってたのか?
「じゃあ明日はコレに目玉焼き付けるよ。」
「ありがとう。まあ、ごはんが炊き立てなのは良いけど。」
茶碗を受け取った親父が納豆パックを開けてねるねるし始める。
僕は完成の中華ドレッシングと和風ゴマドレの瓶を…。それにハ丁味噌風タレを冷蔵庫から出す。
テーブルに全て並んだ。
あ、刻み葱を用意するの忘れた。
まあ良いか。
僕は椅子に座り、インスタント味噌汁をかき混ぜる。
「すまんな親父、最近は朝パンだと持たなくて。で、親父、今日も明日も弁当要らないのか?」
インスタント味噌汁なので親父はご飯に納豆を投下した。
「ああ?そうだな。会社の人と昼食を取ってくる。」
何故か目が泳ぐ親父。
何か美味しい物を食べているのか?
「ふーん。」
親父が和風ゴマドレッシングを選んだ。
ぼくは味噌タレを選ぶ。
「なんだ?」
「いや。何か美味しいものを食べてるのかな?と思って。」
「おいしい…。職場の近くに安い定食屋があってな。職場の人の大半がソコに行くんだ。」
「なるほど。」
職場の付き合いか。
「日替わり焼き魚定食が定番で何が出てくるか判らないんだ。美味しいんだけど。」
「ほう。」
おかしいな、親父がこんなに饒舌になるなんて。
何かやましい事が有るのか?
「数人で行って全員が日替わり焼き魚定食を頼むと酷い時は、魚の種類が全部違う時がある。」
「ソレは…あかんヤツでは?」
「まあ。大体は魚が三種類位で選べないんだ…。美味しいし、ご飯も多いんだけどね。」
なるほど、おにぎり弁当では太刀打ちできない様子だ。
それだけかもしれん。
「わかったよ。弁当が要る時は早めに言ってくれ。ご飯の用意が要る。」
「うん。」
お椀を口に運ぶ親父、インスタント味噌汁の味気ない風味に眉を潜める。
そうだな、明日は味噌汁も作ろう。
最近手抜き朝食だからな。
夕飯は簡単レトルト、フライパンで豆腐に和えるだけの麻婆豆腐にする心算だから豆腐が欠品になる。
親父に帰りに買ってきてもらうか…。
朝食が進み、親父が新聞を読み終えると声を掛ける。
「親父、豆腐が無いから帰りに買って来てよ、あと牛乳と…。もやしも。」
「牛乳?前に三本も買っただろ?」
「なくなった。毎日一本飲んでる。」
「ああ?大丈夫か?」
「うん。大丈夫。だから三本買ってきてよ。あ、安かったらもっと買ってきても良いけど加工乳は止めてね。パッケージに牛乳って書いてあるヤツね。」
「何か違うのか?」
「加工乳は大体安いんだけど…。美味しくない。」
「そうか…。解った。気を付けて買ってくる。」
親父が出勤の支度を始めた。
玄関で見送る。
「牛乳が三本にもやしと豆腐だな?」
玄関に置いて有るメモ帳に書き込み破る親父。
「ああ、豆腐は充填の三個セットの奴ね。」
「あーあ。あれな。解った行ってくる。」
うむ、心強い返事だ。
「いってらっしゃい。」
親父の背中を見送る。
良く買う物なので、流石に覚えている…親父。
大丈夫だよね…。
今一心配に成るがまあ良い。
食べれないものは買ってこないだろう。
僕も準備してオフロードバイクの練習に出よう。
急いで食器の洗い物をして台所を片付ける。
その間にやかんで麦茶を沸かす。
シャワーを浴びて、やかんを止めて粗熱をとる為にコンロにそのままにする。
帰って来たら粗熱は取れている。
ウェアにブーツとプロテクタを付けてヘルメットを被る。
バイクに跨った。
「さあ。行くぞ!」
エンジンをキックをする…。
くそっ!エンジンが掛からない。
キックの鬼だ!!




