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コンコン・・・・・コンコン

今日もノックの音で目が覚めたが、眠い、昨日は遅くまで魔法の為の訓練をしていたので、いつもより眠い、だが朝食は食べたい、この体になってから妙にお腹が空くんだよね、この体は食いしん坊なのかな? などと寝起きでボンヤリとした頭で考える。

コンコン・・・「お客様、朝食の時間です」

返事をして、眠いのを堪えてベットから起きる、二度寝しそうな位眠い、二度寝の誘惑に耐えつつ俺はドアを開ける。

いつものように少年が立っている、お礼を言ってチップを少年の手に乗せた時に、ついウトっとしてしまい、頭をふらつかせて前につんのめる、結果として、そのまま少年に抱くつく様に床に押し倒してしまった。

一瞬で目が覚める、やばい!、怪我をさせたかもしれない、俺の力で抱きついたら骨折じゃあ済まないはずだ。

軽くパニクってしまい、そのまま抱きついて動けなかった、数秒たって今の状況を確認すると、少年の頭を胸に押し付けるようにして抱き締めて廊下で横になっていた。

手を離して起き上がり、怪我は無いか聞くと、赤い顔をして「はい」と言うも気になるので、頭や胸や腕などを触って確認していたら、さらに顔を赤くして、「大丈夫です」といって俺の手を振り切って走って下に行ってしまった。

とりあえず怪我は無さそうなのでホっとしたが、何故怪我をしなかったんだろう? とっさに抱きついたので、ギュっと力が入った感覚はあったが、骨折する事も無く本当に大丈夫だったみたいだ、たまたま怪我をしなかっただけか?。

気になってステータスを確認すると、スキルに【力加減】が追加されていた。


【力加減】

力を抑制しコントロールする事が可能。強い感情下に置いては制御が乱れる事がある。


おお、スキルが付いてる、いつの間に付いたんだ? でもまあ、これは正直いって有りがたいな、物を触る時には壊さない様に気を付けていたんで、力の加減が出来るのはとても助かる。

おもむろにテーブルにある金属製のコップを手に取ってみる、買った時にはすずで出来てるんじゃないか、と思う位柔らかく持つ度に変形していたコップだが、今はしっかりとした固さが感じられる。

スキルのおかげか、力の入れ具合などや加減も分かる、普通に物を持ったりする事が、こんなに嬉しいとは思わなかった、その後色々な物や家具などを、必要もないのにいじり回していたので、危うく朝食を喰いっぱぐれそうになってしまった。


朝食後、宿の延長をしてギルドへ向かう、ギルドに入ると何人かが、こっちを見るが俺だと分かるとサッと視線を外す、噂と言うのは早いものらしい。

掲示板を見ると王都クンジュアまでの護衛の依頼があった。


依頼ランクはDだ、俺はいまEなので一つ上のDが受けられたはずだ。

この町にいるのは、送還された場所から近かっただけなので、留まっている必要はないな、タールは田舎寄りらしいので、王都に行った方がこの世界の情報も手に入れやすいだろう、護衛の依頼なら迷子になる事も無いし、お金も稼げる、よし、依頼を受けよう。


依頼表を持って受付カウンターに向かう。

「この依頼をお願いします」

「はい、護衛依頼ですね、ギルドカードを拝見します」

俺はギルドカードを渡し、受付嬢がカードを確認したのだが。

「申し訳ありません、他の依頼は本人のランクの一つ上まで受けられますが、護衛依頼は例外でDランクに達していないと受けられません」

おいおい、最初に言っといてって・・・例外だから説明が無かったのか?、う~ん、例外か~、まあ残念だが仕方がない、人の命が掛かってる訳だし・・・もう王都に行けると思い込んでいたので、かなりガッカリしてしまった、その為か、思わず「王都に行きたかったな~」と、こぼしてしまった。

すると受付嬢が、商業ギルドに行くように進めてきた、今回護衛を頼むのは商人で、商人などは多少なりとも利益を上げる為に、乗車スペースがあれば、有料でのせてくれる事があるらしい、王都に行きたいなら交渉してはどうかと勧められた。

そうだな、せっかく行く気になってたんだし、有料でも乗せてもらうか?

良く考えたら護衛の仕方も知らないし、依頼主が食事を出すのか自前なのかも分からない、野営の方法も知らないな、夜間の見張りとかも、・・・考えてみれば俺が護衛をするのは無謀を通り過ぎて無茶すぎだろ、むしろ断られたのは幸いだったな、今後はもっと良く考えて行動出来るように頑張ろう。


冒険者ギルドを出て商業ギルドに向う、ギルドはこの辺りに集中しており、すぐに着いた。

中に入ると冒険者ギルドとあまり変わらない作りになっていたので、カウンターへ行き王都へ行きたい事を話すと受け付けてくれた。

話によると、商人は乗せられる人数を申告しておいて、ギルドで割り振りされた人を効率良く乗せて行くシステムで、料金は行先により定められているらしい、これはギルドで搭乗客を管理して、客の足元を見た商人が高い料金を吹っかけないようにする処置だそうだ。

