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魔法

宿に戻って夕食を食べて部屋に戻る。

しかし、魔法を使っている所を見てないな、火打ち石があったくらいだから、火を点けるのは魔法じゃない方が多いのかな? この部屋の灯りもランプだし。

神様が、この体は水属性がメインと言ってたから、魔法は使えるはずだが方法が解らない、本屋に入門書なんかがあるのかもしれない、行ってみるか。

どうもこっちの世界に来てから慎重というか、どうも臆病おくびょうになってる気がする、何も分からず手さぐり状態なので、しょうがない事はわかってるのだが、常識と違ったらどうしよう、何々と違ったらどうしよう、など不安ばかりを気にして行動にブレーキが掛かっていた気がする、それこそ常識を手にする機会を逃している原因だと思う。

何も知らないのだから慎重に行動するのは当然だが、知識を得る為にはもっと積極的に行動して行くべきか?。

口で言うのは簡単だが実際に行動するには勇気がいる、物を知らないと馬鹿にされたり、白い眼で見られる事にもなるんだろうし、これからは心が折れない程度に前向きに行動した方がいいだろうな、それなら明日は依頼を受けずに調べものをする事にしよう。

何を調べるか、あれこれ考えて時間が過ぎていく、その結果、明日調べるのは、この国の名前を含めた地理と、魔法関連、周辺の魔物の状況に落ち着き、 常識は少しづつ探っていくように決めた。


寝る前に体を拭いて、今日買ったポンチョ風のパジャマ?を着てベッドに入ると、直ぐに眠気が襲って来たが、その時に一番重要な事を思い出した。

俺が女性と付き合う切っ掛けを探さないとな、どうしたらいいいだろう?そんな事を考えながら、そのまま意識を手放した。



コンコン・・・・・コンコン

ノックの音で目が覚めたが、まだ眠い、もう少し寝ていたい。


コンコン・・・「お客さま、朝食の時間ですよ」

しかたない、起きるとするか。

「は~い、ちょっと待ってね」

やっぱり起こしてくれないと、朝食には間に合わないみたいだな、まだ眠いが我慢して起きる、今日は裸じゃないし大丈夫、チップを持ってドアを開けると、今日も少年が立っていた。

「朝早くから大変だね」

そう言ってチップを渡そうとしたが、まだ寝ぼけていたらしく、チップを床に落としてしまった。

拾って少年の手にのせるも、急に顔を真っ赤にして走って行ってしまった、昨日と違うのは階段で転ばなかった事くらいだ。

さっきまで普通だったのに急に顔を赤くしたんだろう? 服は着てるし、と思いながら下を見る、・・・あ~ なるほどね、俺の行動のせいか。

このパジャマもどきは、頭から被るタイプだから首回りが広がっている、そこで俺がしゃがむと胸元から中がバッチリ見えてしまう、下手に全開で見えるよりも刺激が強いかもしれない、チラリズム恐るべし。

食堂で、俺の顔を見て顔を赤くする少年をでつつ朝食を食べ、気分良く冒険者ギルドに向う。


今日は、昨夜考えていた調べ物をする事に決めている、地理、魔法、魔物の事を調べよう。

ギルド行き中に入る、昨日のメイルを凹ませてしまった冒険者が居たら、謝ろうと思って回りを見るがいないようだ、俺の顔を見て、あからさまに視線を逸らす者がいるが、まあしょうがないのかもしれないが地味に傷つく、ちょっとだけどね。


受付に行くとメアさんの所が空いてたので声を掛ける。

「ちょっと聞きたい事があるんですが、いいですか?」

「はい、何でしょうか?」

「このの地図って見れますか?」

「はい、二階の閲覧室で見れますよ」

「この辺の魔物の分布も知りたいんですけど、どうすれば分かりますか?」

「それも閲覧室に資料がありますよ、職員もいますので、聞いてみてください」

「ありがとうございます、二階ですね」

メアさんにお礼を言って二階へ行く。


閲覧室に入ると女性職員がいたので、声を掛けて地図を見せてもらう、読み書きができる事を話すと感心された。

聞いてみると、冒険者も依頼書が読めない人の方が多いらしい、単語程度は読めるので、気になった依頼書を掲示板から剥がして受付に持って行き、詳しい内容はそこで確認するそうだ、そういえばこの世界の識字率しきじりつは低いと神様が言ってたっけな。

地図には町や村などがあるが、道などの記入は無く、ほぼ白地図のようになっている、もっと詳しい地図がないか聞いてみたが、見る事は出来なかった、詳細な地図というのは国の防衛に関わるために秘匿されているとの事だ。

地図によると、この国はサワフィリアと言うらしく、歪で欠けた円のような形をしている、王都名はクンジュアで、中央よりやや北に位置している。

地図を見たり、職員に周辺の魔物の情報を聞きながら、魔法の事も聞いてみたら、魔法は教会で洗礼を受けると覚えられるようになると教えてくれた、魔法の情報に思わずガッツポーズをしかけたがグッと我慢して平静を装う。

