第1話:出会い
「ねー、大丈夫?そんなところで寝てると風邪ひくよ?」
「寝ている相手に話しかけてどうする」
「だって、この子……傷だらけだよ?ただ寝てるにしても、傷が多いよ?」
「だったら、お前の回復魔法で治せばいいだろ」
二人の男女の会話が聞こえる
自分は、うっすら目を開けてみた
「あ……!気がついた?大丈夫?」
一人の少女が話しかけてきた
少女と言っても、多分、私と同じぐらいの歳だろう
「多分、大丈夫だと思う、かな?」
「それって、大丈夫じゃないだろ」
私が、とりあえず大丈夫と言ってみたけど、もう一人の少年が、静かに否定された
こちらの少年も、私と同じぐらいの歳だろうか?
「えー!!大丈夫じゃないの!?どうしよう……、あ、ちょっと待っててね!!」
私の返事を待たずにどこかへ行ってしまった
私と少年で二人きりになってしまった
「名前は?俺は、レン」
レンと言われる少年が私に名前を聞いてきた
「ルナ、多分それが私の名前だと思う」
いや、確定はできない、自分の名前すらも、曖昧だ……
「じゃあ、ルナ、ひとつだけ聞くが、お前は、なにか戦える武器とかはあるのか?」
「え……?武器……?」
唐突すぎて、驚いた
武器、そんなものあったけ?
あ……、あった
武器じゃないけど…
「魔道書なら扱えると思う」
「そうか、お前は魔道士なんだな、どうりで納得がいく」
「……?」
「お前は、わからなくていい」
よく分からないけど、私は魔道士らしい
今度聞いてみよう
魔道士とはなにかを……
しばらくしたらさっきの少女が戻ってきた
「遅い、リアなにをしてた」
「そんなこと言わなくていいじゃん!!」
どうやら、女の子の方は、リアという名前らしい
茶色のストレートの髪が印象的だ
一方、レンの方は、私と同じ黒髪だ
いや、そんなのはどうでもいいのだ
なぜ、リアは杖を持っているのかが不思議だった
「えっと、ルナちゃん、だよね?さっき、レンから聞いたよ!私はリアだよ!よろしくね!」
「よ、よろしく?」
とりあえず、私も『よろしく』を言った
「んでね、この杖は、あなたを回復させるの!だから、少しだけおとなしくしててね」
「わかった」
とりあえず、私はおとなしくした
リアは、自分が持っている杖を私の頭に軽く置いた
すると、みるみるうちに、私が持っている傷がなくなっていった
「……すごい!」
「でしょー!さすが私ってね!」
リアは、笑っていた
私もつられて、軽く笑った
「リアは、これぐらいしか取り柄がないからな」
「これぐらいは余計だよ!!」
なんか楽しそう、いいな
そんな私の心の中を察したのかリアは、私に
「ルナちゃんも一緒に旅する?」
「え、いいの?私も一緒に」
私も一緒にいていいのかな?
とにかく、連れていってくれるのが、嬉しい
「いいよねー!レン?」
「別にいいんじゃないか?」
「だってー!ルナちゃんも一緒に旅できるよー!!」
嬉しい、
この一言しか出ない
「じゃあ、これからもよろしく?」
と私が言うと、リアは
「うん、よろしくね!」
これから楽しくなりそう!