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俺達は神【世界】を否定する  作者: 十文字もやし
一章 ガルム帝国編 一部 神と呼ばれる少女
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4話 ギルドの一員になるために

「じゃあ依頼を受けるわね」


 リンはそう言うと窓口に向い、どの依頼にしようか迷うように見ている。

 そして数秒後「これで」と言うと、なにやら契約書のようなものを書いて、お姉さんから何かタグのようなものをもらっていた。


「お待たせ。じゃあ行きましょ」


「なにそれ?」


「これ?」


 リリナがリンの持っているタグらしき物を不思議そうに見る。

 それを俺達に見せるように手の平に乗せて見せる。


「これは許可証よ。これでガルムの外に出るの」


「外って危険なのか?」


「当たり前じゃない。魔物がいるんだから……知らないの?」


 リンは不思議そうに俺を見る。俺は慌てたように「わ、忘れてただけだ!」と答える。

 この世界は外に魔物がいるのか。街中が近代的だったからそう思えなかったけど、やっぱり異世界なんだなここ。

 俺はここが異世界だと、改めて実感する。


「じゃあ行こっか」


 リンについて行くように俺達はギルドを出た。



 数分歩くと見えてきたのは大きな壁だ。高層ビルほど高い壁で、その厚さもすごそうだ。

 リンはそのまま入り口の門らしきとこまで進むと、門の横の小屋にいる人にさきほどのタグを見せていた。

 タグを確認した門番らしき人は、壁に空いた穴に、カードキーのようにタグを差し込む。


「うぉぉ……すげぇ」


 すると目の前の大きな門が横にゆっくりとスライドして開く。

 その光景に俺はおもわず感嘆の声を漏らしてしまう。


「何してるの? 行くよー」


 リンが手を振りながら俺達を呼んでいるのが見えた。

 すると、コートの裾をリリナが引っ張る。リリナを見れば少し不安そうな顔をしている。


「大丈夫だ。お前は俺が守るから」


 青い髪に手を乗せて撫でると、ニコッと笑う。

 それを見て安心したのか、リリナも笑う。そして俺の裾を掴んだままリンの元へ向かった。



「すっげぇなー」


 本日二度目の感嘆の声。その理由は目の前に広がる風景だ。

 俺の住んでいた世界では、見ることが出来ないであろう風景が目の前いっぱいに広がっていた。

 生い茂る草木、どこを見ても緑ばかりで自然の豊かさがわかる。遠くには山も、うすっらとだが見える。


「まるでゲームの世界だな……」


 俺はまるでRPGのフィールドのような風景にしばらくボーとしていた。


「外に出たこと無いの?」


「ああ……」


「珍しいわね。外を知らないなんて」


 やはり不思議なのか、俺を少し怪しそうに見るリン。


「ねえ、依頼の内容って何なの?」


 気になる様子のリリナに、リンは「これよ」と言ってリリナに依頼の内容が書かれた紙を渡す。

 リリナは渡された紙を見ると、書かれた内容を口に出す。


「薬草の……採取?」


「うん。この程度ならあなた達でも大丈夫だと思ってね」


 薬草の採取か。思ったより簡単そうでよかったな。内心魔物の討伐とかだったらどうしようかと思ってたよ。

 あれだろ? モンスターを狩るゲームみたいに採取して渡せば依頼達成ってやつだろ?