魔法について詳しく聞こうとしたが、ここで聞くよりは教会に行って直接聞いた方が、分かりやすいですよ、と笑顔で言われたが目が笑っていない、面倒臭い事は聞くなと言うことか? 魔法の話以外に色々と聞いていたら結構な時間が経っていた、職員にお礼を言ってギルドを後にする。


思っていたよりも、すんなりと情報を手に入れる事が出来た。今まで警戒していたのが馬鹿らしいほどだ、もっと早くから積極的に行動していれば良かったと少し後悔したが、慎重に行動するのも必要だと思い直す。

洗礼を受ける為に、通りすがりの人に教会の場所を聞いて行くと、程なくして教会を発見する。

その教会には屋根に太陽の様な物が付いている、何だろう?と思いつつ中に入ると年配の神父らしき人が居たので声を掛ける。


「すいません、ここで洗礼を受けると魔法が覚えられると聞いて来たんですが、本当ですか?」

「本当じゃよ綺麗なお嬢さん、その様子じゃと初めて来たようじゃが、その年になるまで教会に来ないのは珍しいのう、何処から来たんじゃね?」

「そんなに珍しいんですか?」

「そうじゃの、ここいらでは8歳になると洗礼を受けて、魔法の適正を調べるんじゃ、魔法の才能が有ると分かれば優遇されるし、一定の基準以上であれば将来を有望視されて、王都の魔法学園で学ぶ事になるのじゃ、もちろん学費は無料じゃ、それを知らないと言うことは、ここいらの出身ではないんじゃろ?」

「そうです、此処から離れた辺境の隠し村のような少数の集落しかない所から来たので、ちょっとこの辺の事に関して疎くて」

怪しまれないように考えていた設定を説明してみる、どうだろう誤魔化せるかな?


「まあいいじゃろう、誰しも聞かれたくない事の一つや二つはあるじゃろうしな」

全然、誤魔化されて無いみたいだな、説明が悪かったか? 表情に出てたかな? あるいは全部? 俺にこう言うのは向いてないみたいだな。


「で、どうするんじゃ? 洗礼を受けるんじゃろ?」

「いいんですか?」

「いいも何も、その為に来たんじゃろ?」

「そうですけど、気付いてると思いますが、私ちょっと怪しいでしょ?」

「はっはっ、そうじゃの、じゃが本当に怪しいやからは、自分からそんな事は言わんもんじゃ、気にする事は無いのう」

飄々(ひょうひょう)とした穏やかな口調で話してくる。

「ずいぶんと、あっさりしてますね」

「突き詰めてもろくな事は無いしの」

「そんなものですか?」

「そんなもんじゃよ」

と笑みを浮かべながら言う。

その笑みをみてホッとすると同時に方の力が抜けた、知らないうちに結構緊張していたようだ、これを狙ってやったのかな?

「落ち着けたかの?」

全くもってかなわないな。

「ええ、ありがとうございました、では洗礼を受けさせてもらってもいいでしょうか?」

「もちろんじゃとも、こっちに来てもらえるかの」

神父さんの後について行き案内された部屋に入る。

「ここは洗礼を受ける為の部屋じゃよ」

部屋の中はこぢんまりとして、中央に台座があり上に水晶玉置いてあるのだが、その大きさに驚いてしまった。

冒険者ギルドで登録したときに触った水晶玉はソフトボール位だったのだが、そこにある水晶玉はバレーボール位の大きさがあったからだ。

「大きい」

水晶を見ながら思わず声が出た。

「そうじゃろう、殆どの者がビックリした顔をするんじゃ、今のお嬢さんの様にの」

神父さんを見ると満足そうに笑顔を浮かべている、そして洗礼の説明をしてくれた。


内容は地球の洗礼とは随分と内容が違っており、信仰を高めるとか、洗礼名を授かるとかでは無く、簡単に言うと魔法が使えるか、属性は何かを調べるのが中心になっている。


魔法は初級、中級、上級に分類されている。

初級は魔法の初歩と言われるような、単発系の魔法しか使えない。

中級は初級より威力の強い上位の魔法が使えたり、多段攻撃が出来る。

上級は更に威力の強い魔法が使え、範囲攻撃が使える。

中級以上の魔法師で二属性、三属性を持つ者は属性をあわせた魔法も使うことが出来る。

属性は六種類あり、四大属性として火、風、水、土、があり聖属性、無属性とに分かれている。

属性には相性があり、火属性と水属性は互いに反発するのでどちらかしか習得出来ない、風と土、聖と無も反発するのでどちらかしか取得できない、

四属性は文字どうりで、聖属性は浄化と回復魔法が使える、無属性はそれらに当てはまらないものに分類されている、無属性の内容は様々で本人の環境に影響されたものが現れるらしい。


