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贈り物  作者: 怪盗エース
7/10

「さようなら」ではなく、「またね」。

「私は……私は……」

ひなは、初めて騎士の前で泣いた。

悪い子狩りの時は心の中だったので、騎士は見ていないのだ。

「ど、どうした!?」

「嬉しくて……騎士君、本当にありがとう。私、こんなに幸せな事ないよ……」

「じゃあ、一緒にサンタ見習いやってくれるのか!」

騎士の顔が笑顔になった。

だが、ひなは首を振った。

「……? ひな?」

「とっても嬉しいけど……」


―私ね、騎士君と一緒にいたことで、気付いたの。私、臆病だった。自分で勝手な考えをしていた。私だけが、不幸だったわけじゃない。皆、平等なんだ、って。皆が私の所を離れるんじゃなくて、もしかしたら私から皆の事を避けていたんじゃないかって。そう思ったの。

騎士君が私の事を考えてくれて、こうやって誘ってくれたことはとても嬉しい。でも私ね、もう少し、自分の力で頑張ってみようと思うの。少しでも皆と同じ生活を送ってみようって―


「そうか……ひなは、そう思ったんだな?」

「うん」

「ひなは、臆病じゃないよ」

「?」

騎士は、さし出していた手をひなの頭の上にポンと乗せ、やさしい顔で言った。

「ひなは、頑張るってちゃんと決断を出来たじゃないか。しかも、自分の気持ちを俺に言ってくれた。こんな「いい子」には、俺初めて会ったよ!」

「騎士君……」

「でも、俺はいつでもひなを見ているからな。ちょっとでも悲しい顔をしたら、俺がすぐ駆けつけるからな? さみしかったら、俺を呼べよ?」

「……有難う!」

そして、窓から見えた満月を見ながらこう言った。

「それじゃあ、帰らないと。じいちゃんに怒られちゃうしな」

「そっか」

ひなは、もうさみしいという気持ちはなかった。とても、すがすがしい気持ち。

「神楽坂ひな!」

いきなり騎士は、叫んだ。

「俺と、約束してくれ!」

「? 何を?」

「来年、また来る。ひなの事だから、絶対に「いい子」のままだと思う。だから、また悪い子狩りとプレゼント配り、一緒にしような!」

ひなは、大きくうなずいた。

「メリークリスマス!!」

そう言った後、騎士はサンタクロースと同じ一瞬で消えた。

「ばいばい!」

騎士が消えた所から、一枚の紙が落ちてきた。


ひなへ

俺と、約束したことを忘れないように、書いておく! 

『絶対に来年また俺と仕事をする!』

それまで、サンタの服と帽子、失くすなよ!

騎士。


ひなは、今までで一番大きな声で、こう言った。ちょうど時刻は12時をまわり、部屋の時計がなった。

「騎士君!! メリークリスマス!」




私、神楽坂ひなは楽しい生活を送っています。

冬休みが終わり、学校に行って皆とちゃんと話しました。

原因は、言葉の行き違いでした。みんな私の事を受け入れてくれて、楽しい学校生活を送ることが出来ました。

騎士君とのお別れは少し辛かったですが、来年また会いに来ると約束してくれたので、もうさみしくはないです。

すべて、あの日の出会いが私の事を変えてくれました。それが、今年のクリスマスプレゼントだったのだと、私は思います。


私は空に向かって言いました。

「また、絶対に……会おうね!」


皆さんは、クリスマスに素敵な出来事がありましたか?

「贈り物」どうでしたでしょうか?これにて本編は終わりました。番外編は、後ほど更新します。

感想、意見などを書いて頂けると嬉しいです。

それでは1日遅れですが、メリークリスマス!

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