 俺は頭の中でそのゲームの中で俺が採取している様子を思い浮かべる。


「でも、薬草は森の中だから。それに魔物と遭遇するかもしれないしね」


「そんときは任せろ。戦えるってことを見せてやるぜ」


「まあ期待してるわ」


「怪我したら言ってね?」


「いい子ね。ありがとう、貴方は絶対に私が守るから安心して」


 リリナを撫でながらそういう。リリナも満更でもないような顔をしている。

 俺はスルーか。一応丸腰なんだけど俺。まあ俺よりも小さい女性に守ってもらうほど俺も情けなくは無いけどな。


「じゃあ、ちゃちゃっと終わらせるか」


「やる気あるじゃない。じゃあ貴方の言うようにちゃちゃっと片付けましょ」


 リンの案内で俺達はその薬草があるという森へ向かった。

 俺は周りの風景に見とれながら、心の中で魔物と会いませんようにと祈っていた。



 ガサガサと歩く音が鳴る。俺達は森の中を歩いている。

 上を見れば木々に覆われていて、木の屋根のようになっている。鳥みたいな鳴き声も聞こえ、結構心がリラックスできる空間を感じさせる。


「もうそろそろ、その薬草が生えてる場所につくんだけど……」


「疲れた……」


 リリナの足取りが遅くなる、神の子とはいえやはりまだまだ子供なのだ。

 俺はその様子を見ると、リリナの前で屈む。リリナはキョトンとした顔を一瞬したが、俺の意図を理解し嬉しそうな顔で俺の背中に乗る。

 その様子をなんだか温かい目で見ているリン。


「そういえば、あなた達って兄妹なの?」


「違うぞ。まあ……」


 俺がどう言おうか迷っていた時だ、リリナが後ろから口をだす。


「……お兄ちゃん?」


「やっぱり兄妹なの?」


「いや違うって……命の恩人的な感じかな?」


「どういうこと?」


「まあ……今は兄妹ってことにしといてくれ」


 それで納得したのか、リンはそれ以上聞いてはこなかった。

 そしてお目当ての場所を発見したのか、リンは「あったあった」と言って少し早歩きでその場所へ向かう。

 その場所は小さな池があり、近くに周りの野草とは違う、青い花が咲いていた。


「その青い花か?」


 リリナを背中から降ろしながら訊く。リンは俺の問いにうなずくと、その花を摘み始める。


「綺麗だね」


 リリナはその青い花を見てそう呟く。

 青髪の少女に青い花か……なんだかこの光景似合うな。

 リリナの様子を見ていると、リンもその様子を見ていた。


「なんか不思議な子ね……」


「何が?」


「いや……なんか雰囲気がね。まるで神の子みたいだなって」


 神の子という単語に俺は一瞬驚く。幸いリリナは聞こえていなかったようで、花を見ている。


「よ、よく言われるんだよあいつ」


 これが女の勘というやつなんだろうか? でもバレてないからセーフだ。


「もう採取出来たんだろ? 行こうぜ」


「そうね、じゃあ帰りましょ」


 リンは花を袋に入れると、持っていた鞄に入れる。

 俺もリリナを再び背中におぶる。そして俺達は来た道を戻る。


「結局魔物出なかったな」


「そうねー。私としては貴方のスキルを見たかったけど」


「それはまた次回にしてくれ」


「そういうことにしといてあげる」


 森の中だから魔物も結構出てくるかと思ったけど結局出会うことなく終わったな。

 まあ出会うと面倒だから嫌なんだけど……。

 しかし魔物より面倒なことになるとは思っていなかった。


「あー?」


 声が聞こえたと思うと、ガサガサと横の茂みから何者かが現れる。


「誰かと思えば……あの時の子連れの兄ちゃんと女じゃねえか」


 茂みから現れたのは二人組。こいつらはギルドの支部で絡んできたタンクトップの人達だ。

 マッチョのほうの手には俺の身長はあるであろう黒い大剣。細い方は、パイプのような黒く長い棒だ。


「お前、こいつらと組んだのかあ?」


「相手はよく見て選べよ女。流石に子連れはないぜー?」


 細いほうがケラケラ笑いながら俺達を見る。

 やっぱりうざいなこいつら。


「そう? あんた達よりは頼りになると思うけど?」


 リンは挑発するように二人に言う。その挑発にのるように細いほうが「あ?」と言う。

 俺達をフォローしてくれてるんだろうけど、今は止めてほしかったな……喧嘩とかになったら面倒だし。