俺の乗る商隊は二日後の朝で宿の朝食が終わる頃に出発との事だ。




「そうですね」これは違うか、「そうですわ」何か変か?、「そうよ」、「そうね」「そうしましょう」「そうですわ」・・・「ザマス」・・・・・違うな、・・「おっ、ウサギ見っけ」

俺は弓を構えてノックラビットに向けて矢を射る、今度は上手く頭に命中したので、すぐに血抜きをして皮を剥ぐ、これで三匹目だ。

俺は今、森に来ており、狩りをして剥ぎ取り&女言葉の練習をしていた所だが、どうも言葉使いが上手くいかない、直せる部分は直そうと思っているのだがしっくりとこない。

違和感無く使いこなしてみたいが、恥ずかしいし、まだ躊躇ちゅうちょしてしまう、今の所は無理せずに、少しづつ慣れるように、人の居ない場所で声に出しながら練習中なのだ。


【索敵】に近づく反応が三つ見える、ゴブリンじゃないな、速度が速い、血の匂いを嗅いで来たのかもしれないな、木に隠れるようにして様子をうかがうと、獣らしき物体がこっちに来るのが見えた・・・犬か?。

うわ~、犬は駄目だ、幼稚園に行ってた頃、追いかけられて、それから犬が苦手なんだ、高校生に成った今でも放し飼いにされてる犬には近づけないほど嫌いだ、手に汗かいてきたな、怖ええよ、しかもデカいな、近所にいたシベリアンハスキーよりデカくないか? ほんとに犬か?

【鑑定】したら<グレーウルフ> 最悪だ。


もうコッチには気が付いているらしく、真っ直ぐに向かって来る、逃げようとしたが、間に合わずに木を背にした状態で3匹に囲まれてしまった、剣を振って斬り掛かってもグレーウルフは素早く身をかわす、力が強くても当たらなければ意味がない、俺の速さじゃ、簡単に避けられてしまう、牽制しつつ剣を振るが当たらない、右の一匹に剣を振ってる隙を突かれて、左のグレーウルフが俺の左手に噛みついてきた。

グローブに穴が開き牙が食い込むと同時に勢いよく引っ張られる、予想以上に力が強かった事と俺の体重が軽い事もあって簡単に倒されてしまった、すかさずもう一匹が足に噛みついてくる、とっさに顔と首を両手で庇うが、3匹で容赦なく噛みついてくる、一瞬恐怖で体がすくんでしまったが、ここで噛みつかれても痛く無い事に気が付いた。

いや、痛いけど、思ってたような牙で噛み裂くような痛みじゃなく、皮膚に甘噛みされて軽く引っ掻く程度の痛みしか感じなかった。

そうなると現金なもので恐怖感もサッパリと無くなって反撃に移る事が出来た。

目の前で、腕に噛みついていたグレイウルフの前足を掴み、後ろの木に叩きつけると、骨の折れる感触と、ギャン!と叫び声を上げて動かなくなった。

それを見た他の2匹が噛むのを止めて距離を取ったので、その隙に起き上がる、木に叩きつけたグレイウルフをチラっと見ると、首の骨が折れたらしく、不自然な方向に顔が捻じれて死んでいた。

自分から攻撃しても避けられてしまうので、痛くないなら噛ませて手が届いてから攻撃した方がいいだろう、と言うか、現状ではそれしか出来ない、グレイウルフを睨みながら、じっと素手で構えたまま噛みつかれるのを待つことにした、両腕で顔や首を庇うようにして背を丸める。

グレイウルフも警戒したのか、直ぐに襲ってくる事無く睨み合いが続いた。

しばらくこっちの様子を窺っていたが、我慢出来なくなったらしく、右の一匹がうなった後に、低い体勢で右足の脛に噛みついて、引き倒そうとしてきたが、それは予想していたので踏ん張って耐える事が出来た、そしてすぐさま両手を頭目掛けて振り下ろした。

グレイウルフは殴られた瞬間、ガッっと息を吐くと共に地面に頭を叩き付けられ絶命した、死んだのを確認して顔を上げた時には、残った一匹はすでに逃走に入っており、走り去る後ろ姿が小さくなって行き、すぐに見えなくなった、さすがに素早いな、【索敵】で確認したがそのまま真っ直ぐに遠ざかり範囲外へ出て行った。

あ~ 怖かった、一時はどうなる事かと・・・死ぬかと思った、うん、思っただけだったな。

日本に居た時だったら、死んでたな、何かで犬と人が戦ったら犬が勝つと聞いた事がある、テレビだったかな? まあ普通に道を歩いてて、そこに犬が急に出てきて本気で殺しに来たとしたら、種類はシェパードだったとして、・・・ムリ、ムリムリ、俺じゃ死ぬな、なにか武術をやってた勝てただろうか?、それでも今みたいに3匹だと負けるだろうな、でも武器があればなんとか勝てるか? もっと武器を使いこなす様にならないと駄目だな、今回はこの体の頑丈さに助けられたな、そうじゃなきゃ倒された所で引き裂かれて噛み殺されていたはずだ。