属性は洗礼で中級、上級の才能が有ると分かると魔法学園へ行き魔法師となるよう訓練を受けるようになるそうだ、強制ではないが魔法師になれば優遇されるので、断る人はいないらしい、中級は百人に一人、上級は千人に一人くらいしか適正が無いとの事。


初級は全ての人に適正があるのだが、日々生活に追われる庶民としては、魔法を使える様に成る為の訓練に時間を取るのは中々難しい、根気と時間が掛かるので挫折する者が多く、町などで生活する分には、魔法というのはさほど必要ではないので、初級魔法魔法を使うのを諦めてしまい、初級魔法を使えるのは十人に一人位らしい、貴族は時間と金があるので初期魔法を覚え者が多いとの事。


訓練方法は自分中の魔力を感じ取り、それを体内で循環させて練り上げる、それが出来たら使いたい魔法をイメージすると、魔法陣が形成され始めて完成すると魔法が完成して発動する。

学園に行く才能のある者でも、魔力を感じ取るまで最低でも一か月、循環させて練り上げて発動するまでには早くても一年位は掛かるらしい。


魔法が使える様になっても、それで終わりではない、最初のうちは発動まで一分位なので、発動を短くするのを目指して訓練を行っていく、あとは自分に合うように威力を調整させたりアレンジをして行くそうだ。


初級魔法を使えない人でも、魔力自体はあるので魔導具を使えば、自分の属性の魔法を使うことが出来るのだが、本来の魔法よりは威力も弱く魔力の消費も数倍となり、すぐに少ない魔力が枯渇してしまう、それでも自分の属性の初級魔法を使う事が出来るので、高価ではあるが所持している人もいるらしい、実際に所持しているのは裕福な家の者か貴族だそうだ。


「それでは、この水晶に手を乗せてくれるかの」

俺は、言われる通りに手を水晶玉に乗せる、すると台座に光る円が現れ水晶玉が光を放ち始める。

すると水晶玉が徐々に、青くなる、黄色と黒も混ざるが、青が一番多く、黄色と黒は同じ位だった。

「これは?」

「ほう、三属性とはすごいのう、水属性がメインじゃの、他は土属性と無属性かの」

水晶玉の色で属性を確認するそうで、赤⇒火、緑⇒風、青⇒水、黄⇒土、白⇒聖、黒⇒無、になるらしい。


属性も気になるのだが、もう一つ気になる事がある。

「この光る円は?」

「それはさっき説明した魔法陣じゃよ、魔法を見るのは初めてかの?」

「初めてですね、冒険者ギルドでも水晶に触りましたけど、見ませんでした」

「それはカウンターの下に出るから、見えなかっただけじゃよ、魔法が発動する時には、必ず魔法陣は出るからの」

なるほどね、だから魔法陣が、みえなかったのか、って、それが聞きたいんじゃないんだよ。

「この魔法陣の文字って読めます?」

この世界での文字はさほど見てはいないが、明らかにこの魔法陣に浮かんでいる文字は形体が違って見える、魔法専用の文字だろうか?。

「この文字は、太古に滅んだ魔法文明の物とか、神が作りし文字や法則を表している、などと言われてはいるのじゃが、本当の所はだれもわからんのじゃ、同じ魔法でも人によって文字が違うので、解明の手がかりも無く、読めたなどと言うのは聞いた事が無いのう、しかし、何でそんな事を聞くのじゃ?」

「いえ、この文字が読めるなら教えて貰おうかな~と、思って聞いただけなんです、深い意味は無いんですよ」

「そうじゃな、読めるといいのう、ほっほっ」

俺は笑顔を浮かべつつ、背中に冷や汗をくのを感じた。

何故なら、俺は魔法陣の文字が読めるからだ、魔法陣の文字を見ると意味が頭に浮かんでくる、魔力感知、属性感知、色彩変換、投影。

思い当たる節がある、【文字認識】だ。

何であろうと、文字であれば、それを認識し訳してしまうのだろう、言わないと貰えなかったのは、そうゆう事かと、いまさらながら理解した、これは誰にも言わない方がいいな、面倒の元だ。

スキルが発動する時はアイコンみたいに表示されないかな、なんて思ったら、いきなり視界の隅に点滅する物が見える、意識してみると【文字認識】が点滅していた、・・・おい、何この体は? 高性能と言うべきなのか? 確かに表示されないかなって思ったさ、だけど・・・納得いかねえな~。

体の説明を受ける前に送還されたからな、探りながら行くしかないのか、先が思いやられるな。

「どうしたんじゃ? 急にガッカリしたように見えるが、何かあったかの?」

「いえ、何でもないですよ」

気を取り直して返事をしながら、水晶から手を放すと魔法陣が消える、すると視界の端のアイコンが消えた。

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