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女体

手桶に水を汲んで部屋に戻り、服を脱いでタオルで体を拭く、手桶とタオルは宿の備え付けだ。

体を拭き終わって自分の体をじっと見る、女性の体というのは現状であるが、いまいち受け入れ難いものがある、今は違和感があるが、そのうちに馴染んでくるんだろうか?


宿には鏡は無かったので、顔の確認は出来ていない。水に映った顔を見てもはっきりしない、磨いた金属を鏡の代わりにと思ったが、磨かれた金属など手元にはないし、剣なども鋳造らしく、全体的に荒く研いであるだけなので、そこに目を近づけて、辛うじて瞳は黒らしいと分かるぐらいだった。


鏡は貴重品かな? そういえば歯ブラシがあるかは分からないが、日用品を買ってなかったな、買いに行くついでに鏡も探してみよう。


体を拭いて裸のままの体を観察するように見てみる。

モデルの様な体形で傷一つない、胸は乳首がツンと上を向いており、Dカップ位かな? 手で全体的にムニムニしてみる、オッパイが手の中で変形する、感覚としては揉んでるのだが、なにか馴染まないような違和感がある、これもその内に馴染んでくるんだろうか? 不安だ。

お尻もムニムニしてみる、形はキュっと持ち上がって締まっている感じだ、他にも腹や腕、足も同様に引き締まっている、やはり触った感じは違和感の方が大きかった、速く馴染んでほしいな。


さて、肝心な所を確認しよう、とても大事な所・・・のはずだ。

ベットの上に座ってM字開脚をして股間を除き込む、さすが高性能な体だ、柔軟性もあり苦もなく曲がる、そして手で色々と触って確認してみた。


目の前に女性の股間、そして、それを弄る俺、本来ならば鼻血ものだが、興奮する事も無く、あるのは妙な違和感だ、まだ女性の体というのに抵抗があるのだと思う、まあ結論として俺は自分に興奮するような変態じゃあない、そんな所かな。


ベットから降りて気が付いた、替えの下着無かったんだっけ、脱いだパンツをまた履く、出来上がりは三日後って言ってたけど、肌着くらいなら全部とはいかなくても、何枚かはあるかもしれないな、明日行ってみよう。

パンツ姿のままで更に気が付いた事がある、パジャマが無い。

血だらけの服、鎧下しかなかったっけな、パジャマも買わなきゃな、だがそれも何日かかかるかもしてない、裁断の要らないような服なら、直ぐに買えるかな? 最悪ネグリジェのような物でも我慢するか。


今日は生きてきた中で、一番長く濃い一日だったと思う、落盤、天界への召喚、異世界への送喚、女体化、ゴブリンの戦闘、ノクトのオッサンの笑顔、試験、盛り沢山の一日だった、さすがに疲れたな精神的にもクタクタだ、早いけどもう寝る事にしよう、俺はパンツ一丁でベッドに入ると考える間もなく意識を手放した。


コンコン・・・・・コンコン

何かを叩くような音がして、目を覚ました、あれ? ここは? 知らない天じょ・・・・・宿屋だったな。

コンコン、「お客様、朝食の時間ですよ」

そういえば寝坊して、朝飯を喰いっぱぐれないように、食事の時間になったら声を掛けてほしいと頼んでおいたんだった、宿代には含まれず、頼み事にはチップが必要と言われて、お願いしたんだった。

「はーい、ちょっとまってね」

眠いがしょうがない、自分で頼んだんだし、ベットから出て、寝ぼけまなこで巾着からチップを取出して、ドアを開ける。

そこには十歳位の男の子がいて、俺を見てビックリしたような顔をしていた。

「宿の子かな?」

「違います、ここで働かせてもらってます」

声が少し上ずってるし、顔も真っ赤になっている、緊張してるのかな?

「大丈夫? 起こししに来くれてありがとう、はいチップね」

そう言って緊張をほぐすように笑顔でチップを渡す。

男の子はチップを受け取ると、後ろを向いて一目散に廊下を走り曲がって行ったが、階段の辺りで、ダダン と何かが転げ落ちる音と振動が伝わってきた、そそっかしい子らしいな。

ドアを閉めて着替えようとした所で、パンツ一丁なのに気が付いた。

ドアが開いて出てきたのが裸の女性だったら、そりゃあビックリするよな、あの男の子は何もおかしく無い、すべて俺のせいだったか、ごめんな、心の中で、あの子に謝っておく。


食堂へ行き朝食を食べる、さっきの男の子が厨房に居て、目が合った時にニッコリしてみたら、顔を赤らめて恥ずかしそうに、ソッポをむいてしまった。・・・かわいい、ドラマでよく年上の女性が、少年をからかうシーンがあるが、こんな気持ちなのかな?