俺は咬まれたグローブを見る。

牙が喰い込んだ穴がいくつも空いている、前腕部を保護している固い部分も貫通していた、ブーツも同様に穴が開いている。

グローブを外して腕を見ると、蚯蚓ミミズれの様な軽く引っ掻いたような跡があるだけだった、足は確認しないけどおそらく似たような感じだろう。

ほんとに頑丈だよな、あんな大きなオオカミに噛まれてるのにその程度で済むなんて、でも、まあいいか、それで助かってるのは間違い無いし、・・・さて、早いうちに血抜きと剥ぎ取りをやっとこうか。

結果、グレイウルフの魔石2個、の収穫でした。

魔石はギルドの二階で調べた通り心臓の近くにあった(大抵は心臓近くにあるらしい)、毛皮は剥ぎ取りに失敗してボロボロになったので放置した、ノックラビットは上手く剥げるようになってきたのだが、毛皮の柔軟性も違うし、その為ナイフの滑りも違って台無しに。

肉は血抜きして皮を剥いだら、思ってたよりも気持ち悪かったので置いてきた、デカイとあんなに気持ち悪いとは思わなかった、生臭さ倍増だし・・・いずれは持って帰るようにしたいが、今日はやめておいた、次はもう少しがんばろう。


町に戻ってギルドで魔石を換金した、2個で大銀貨1枚になったが、防具屋へ行きグローブ、ブーツの修理で大銀貨5枚掛かってしまった、悲しい。


次に服屋に注文していた服を受け取りにいった、店にはノクトのオッサンは居なかった、まだ戻って来てないとの事だ、オッサンの推薦で試験を受けてEクラスに上がれたので、お礼を言っとこうと思ったんだが、居ないのならしょうがないな。

服を受け取ってお金を払う、ついでに鎧下やパジャマの予備も買ってその場で調整してもらった、出来上がるまで定員さんと、女言葉の練習を兼ねて雑談をして過ごした、最初は違和感有りまくりだったけど、それにも慣れてきて結構楽しく話ができた・・・はず、そこそこしゃべれていたと思う・・・たぶん。


宿に戻ってステータス確認のためチェックボードを開く。


名前 シオリ

年齢  16

LV  2

HP  120

MP  200

力   10,000(10)

防御 10,000(10)

俊敏 10

器用 10

運   10

ポイント5



戦闘スキル

【弓術】レベル1 【槍術】レベル1 【体術】レベル1 (【怪力】【頑強】ダミー)

魔法

(未修得)

パッシブスキル

【状態異常半減】【精神耐性】 【夜目】 【覚醒】 【魔力上昇】レベル1 【力加減】

アクティブスキル

【鑑定】レベル1 【索敵】レベル1

特殊スキル

【異世界言語】【文字認識】【ブレーカー】


レベルが2になっていた、HPが20増えている、【力加減】のスキルが付いていた。

MPは変わってない、まあ当たり前か魔法は使ってないし、使わないと増えないんだろうな。

この新しい項目のポイントってなんだ? 5って、レベルアップで貰えたのかな? レベルが3になった時に確認してみよう。

ポイントは振り分けられるのかな? 試してみるか。

HP、MPには振り分けられない。

力、防御には振り分けられるけど数値が変わらない。

俊敏、器用、運には振り分けると普通に上がる。

ここは俊敏に5ポイント使っておくか、今日の戦いを考えてると、もっと素早く動けるようにならなきゃやって行けないだろうし。

ポイント5を俊敏に振り分けて、俊敏を15にした、感覚的には体を動かしても、あまり変化が無いような、多少良くなったような、微妙な感じだ、そのうちレベルを上げてポイントを振っていけば実感出来るようになって来るだろう。


夕食後は魔力を感じる練習をする、体の中の魔力を感じ取れるように、意識を集中するが、まだ感じ取れない、気長にやるしかないか、今夜は夜更かしはしないぞ。


今日は早めに目が覚めた、早めに練習を切り上げて寝たからだろう、朝食を呼びに来る前に起きる事だ出来た、ふふっ、俺はやれば出来るのだよ。


そうだ、今日は昨日買ってきた服を着よう、受け取ってすぐに袋に入れたんで見てなかったな。

袋から服を出す、一番上の服を取ると、ブラウスらしき物だった、ベージュ色で生地は綿だと思う、今更ながら、女物の服を着るのはどうなんだ?、という思いが頭に浮かんだが、気にしない事にした、考えたら負けのような気がするんだよね、着てみると少しゴワゴワするが、そんなに気にはならない、さてズボンは・・・・・・・・・・orz

スカートでした、俺はスカートを持ったままその場に崩れ落ちた。

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