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掌編アラカルト  作者: 伊簑木サイ
夫婦円満
5/9

日常

「ただいまー」

 自分で鍵を開けて玄関に入ると、しばらくしてから足音がして、居間のドアが開く。

「おかえりなさい、お疲れさまー」

 彼女が俺の姿を認めて、安心したように満面の笑みを浮かべる。

 それを目にしたとたん、やたら仕様変更の多い客のことだとか、使えない後輩ばかりかき集めてきて、これでどうにか間に合わせろと無茶を言う上司だとか、そういったことが、すうっと心の隅に退いていく。

 かわりに、温かい気持ちが心の中を満たしていく。

「ん。腹減った」

「ごはん、すぐあっためるね。今日は、麻婆豆腐だよー」

 寝室に向かいながら、居間の奥のキッチンに行く彼女の背を見送る。

 毎日繰り返される変わり映えのない会話。けれど、変わることなく心のこめられた、笑顔と言葉。

 そんな何気ない日常に、今日一日の苦労が報われたと思えてしまう。

 俺はネクタイをさっさと抜いて、家の中に漂う、うまそうな匂いを胸いっぱい吸った。


 男心を癒すのは、うまい飯と、掛け値なしの笑顔。

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