食事後、気分良く出かけることにした、宿は二日延長しておく。

歩きながら、町行く人のステータスを確認すると、一般人のレベルは、ほぼ一桁だった、冒険者らしい服装の人は二桁になっているが、ランクは確認出来ない。

チェックボードは便利だが、ギルドランクの表示がない、使徒が確認するのは、ギルドランクじゃなくて、レベルって事なんだろうな、ちょっと残念だ。


日用品を買うのに雑貨屋に入る。

歯ブラシは・・・あった。柄が骨らしい物で出来ており茶色い毛がついていた、ブラシの部分が少し大きいが、見た目は地球の物とそんなに変わっていない、歯磨き粉もあったが、これは粉状で木の入れ物に入っていた、他は爪切り(小型のナイフ)や、タオル(布)火打ち石、砥石、食器、等々を買った。

けっこうかさ張るので、一旦宿に戻って荷物を置いて、服屋に行く。


服屋に行くと、オッサンは出て来なかった、急用で遠出をしているとの事、注文した服を受け取りに来たと勘違いされたが、服じゃなくて肌着の方を何枚か先に欲しいと説明したら、肌着のほうは出来てるとの事で受け取った、服の方はやはり二日後になるらしい。

ついでに、パジャマというか寝間着のような物で、今買って持って帰れるか聞いてみたら、ポンチョの様な物に袖を付けて頭から被るタイプの物ならあるらしく、それを頼んだ、素材は手触りの良い繊維で出来ているが、見た目は言った通りの物だった、それを買って服屋を後にする。


再び宿に戻って荷物を置いて、冒険者ギルドへ行く、扉を開けるとやはり中にいる冒険者達がこっちを見るが、昨日と違って、嘗め回すような視線は少なくなっていた、代わりに様子をうかがう視線が増えたような気がする。

今日は酒を飲んでいる人はいなかった、まあ午前中だから居なくても当然かもしれない、そのまま掲示板に行き依頼表を見る。

最初はやはり薬草採取が無難だろう、・・・あれ? 無い、見落としたか? やっぱり無いな、じゃあゴブリンは居たしゴブリンにするか、・・・無い、なんで? 受付で聞いてみるか。


受付は幾つかあるが、メアさんの所が空いていたので聞きに行く。

「すいません」

「はい、依頼ですか?」

「いえ、ちょっと聞きたい事があるんですが、いいですか?」

「はい、どんな事でしょうか?」

「薬草採取とか、ゴブリン退治とかは、無いんですか?」

「その事ですか、それは常時依頼になってまして薬草は十本単位で、ゴブリンは討伐部位の魔石を持ってきていただければ、依頼達成となりポイントも入り、報酬ももらえますよ」

え? 魔石ってあるのか? 常識・・・なんだろうな、聞くもは不味いか、薬草の種類は聞いても大丈夫かな?

「そうですか、ところで薬草はどんな物を採取するんですか?」

「この本に載ってますので確認できますよ」

メアさんが図鑑を渡してくる、ギルド内で見るのはいいが貸出はしてないとの事。

図鑑は手書きで印刷技術は無いみたいだ、絵は精巧で色も付いて分かりやすい、ここら辺で取れるのを聞くと、メアさんは図鑑を見ながら三種類の薬草を指さし、大体の場所も教えてくれた。


「なあ、ちょっといいかい?」

皮鎧を着た冒険者らしき男が声を掛けてきた。

「なんですか?」

「あんたがジャンクスをブッ飛ばしたってのほ本当かい?」

昨日の事か、この姿じゃ男をブッ飛ばすのは無理だって思ってるんだろうな、まあ気持ちは十分わかるけどね、だけど一々説明するのも面倒臭いし、しらばっくれた方がいいか。


「さあ、なんの事でしょう、そんな事はありませんよ」

「ほらみろ、やっぱり嘘じゃねーか、つまんねえ嘘なんかついてんじゃねえよ」

と、隣のプレートメイルを着た男に得意顔で話す。

「なっ! 嬢ちゃん何言ってんだよ、昨日そのテーブルで酔っ払ってたジャンクスを、一撃で壁までブッ飛ばしたじゃないか、何で嘘を言うんだよ」

心外だとばかりに俺に喰ってかかる。

まずったな、又聞きじゃなくて昨日実際に見てた人だったか、でももう今更だしな、そのまま押し通そう。

「勘違いとか人違いじゃないですか?」

「そんな訳ないだろ、間違いなく昨日やったのは、あんt」

ガシッ!ミシッ、ギギッ

興奮して声も大きくなっており、これ以上騒がれるのは精神衛生上よくない(主に俺だが)俺は実力行使にでて、男の両肩を掴んで軽く揺さぶった、・・・そう、軽く揺さぶったはずなんだけど、プレートメイルが指の形に凹んでしまい、男の顔はみるみる青ざめていった。

