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俺達は神【世界】を否定する  作者: 十文字もやし
二章 シュトラスの町編 暖かい町、そして無情な現実
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25話 町の観光そして少年少女との出会い

 外を出ると、早朝とは違い人通りが少しずつだが多くなってきている。

 人の中にはリリナ達と変わらないくらいの子供も数人おり、服装が制服みたいなのを着ている。学校があるのだろうか?


「学校か……」


 俺は呟きながら俺の横に立っている。二人を見る。

 いつか、こいつらにも……学校に通わせてあげたい。平和な世界になったら、きっと。

 二人は周りをキョロキョロと見渡して、好奇心溢れる目をしている。


「ねえ零、どこいくの?」


「そうだな……」


 そういえばこの世界に来てからこいつらとまともに出かけるのって初めてだな。


「リンが果物が美味いって言ってたし、果物でも探すか?」


 そのうち他の目的も見つかるだろうしな。

 二人は俺の提案に文句はないらしく、わかったと言った。




「ハァ……疲れた……」


 お洒落なカフェの前に置かれた椅子に座り、ぐったりとした感じで疲れる。

 年頃の子供の相手がここまで疲れるとは……予想外だ。

 あっち行きたい、こっち行きたいと……よくもあれだけ動けるもんだ。


「あいつら、あの元気はどこから出るんだよ」


 キャッキャッと騒ぐ二人。アクセサリーを扱っている店で二人で盛り上がっている。

 俺は男の子だから、何が楽しいのかはわからないが、まあ楽しいんだろうな。


「……まあちょっと休憩しよ」


 目の前の机に置かれた、紅茶のような飲み物を飲みながらその様子を眺める。

 ここは商店街のようなところで、色々な店が集まっている場所だ。売っている物は、日本みたいに野菜などのように食材や、日用品などを扱っている店もある。他にもあいつ等がいる装飾品とか、ギルドが運営しているであろう武器屋、あとは飲食店とかだ。


「親の気持ちってこんな感じなのかな」


 二人を眺めながらそう思う。こうやって子供に振り回されながら、疲れるのかな……

 すこしだけど親の気持ちが理解できた気がした。するとシェリアが俺を見ると、手招きしている。


「来いってか?」


 椅子にくっついているかのように、腰をゆっくりとあげるとシェリアの元へ向かう。


「ねえねえ零君! これ可愛い?」


 シェリアが見せるのは髪飾り。赤い装飾が目立つ、花弁のような髪留めだ。

 そりゃ似合うかどうかっていったら、似合うな。それになんだか赤ってのがしっくりくる。炎って感じだからだろうか?


