卯田くんとおにぎりとトリ
(´・ω・`)夏が始まりました。
うん、門が見えた。
タオルで汗をぬぐい身なりを整える。
未だ、時間には余裕がある。
ココで休憩だ。
山から海への風か心地よい。
携帯の時計を見ながら時間を潰す。
なるほど、確かに圏外だ。
そろそろだが未だ汗は乾かない。
案じていると、門の中からつばきさんが出てきて周囲を窺っている。
なんだ、むこうも迎撃体制だ。
僕が見つかる前に行動を起こす。
何食わぬ顔で山道を下ると。
つばきさんが気が付いたのかこちらに瞳を固定する。
こちらも、そ知らぬ顔で手を振り前に進む。
「こんにちは。つばきさん、急なお伺い申し訳ありません。」
「いえいえ、御待ちしていました。どうぞ。中へ。」
「おじゃまいたします。」
立派な門を潜り玉砂利の道を歩き玄関に進む。
さくらさんと女中さんが玄関で三つ指を付いていた。
しまった、こんなお出迎えにカジュアルな格好では格好が付かない。
主に、見栄の方面で。
やはり学ランで来るべきだったか?しかし、学ランにリュックは見栄えが悪い。
帽子を取り挨拶をすると中に通された。
何時もの座敷に通され、下座に座り待つ。
何だろ最近、座敷で待つのが拷問に近くなってきた。
リュックを脇に置き中身を並べておく。
正座で座布団に座る。
おう、足の先の感覚が最悪です。
廊下を歩く衣擦れの音と共に、大御婆様と姉妹が入場。
僕は頭を下げて座るのを待つ。
衣擦れ音が収まり揃ったと感じる。
おう、部屋がスゴイ重い空気です。
なんて言えばいいんだ?
「急なお願い、忝く候。」
勝手に口が音をだした。
そんな語彙は知らないぞ?
「卯田さまの願いならば僥倖でございます。」
大御婆様が答える。
なんだろ、凄く言葉が固いです…。
「当方で武具を揃えましたゆえ、御献上の上御遣い候。」
中身を全て前に置く。
「うっ、これはなかなかの物ですね?良く揃えられました。」
「はっ、我が一門の念願でございます。ぜひ御活用のほど。」
俺の声では無いようだ。
「そうですか、やはり卯田様は…。さくら、受け取りなさい。」
「ハイ、大御婆様」
矢束を受け取るさくらさん。
おお、なんか絵になる、黒髪ロン髪娘に弓って絵になるよね?中身は残念だけど。
続いて山鳥の羽は、皆触らなかったwスルー過ぎるだろ?
「あの、ソレはなんなんですか?」
おう、かえでさんダケが突っ込んでくれた。
コレをスルーされると正直ツラい。
しかし、他の女は突っ込んではいけないレースをしていた様子だ。
大御婆様が火蓋を切る。
「申し訳ありません卯田様ソレは何でしょうか?」
「はい、山鳥の尾羽でございます。今だ未熟な私では活用の術を知りませんが必ずや大きな働きをするものだと聞いております。」
夢の中の武者の声だとは言わない。
尾羽とお札を前に出す。
「そうですか…。山鳥の尾羽…。」
大御婆様は袖で視線をさけ直視していない。
「鬼に効くお守りだそうです。お札も頂けました。身に着ける物だそうです。」
「解りました。かえで。」
「はい、」
かえでさんが前に出て受け取る。
席に戻ったかえでさんは山鳥の先っちょを揺らして遊んでいる。
つばきさんは無表情だ。
お茶を頂き世間話をして、夏の間にバイクの練習場に山の上の広場を借りたいと話をした。
特に問題なく借りる許可を貰った。
他愛のない長話で時間が無くなり。
ご挨拶して日が傾く前にそのまま帰った。
家に付くと夕日が雲に隠れ、海から来る風が湿っている。
明日の天気は悪そうだ。
広場の下見は明日に伸ばそうと安易に考えたが…。
まあ、いいや。
明日考えよう。
さて、夕飯は何にしようか?
(´・ω・`)山鳥の肉は美味しいです。(自分で撃って食べたので。問題無。)尾羽は玄関に飾ってますが家のヌコがスンスンしています。(湿った土の香りがします。)