大ごとにならないように説得をしようと思ったんだけど、これじゃあ何を言っても脅迫にしかならないな、しかしここで止める訳にはいかない、限りなく脅迫に近い説得をするしかないな。

「昨日、居たのはジャンクスって言う名前の方でしたか、彼は酔ってましたよね?」

「あっ、ああ」

「で、彼はテーブルに突っ伏して寝てしまいましたよね?」

「えっ? いやあれは、あんたが、」ミシッ、両肩から音がすると男は黙ってしまった。

「寝てしまいましたよね?」

「・・・・・」

「ね?」俺はニッコリと笑い掛ける。

「・・はい」

男の顔はもう真っ青だ。

「それで私は『こんな所で寝てたら風邪を引きますよ』と声を掛けただけで、何も起きませんでしたよね?」

「・・・はい、その通りです」

「これで誤解は解けましたね、では失礼します」

そう言って俺は静まりかえった冒険者ギルドを後にした、出る時、小声で「誤解ってなんだよ?」「しっ、喋るな」「肩見てみろよ、あんなに・・」など聞こえてきたのを全てスルーしたが、とても気まずかった、最初から認めておけば、こんな事にはならなかったはずだよね? 歩きながら絶賛後悔中だ。


もやもやしつつ、町を出て薬草が多くあると言われた場所に向かって歩いて行く。

この辺りは森に入らなければ、さほど強い魔物は出て来ないとギルドで言われてた通り、街道を外れても何も出て来ない、索敵を使っても反応は無かった。

一時間ほど歩き目的地に着いた、背の低い草が生い茂っており、あたり一面草だらけだ、この中から薬草を探さなければならない。

中腰になって探して行くが、中々見つからない、今日は誰もいないが、ギルドで教えてもらった所なので他の人も取りに来てるはずだ、少なくなってるかもしれないな、お、あった一本目。


二時間後、六十本の薬草を集める事が出来たので町へ戻る事にした。

戻る途中にウサギを見つけたので、鑑定をしてみたら<ノックラビット>と言うらしい、あの突進がノックなのか? ずいぶんと激しいノックだな。

まだこっちに気づいてないようなので、弓で狙ってみる、矢は一番安くやじりなどは付いておらず、先を尖らせただけの物だ、これは練習用なので沢山購入してある、もちろん鏃付きのも少し買ってあるが今は使わない。

良く狙って矢を射る、矢は見事にノックラビットに命中したが、弓の威力が強すぎたのか、矢は貫通した、ノックラビットはその場に倒れて動かない、近づいて確認して見ると、矢は胴を貫通してすでに絶命していた。

命中して良かったと思いつつ、気が付いたことがある、ノックラ・・・ウサギでいいや、ウサギの毛皮は買い取ってくれるんだろうか? 買い取るとしても穴が開いてたり、傷があったら値段は下がるのは間違いないと思う、矢で穴を開けたのは失敗か、狙うとしたら頭とかかな、ピンポイントで頭狙いは厳しいな、そうとう練習が必要になるが、まあそのために矢を買ったんだし、頑張りますか。


反省はここまでにして、剥ぎ取りをしてみよう、ウサギの首を切って血抜きをして、四肢をきって腹から裂く、内臓を取出して毛皮を剥いでいく、買ったばかりの剥ぎ取りナイフは、皮を剥ぐのに適しており、素人の俺でもそこそこ剥ぐ事が出来たが、結果としては途中で穴を開けたり、切り過ぎたりで毛皮はボロボロになってしまった、まあこっちも練習して数をこなすしかなさそうだ、肉も売れなさそうな塊になっていた、自分で食べるには問題は無いな。


そろそろ昼だし、この肉を焼いて食べる事にしよう、地面がむき出しになっている所で枯れ枝を集めて火打ち石で火をつける、ブツ切りにした肉を細い枝に刺して炙っていく、刺した枝が燃えないように注意するのが大変だったので、焼きながら金属製の串を買おうと心に決めた、しばらくすると肉の焼けるいい匂いがしてくる、十分火が通ったのを見計らって塩を振って食べてみる、元の世界でウサギを食べた事が無いので比較は出来ないが、思ったより臭味も無く旨かった。


帰りは弓の練習をしながらなので三時間ほどかかってしまった、冒険者ギルドに行き受付にいって報告して、薬草を見せると、買い取りのカウンターへ行くように促されたので、そっちへ行った、薬草は六束で小銀貨六枚だった、宿一泊以下だが、行き帰りの時間を除けば、実質二時間しか採取してないし、そんなもんなんだろう。

ギルドでは俺と目が合うと慌てて目を逸らす人がいる、午前中にやった事を思えば、まあしょうがないのかな、あの人のプレートメイル動かすのに支障はなかったかな? 今度合ったら聞いてみよう、逃げたりしないよね? その時はその時だ、俺はそのままギルドを出て宿に戻った。


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