「可愛いぞ」


「ほんと? じゃあこれ買う!」


 お前、一体誰が金を出すと思ってるんだ。まあそれぐらいならいいけどな。

 するとリリナがジト目で俺を見ている。そうか、お前も欲しいのか。


「リリナ、お前も何か買うか?」


「いいの?」


「せっかくだしな」


 そう言うと並べられている装飾品をジッと見る。そしてその中から一つ取り出すと俺に見せる。

 青く、海のような色をした、波の様な模様があるブレスレット。こいつらってなんだかイメージに合う物とるよな……


「どうかな?」


「大丈夫、似合ってる」


 そう言ってやるだけで微笑む。

 よろこんでもらえたなら満足だ。二人がよろこんで、俺も心の中で少し嬉しかった。

 二人はお互いの選んだ物を見せ合いながらニコニコしてる。


「じゃあ買ってくるから、貸してくれ」


 そう言って二人から品物を受け取ると、店内に入っていき会計を済ませる。

 ふむ、財布が軽くなった気がする。こりゃ明日から気合入れて依頼にはげまないと。


「ほら」


 それぞれの品物が入った紙袋を渡す。嬉しそうに受け取ると、大事そうに抱える。


「これ絶対に大切にするね」


「ありがとう」


 ニコッと笑いながらそう答える二人。

 そこまで喜んでくれるのは予想外だったな。買ってきたかいがあるもんだな。


「昼前ぐらいか……」


 俺は太陽の位置を見て予想する。まだ昼には少し早いな……

 そこで俺はある場所を思いつく。


「そうだ、お前達にいいところ教えてやるよ」


 朝一に見つけたあの見渡しのいい場所。

 あそこは一度は見ておきたい場所だ。だからこいつらにも見せてやろうと思った。



 商店街の通りから数十分。喋りながら歩いていると、あの丘が見えてくる。


「あそこ?」


 リリナが丘を指差しながら訊いてきた。


「そうだ、あそこから見る景色はいいぞ」


 そういうとシェリアが元気よく駆け足で前に進むと、俺達を見るように振り返った。


「じゃあ早く行こうー!」


「楽しいそうだなー」


「うん! だって零君と一緒にいるし!」


 本当に楽しそうな顔してるな。きっと両親ともこうやって楽しく過していたのだろうと思う。

 リリナを横目で見ると、リリナもなんだか楽しそうに見える。

 出かけるだけでここまで楽しいもんなんだな。俺もこうやってワイワイしながら買い物するのは楽しいかな。


「それじゃ行くか!」


 俺はシェリアを追いかけるように少し駆け足で追いかける。

 後ろからリリナが「ま、待って!」と言いながら小走りで追いかける。



 林を抜けた先にはあの町を見渡せる丘の頂上が見えてくる。


「二人とも……早すぎ!」


「リリナが遅いだけでしょー?」


「私は運動苦手なの……!」


 シェリアを睨むように息を整えながら答えるリリナ。

 俺はそんなリリナの背中をさするように、悪い悪いと答える。


「ん……また誰か人がいる?」


 また誰かいる。今度は二人だ、服装から見どうやらあの子ではないらしい。


「あれ? 知らない人だ」


 俺たちに気づいたのか一人の女の子が振り返る。

 黒い髪に白いカチューシャを付け、青いパーカのような服を羽織った少女。下は黒い短パンだろうか? 歳はリリナ達よりも幼く見える。


「こら、レナ。駄目だろ、そんなこと言ったら」


 そしてもう一人も振り返る。カッターシャツに、黒いズボン。なんだか学生みたいな格好だ。この人も黒髪で兄妹の様な感じだ。


「すいません。妹が……」


「いや、気にしてないさ」


 丁寧に謝る少年。この町の人って礼儀正しいのな。

 しかしこいつ、俺と同い年ぐらいか? 背丈とか似てるからそう感じる。


「あなた方は……観光の方ですか?」


「まあそんなとこだ。ストリアに行きたいんだが、ちょっとな」


「そういえば今ストリアで、トラブルが発生したとかで行けませんね」


 少年はリリナ達を見る。


「まさか……ギルドの方ですか?」


「すごいな、わかるのか?」


 今日は刀もつけてないし、パッと見るとただの平民にしか見えないと思ったんだけどな。

 この少年の洞察力に少し驚く。


「雰囲気がそんな感じをしていたんです。どこから来たんですか?」


「ガルム帝国だ。それでわけあってストリアにな」


「そうですか」


 ザァと風が通り抜ける。高台になるのか少し風が強い。


「良い景色だなここ」


「そう思いますか?」


「朝一にも来たが、昼はまた違った景色だ」


 徐々に活気付く町を眺めてそう呟く。

 リリナ達も丘の前に行き、町の景色を眺めている。あのパーカー姿の女の子も一緒にいる。三姉妹みたいだな。

 その時、腹から「グゥ」という腹の虫が鳴る。その音を聞き、クスッと笑う少年。


「そういや……もうこんな時間か……」


 俺は少しだけ恥ずかしい顔をしながら苦笑いする。


「そうだ、せっかくこの町に来たんですから、オススメの店に案内しましょうか?」


 そりゃありがたいな。地元の人に案内してもらえるとは。

 俺は少年の好意に甘えさせてもらうことに決める。


「そうだな、案内してくれるか?」


「わかりました。きっと気に入ってくれると思いますよ」


 少年はさっきの女の子を呼ぶ。俺も少年に続き二人を呼び寄せる。


「そうだ、俺は神城零だ。これも何かの縁だしよろしくな」


「零さんですね。僕はシン・シュルト、あっちは妹のレナです。よろしくお願いします」


 お互い握手を交わす。

 ほんの少しの出会いだろうけど、こうやって交流するのも悪くないよな。




 シン達に案内されて来たのはとある料理屋。シンが言うにはパスタがおいしいのだとか。

 あと話しててわかったんだがシンは俺と一緒で17歳。レナはまだ9歳だという。

 店内はログハウスのような感じで、自然を感じさせる雰囲気だ。あちこちに観葉植物が置いてある。


「オススメはこの町の野菜を使った、シュトラスパスタなんです。観光に来る方はよく食べているみたいですよ」


「せっかくだし俺はそれだな。お前等は?」


 俺は二人に訊いてみる。「一緒でいいよ」「零と同じ」と二人とも変わらなかった。

 それを聞いてシンは店長らしき人に注文する。

 あ、リン忘れてた。まあ……適当に誤魔化しておこう。


「それにしても僕と同い年なのに、旅をしているなんてすごいですね」


「そんなことないさ。俺だってこの間までは普通の一般人だったから」


 シンと談笑する。やっぱり歳が近い奴がいると話が弾むな。

 今まで出会った奴はオッサンとか女の子しかいなかったからな。

 俺は新鮮な気分に浸っていると。シンの横にいるレナが俺に話しかけてくる。


「ねえどんな旅してきたの?」


「旅って……まだ帝国ぐらいしかしらないんだけど……」


 苦笑いで答える。好奇心溢れるような目で俺を見る幼い少女。駄目だ期待を裏切れない……

 色々考えていると、あることを思いついた。


「そうだ、俺の故郷でよかったら話すぞ?」


「零さんの故郷は帝国ではないんですか?」


「ちょっと違うんだよ。ここからずっと、遠く離れた……日本って国だ」


 離れているどころじゃないけどな。この世界自体にないし。

 流石に異世界にあるとは言えないから、そうやって誤魔化しておく。

 シンは日本という言葉に聞いたことがないのか不思議そうな顔をしている。


「日本? どんなところなの?」


 興味があるようで、レナは聞いてきてくれた。

 さて、それじゃあ話してあげようかな。俺の世界のことを。

 文化や科学、ゲームや機械など様々なことを喋った。話すたびに二人は驚いたり、興味がありそうな表情をしていて、反応を見ていて楽しかった。スマホを見せたときなんてかなり驚いてた。まあ、電池は切れてるけど。

次回の話辺りで戦闘パートに移る予定です。


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