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『シークレットガールズ 新世代へ――母から娘へ、受け継がれる五人の秘密』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『シークレットガールズ Season 3――母から娘へ、受け継がれる五人の秘密』
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第0話「二十五年後――母から娘へ、まだ知らない五人の秘密」


二十五年前、日本中を夢中にさせたシークレットガールズ。


EYE、MORM、YAH、BEE、LIZ☆だった五人も大人になり、今ではそれぞれ母親になりました。


そして、その娘たちは母親たちがシークレットガールズとして活動していた頃と同じ年頃へ――。


しかし、娘たちはまだ知りません。


自分たちの母親こそが、かつてのシークレットガールズだったことを。


さらに、歳を重ねた小林社長にも世代交代の時が訪れます。


後継者として現れたのは、なんと小林社長の実の息子。


母から娘へ。


父から息子へ。


二十五年の時を越えて二つの世代が動き出す、Season 3の第0話です。


新しい「秘密」の始まりを、ぜひ最後までお楽しみください。



二十五年前――。


日本中の少女たちを夢中にさせた、五人組のスーパーアイドルがいた。


その名は――シークレットガールズ。


EYE。


MORM。


YAH。


BEE。


LIZ☆。


華やかな衣装を身にまとい、眩しい照明が降り注ぐステージで歌い、踊り、数え切れないほどのファンに笑顔を届けていた五人。


しかし、彼女たちには誰にも知られてはいけない秘密があった。


ステージを降りれば、五人はどこにでもいる普通の中学生だった。


学校へ行き、授業を受け、友達と笑い、時には恋や家族、進路に悩む。


そして放課後になれば、誰にも正体を知られないよう芸能事務所へ向かい、シークレットガールズへと姿を変える。


普通の中学生と人気アイドル。


二つの顔を持ちながら、五人はかけがえのない青春を駆け抜けた。


やがて、それぞれの未来へ歩き出した五人。


そして――。


シークレットガールズは、伝説になった。


◇◇◇


あれから、二十五年。


朝。


「早くしないと遅刻するよー!」


柴崎家に、一人の女性の声が響いた。


キッチンでは朝食の準備が進んでいる。


「分かってるー!」


二階から慌ただしい足音が聞こえてきた。


制服姿の少女が階段を駆け下りてくる。


「走らないの。転ぶよ」


「だって寝坊したんだもん!」


「昨日、夜遅くまでスマホ見てたからでしょ?」


「ちょっとだけだって」


「ちょっとじゃないでしょ」


そんな、ごく普通の母と娘の朝。


しかし――。


娘は知らない。


目の前で朝食を用意している母親が、二十五年前、日本中を熱狂させたシークレットガールズの一人だったことを。


柴崎リオ。


かつての――LIZ☆。


リオは、その過去を娘に一度も話していなかった。


「はい、お弁当」


「ありがとう!」


娘は鞄に弁当を入れる。


「行ってきます!」


「行ってらっしゃい。気をつけてね」


玄関の扉が閉まった。


リオはしばらく、その扉を見つめる。


「……もう、あの頃の私と同じくらいなんだね」


小さく呟いた。


娘は成長した。


二十五年前、自分がシークレットガールズとして走り回っていた頃と、ほとんど同じ年頃になった。


リオは懐かしそうに微笑んだ。


だが――。


娘に過去を話すつもりは、まだなかった。


◇◇◇


同じ朝。


荒木家。


「忘れ物ない?」


「ない!」


「本当に?」


「大丈夫!」


荒木まやもまた、一人の母親になっていた。


かつてのBEE。


娘が慌ただしく家を出ていく。


「行ってきます!」


「行ってらっしゃい!」


扉が閉まる。


「……元気だなあ」


まやは苦笑する。


何気なくリビングの棚を見る。


そこには家族写真が並んでいた。


だが、その奥。


娘が普段触れることのない場所に、一冊の古いアルバムがしまわれている。


そこには――。


BEEとして活動していた頃の写真が残されていた。


娘は、その存在を知らない。


◇◇◇


森川家。


山本家。


高野家。


そこでも同じような朝が流れていた。


かつてMORMだった森川未紀。


かつてYAHだった山本麻子。


そして、かつてEYEだった高野愛。


五人全員が大人になり、それぞれ家庭を持ち、母親になっていた。


そして偶然にも、五人の娘たちは母親たちがシークレットガールズだった頃と同じ年代まで成長していた。


だが――。


五人の娘は誰一人として知らない。


母親たちがシークレットガールズだったことを。


