悪い子狩りが終わった夜のこと
悪い子狩り―
子供たちの心の中に入り込む「悪い心」を排除する事。
「悪い心」は「いい子の心」に変える事ができる。その事ができるのは、「いい子」のみ。
「いい子」がいない場合、サンタ見習いは「悪い心」を追い出す事は可能。だが、「悪い心」に取り込まれた子は完全にいい子にはなれない―
「分かったか? だから、俺は仕事をしながらひなを探していた」
本を閉じ、ある少年が話した。
彼の名前は風守騎士。サンタ見習いと言っている。
「うん……なんとなく分かったよ」
そう言ったのは、神楽坂ひな。騎士が探していた「いい子」なのだ。
「なんだ。なにかまだ分からない事があるのか?」
ここはひなの部屋。たった今悪い子狩りが終わり、帰ってきた所だ。
「うん。あのとき、何が起きたの?」
「いい質問だ。あの時ひなは、「悪い心」を説得し、「いい心」にしたんだ」
「騎士君が、蹴る必要はあったの? なんだか、乱暴に見えたんだけど」
「あぁ。まぁ、あそこまでしなくてもいいんだが……」
先ほどまで開いていた本をぱらぱらとめくる騎士。
『「悪い心」をとりだす方法』のページで手を止めた。
「見ろ」
―見習いサンタが悪い心を持った人に触れる、もしくは蹴るなどをして、直接「悪い心」に攻撃を加えると、「悪い心」がでてくる。なお、本人には害はない代わり、悪い心が完全に追い出されるか、「いい子」に説得されるまで気を失う。
と、書いてあった。
「俺は前から、「悪い心」を追い出すことを専門に学んできた。だから、今回も追い出すつもりで戦ったんだが……。まぁ、ひなが最後はいい子の心に戻してくれたから、一件落着ってことで!」
「さっきの説明によると、騎士君はあのままだと追い出していただけで、私がいなかったら完全には「いい子の心」には戻せなかった。って事?」
「そう。今回の仕事が初めてだったけど、修行中の中で何回か倒してきた。それでもやっぱり「いい子」は必要なんだ。そして、最近「悪い心」が増えてきた」
「?」
―昔は、「いい子」ばっかりだった。悪い子狩りなんて必要もなかったらしい。
世の中は、進歩してきた。ひなも、分かるだろう? そして、物騒になった。
俺も信じたくないが、さっきみたいな万引きという犯罪も犯す子供達がいる。
そのために、俺達がいる。「いい子」と協力をして、イヴまでに「いい子の心」を少しでも増やす。それが、サンタ見習いの使命。
「ひな」
説明をした後、騎士は言った。
「だから、イヴまでに「いい子」の心を増やす手伝いをしてくれないか?」
ひなが気がついた時には、自分の首を縦に振っていた。
「よしっ!」
騎士は、「あぁ~よかった!」と言って喜んでいる。
全く、自由気ままな人だ。
―自分が必要とされるなんて、思ってもいなかった。
なので、とても嬉しかった。
「じゃあ早速、明日から頑張ろうか!! と、言うわけでおやすみ~。ひなの隣の部屋、使ってもいいか?」
「私の家で寝るの!?」
「いいじゃないか。それじゃあな~」
そう言って、騎士はひなの部屋を立ち去った。
「まぁ……いっか」
そう言ってひなは眠りについた。明日は終業式で、どちらにしろ都合がよかったのだ。
ひなは騎士と一緒に悪い子狩りをする事を約束した。
それから3日間、ひなは全力で「悪い心」を「いい子の心」にしてきた。騎士は騎士で楽しそうに、だが、真剣な眼差しで悪い子狩りをした。
時は24日の朝になる。
今回の話はどうでしたか?感想などがあれば、書いて下さると嬉しいです。
結構日にちが飛びましたが、それには理由があります。
何かと言うと、今日か明日中に終わらせたいと思っているからです。
一月になってしまうと、クリスマスではなく、お正月になってしまいますからね(苦笑)
なので、本編が終わった後に番外編として、悪い子狩りのシーンを書こうかな、と思ってます。
書きおわってきづいたのですが、私自身明日が終業式でした(笑)