卯田くんとおにぎりと黒電話
(´・ω・`)試験終わったけど…来年頑張る。
『おはようございます、今日は♪』
遠くに聞こえるラジヲ体操の音で目をさます。
今日は朝からどんより雲で雨が降りそうな天気だ。天気予報では昼ぐらいから雨、夜には上がるらしい。
親父は朝ごはんを食べると。自転車で山の下のバス停まで走っていった。
来月から、自宅→自転車→バス→徒歩→学校のトライアスロンが始まるのを彷彿とさせる、出撃風景だ。
まあ、親父が乗っていった自転車は僕のMTBだがな。
たぶん帰りは車に積んでくるだろう。
さて、親父が帰ってくるまでに、今日の買い物リストの見直しをしよう、ここら辺の店の底値はWEBチラシでチェック済みだ。
冷蔵庫の在庫を確認してから顔を上げると黒電話が目に入る。
どうしよう、つばきさんに手伝ってくれって言った限りは、こちらからお誘いするのがスジなのでは?
やばい、同級生の女の子の家に電話するなんて何て敷居の高い。
前回は確認の電話だったと言う、大義名分が有ったからな、今回はお誘いだ。
こんな事なら携帯番号を交換しておけば良かった。
よし!決めた電話しよう!そして”今日は天気が悪そうなので明日のご都合はどうですか?”とさり気無くお願いしよう。
黒電話のダイヤルを廻す。呼び出し信号を聞きながら待つ、なんか、ドキドキするな。
『もしもし』
おっ先日の女中さんの様だ。よかった。
「おはようございます。卯田将弘と申します。つばきさんはご在宅でしょうか?」
『はい、少々おまちくださ…。』『あら、まさひろさん、おはようございます。さっそく逢引のお誘い?』
びっくりした心臓に悪いだろ。大御婆様が受話器をヒッタクッたようだ。合挽きってなんで?
「いえ、そうではないのですが。ご都合伺いにお電話しました。」
『あら、そんなに気を廻さなくていいのよ。そちらに合わせますから。』
「まあ、ご予定も在るでしょうから、事前にご相談をと。」
『そうですか、あ、つばきが来ましたのでお電話代わりますね。』
『もしもし、』
つばきさんの声だしかも機嫌悪そう。
「お電話して申し訳ございません。山の道案内の件なのですが本日は天候が悪そうなので、明日のご都合如何でしょうか?」
『いいですよ。』
「すずしいうちに活動したいので、明日の午前8時ぐらいで昼前までには終わらせたいと思うのですが。どうでしょう?」
『それでいいです。』
なんだろ、どんどん機嫌が悪くなっている様子だ。ドコに地雷が…。
「では明日、午前8時にお伺いしますので。動きやすい格好で、帽子と、飲み物等の熱中症対策をお忘れなく。」
『いえ、コチラから窺います』
「え?」
『コチラから窺います!!』
最早、氷の様な声だ。
「あ、では明日、お待ちしています。」
受話器を置くと、どっと疲れた。
まるで戦った後のようだ。今、この戦いが終わったが、また明日、第二、第三の戦いが待っている。
よし!明日、つばきさんと携帯電話番号を交換しよう!!
黒電話の前で決意を新たに拳をにぎりしめていると。
「なにしてんの?おまえ?」
玄関に親父が立っている。今、帰って来たようだ。車が来たのに気が付かなかった。
「え?、いや、買い物リストをな。」
「電話機のまえで?」
「あー、いや、母屋で電話が鳴ると茶室から走っても間に合わなくてね、電話線、延長できないかな?と。」
「そうなのか?うーん、電話機変えるか?子機付きのヤツに。」
「ここ、電源コンセントないよ?今の電話機の子機あんまり電波飛ばないらしいよ?」
「そうか?黒電話そのままで、電話線分配して、子機付きのヤツ買って。親機を居間に置くか?」
なるほど、居間なら、茶室が見える距離だ。
「そうだね、留守電付きの子機付きで安いのが在ればね。今の所、優先度低い話だけど。」
ふう、なんとかゴマかせた。
「よーし、じゃあ出かけるか。」
「準備万端だぜ!!始めに百均行こう。」
親父の車で、出発だ。
(´・ω・`)電話機は基本的には一回線一台が原則ですが、二台ぐらいなら並列でも問題はあまり出ません。 (回線状況ではキャッチホン&ナンバーディスプレイ機能に影響が出る場合があります。)
なお、建売住宅の場合にはダミー負荷が付いている場合があり。 (擬似電話機の替わりになる負荷)
後々、トラブルの元になります。