 風が森の中を吹きぬけザワザワと木々が騒ぐ。まるでこの場の空気を現しているみたいだ。


「言ってくれるな小娘。俺達を黒金兄弟と知って言ったな」


 自分達のコードネーム? らしき物を自慢げにいいながらリンと睨みあうマッチョの方。

 こうやって自分達の自称二つ名を言う奴って大体大したことないんだよな。


「言うわよ。それにこいつ、あんた達と違ってスキル所持者よ?」


 スキル所持者。その言葉を聞くと二人組は俺を興味深そうに見る。

 なんだか嫌な予感がする……俺はリリナに被害がいかないよう、降ろすと後ろにいさせる。


「ほぉスキル所持者か。なるほどそれならギルドに来ていたのも納得がいくな」


「なあカイ? 俺こいつとちょっと腕試ししてもいいかぁ?」


「はあ? 俺はお断――」


 次の言葉を言おうとした瞬間その黒い棒が俺の顔を掠める。

 頬からは少し切れたのか血が流れ出る。


「スキル所持者と手合わせできる機会なんてねえからな! てめえが嫌でも、こっちはやる気だぜぇ!」


「リリナ! 離れろ!」


 俺は叫ぶと、リリナはビクッとしたように肩を上げる。そしてすぐにその場から離れる。

 黒い棒を引っ込めると、また一回二回と風を切るような突きを繰り出す。

 俺は後退しながらその攻撃を避ける。しかし相手は実力者だ、避け続けれる訳がなかった。


「――っ!」


 一撃が肩に当たる。肩にめり込むように棒がくいこむ。

 俺は痛みで顔を歪める。痛みの中、拳を握ると男の顔を殴ろうと拳を突き出す。

 しかし簡単に俺の拳は防がれてしまう。やはり実力の差がありすぎる。


「ちょっと、あんたの仲間でしょ!? 止めなさいよ!」


「断る。正直俺もスキル所持者を見るのは初めてでな、俺も混ざりたいくらいだな」


「全く! 話にならな――!」


 リンは戦いを止めようと走り出す。しかしリンは急にその場に倒れてしまった。

 背後には剣を構えた大男がいた。おそらく頭部を剣で強打したのだろか? 迫り来る棒の中、その様子を見ていたが俺にはどうすことも出来ない。


「――っく……この……卑怯者……」


「なんとでも言え、でも安心しろ。殺しはしないさ、まあ……半殺しにはなるかもしれないがな」


 リンは身体に力を入れて立とうとするが立てないのか身体が震えている。

 剣で峰打ちしだけじゃないのか? あの野郎魔法でも使ったのか?


「他人の心配してる暇があるかぁ?」


「――ぐっ!」


 腹に衝撃が走る。まるで腹に丸太でも飛んできたかのような強烈な一撃だった。

 息が出来ない。そのまま俺はその場に膝をつく。


「零!」


 その様子を見ていて耐え切れなくなったのかリリナが魔法を使おうと構える。徐々にリリナの身体が青いオーラに包まれていく。しかし――


「駄目だぜお嬢ちゃん……邪魔したら」


 魔法は中断させられてしまう。リリナの手と口は大きな手の平によって邪魔される。


「んー!! んー!!」


 リリナはジタバタと暴れ、小さな手でその手を離そうとするが、子供の力ではまるで意味はない。


「立てよ兄ちゃん。ご自慢のスキルってのを見せてくれよぉ?」


「へ、断る……生憎俺の力はそんな安っぽくないんでな」


 使おうと思えば使える。でも使えない。使えばこいつらは間違いなく消える。うざいやつらだけど、関係のない人を殺したりなんか出来ない。


「ムカつくなぁお前……なら意地でも使わせてやるよ!」


 背中に棒が突き刺さるように連続で叩き込まれる。ミシっと背中から嫌な音が身体に響く。

 俺は口の中に鉄のような味の液体がこみ上げ吐き出す。


「――ゲホッ!」


 口から血が出る、今の衝撃で内臓がいかれたか? 体中がめちゃくちゃ痛い……こんなの前の世界じゃ経験したことねえよ……


「――!! ――!!」


 涙目になりながら俺の様子を見るリリナ。なんとか拘束を解こうと手を引っかいたり叩いたりしている。。

 暴れているうちに右手の包帯が緩んでいく。


「……リリナ! それ以上は駄目だ……!


 だが俺の声はリリナの耳には聞こえてはいない。

 そしてついに包帯が外れてしまい、右手の甲に現れる天のファートが現れてしまう。


次でいよいよ零の活躍かな?



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