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贈り物  作者: 怪盗エース
1/10

出会いは、とある商店街で

雪が街にしんしんと降り積もる。

今宵こよいは12月20日。クリスマスの5日前になる。


不意に、誰かがこの地上に降り立った。

「ここか…」

そう言い残すと、足音も立てずにある街へと歩き出した。


「クリスマスシーズンが近づいてきました。皆さんはどのようにお過ごしでしょうか…」

ここは商店街。クリスマスの準備などでにぎわっていて、クリスマスツリーがあちらこちらに並んでいる。

そこを、つまらなそうに歩いている少女がいた。

「クリスマス、かぁ…」

少女は呟いた。

「今日のご飯はなににしようかな…」

今夜の夕食について考えているようだ。

その前に紹介をしておこう。

彼女の名前は神楽坂かぐらざかひな。中学2年生だ。素直な性格。

彼女には家族がいない。去年の夏、事故があり両親とも死んでしまった。仕事の出張の最中で、ひなは幸いその場にいなかった。

そんな両親もいないでクリスマスを過ごすのはとても嫌だった。親がいない為1人で家事をするので、友達とも遊ぶ暇はない。ノリが悪いと言われ、最近は友達が離れていってしまう。


―私だって皆と遊びたいよ。皆みたいに普通に過ごしたい…でも、仕方ないじゃない…


「……今夜はハンバーグに決まり!」

先ほどの事は忘れ、張り切って肉屋に向かうひな。

すると、不思議な光景が目に入った。

「…?」

赤い服に赤い帽子。

そこには、サンタの格好をした少年がいた。この時期なので普通だと思うが、彼は、宙に浮いていた。

「え?」

なんで、浮いているの? しかも、誰も気づいていない…

そう。彼女以外には気づいているものがいない。そればかりか、少年が降り立ってこっちに向かってくる。

「お前、俺の事見えるのか?」

いきなり、少年がひなに話しかけてきた。

「誰ですか! 一体なんで浮いていたの?」

遠回しに聞いても仕方ないので、気になっていることを言った。そう言う性格なのだ。

周りの人が驚いてひなを見ているが、ひなは気にしないでそのまま少年から目を離さなかった。

「この格好見てもわからないのか?」

少年はにやりと笑って答えた。

「俺はサンタさ!!」


ひなの思考は停止した。

―なに言っているの? サンタ? サンタって私と同じくらいの年の子なの?

「あ、ちなみに俺見習い。俺のおじいちゃんが本物だから」

少年はまるでひなの心の声が聞こえたように答えた。

その後、少年はひなに背中を向けた。

「俺、まだ仕事が残っているから先に終わらせてくる。今日の夜、行くから」

「?」

「じゃあな。ひな!」

少年はそう言うと、一瞬で消えてしまった。

「なんだったの…」

そう言った後、驚く事に気が付いた。

「私、自分の名前言っていない…」

そう。彼女は話している間、自分の名前を口にしていない。


一体この少年は誰なのだろうか。

なぜ、ひなの名前を知っていたのか。ひなはこれからどんな事に巻き込まれるのか…

―その答えは、これから始まる物語の中にある。

さぁ、舞台の幕開けだ。

読んで頂き、有難うございました!

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