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掌編アラカルト  作者: 伊簑木サイ
社内恋愛
6/9

お菓子くれなきゃ悪戯するぞ

(他サイトでも公開中)

「お菓子くれなきゃ、悪戯するぞ」

 不機嫌そうないつもの顔で、特に何の感情も込めず、意味のない呪文のように目の前で唱えられる。

 しかも日本語って。

 そんなことが気になるのは、余裕があるからではない。余裕がまったくないからだ。

 いくら出張帰りだからって、給湯室の壁に追いつめて、肩の両脇に手をつくのはいかがなものかと!

「お、お茶、淹れますね」

 スーツがちょっとよれっぽくって、肌に艶がなくて疲れて見えたから、お茶でも飲んで一息ついてもらおうと思って、席を立って給湯室に来たのに。

「いらない。甘いキスをしてくれるのと、俺に悪戯されるのと、どっちがいい」

「どっちも」

 お断りです、と続けようとした言葉は、迫ってきて重ねられた唇に押しとどめられた。

 仕事中だとか人に見られたらとか、焦って慌てて、目を見開いて硬直する。

 押し付けるだけのキスで、見事に私の口を完全に封じた彼は、焦点の合う位置まで退いて、私の目を覗き込んだ。

「どっちも、だな」

 私だけの狼男は、ニヤリと笑って、まずは甘いキスから所望した。

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