母親同士が二十五年以上前から深い絆で結ばれている本当の理由も。


そして自分たちの人生が、これから母親たちと同じ「秘密」に巻き込まれていくことも――。


まだ、何も知らなかった。


◇◇◇


その日の午後。


都内にある芸能事務所。


社長室の窓から、一人の年老いた男性が街を眺めていた。


机の上には、一枚の古い写真。


そこには、まだ幼さの残る五人の少女が並んでいる。


シークレットガールズ。


「……二十五年か」


男性は静かに呟いた。


小林社長。


かつてシークレットガールズを支え、彼女たちの秘密を守り続けた人物だった。


もちろん現在も五人との交流は続いている。


しかし小林社長自身も、二十五年という年月を重ねていた。


昔のように、いつまでも自分一人が会社を率いていけるわけではない。


机の上には、もう一つの書類が置かれていた。


「代表取締役社長 後任人事」


小林社長は、その文字を見つめる。


そして静かにインターホンを押した。


「入ってくれ」


「失礼します」


扉が開く。


一人の男性が入ってきた。


小林社長よりずっと若い。


落ち着いた表情で、小林社長の前まで歩いてくる。


「座りなさい」


「はい」


男性が椅子に腰を下ろす。


小林社長はしばらく黙って息子を見つめた。


そう。


この男性は――。


小林社長の実の息子だった。


「いよいよだな」


「……はい」


「本当に引き受ける覚悟はできているか?」


息子は迷わず頷いた。


「できています」


「この会社を受け継ぐということは、ただ社長という肩書きを受け取るだけじゃない」


「分かっています」


「芸能人たちの人生を預かる仕事だ」


「はい」


小林社長は息子の目を見る。


「そして――秘密を守る仕事でもある」


息子の表情が少し変わった。


小林社長は机の上に置かれていた古い写真を、ゆっくりと息子の前へ差し出した。


「覚えているな?」


「もちろんです」


写真には、シークレットガールズの五人。


「EYE、MORM、YAH、BEE、LIZ☆」


息子が答える。


「伝説のシークレットガールズ」


小林社長は静かに頷いた。


「彼女たちが普通の中学生だったことを知っていた人間は、当時ごくわずかだった」


「父さんたちが、その秘密を守り続けた」


「ああ」


小林社長は写真を見つめる。


「そして五人は、今では母親になった」


息子は知っていた。


父親から、五人の現在についても聞いていた。


すると小林社長は、別の資料を机から取り出した。


五枚。


それぞれに、一人ずつ少女の写真が載っている。


息子が目を見開く。


「これは……」


「五人の娘たちだ」


「……まさか」


小林社長は、ゆっくり椅子から立ち上がった。


そして窓の外へ目を向ける。


「ずっと考えていた」


「何をです?」


「シークレットガールズという名前を、あの五人だけの伝説で終わらせるべきなのか」


息子は黙って聞いている。


「もちろん、無理に復活させるつもりはなかった。だが……五人の娘たちを見た時、偶然とは思えなかった」


小林社長が振り返る。


「母親たちがシークレットガールズになった頃と、ほとんど同じ年代だ」


息子は五枚の資料を見つめた。


「五人とも……母親が元シークレットガールズだと?」


「知らない」


「え?」


「一人も知らない」


息子は驚いた。


小林社長は静かに続ける。


「五人とも、自分たちの過去を娘には話していない」


「それなら……」


息子が資料を見ながら尋ねる。


「この五人をどうするつもりなんですか?」


小林社長は答えなかった。


代わりに、一冊のファイルを息子へ渡す。


表紙には、一言だけ書かれていた。


――SECRET GIRLS PROJECT。


息子はゆっくりファイルを開く。


そして数秒後。


「……父さん」


「私の最後の大仕事になるかもしれない」


小林社長は笑った。


「そして、お前の最初の大仕事になる」


「新しい……シークレットガールズ」


「ああ」


小林社長は力強く頷いた。


「二十五年前、五人の少女から始まった物語を――次の世代へ託す」


◇◇◇


数日後。


久しぶりに五人の女性が同じ部屋へ集まった。


「なんか懐かしいね」


未紀が周囲を見回す。


「こうして五人で呼び出される感じ」


「分かる」


まやが笑った。


麻子も懐かしそうに頷く。


「昔を思い出す」


愛がリオを見る。


「でも、小林社長が私たち五人を一緒に呼ぶなんて珍しいよね」


「うん」


リオも少し気になっていた。


やがて扉が開いた。


「待たせたね」


「社長!」


五人が一斉に振り向く。


「久しぶり」


小林社長が笑顔で入ってきた。


その後ろには、もう一人。


若い男性がいる。


リオが首を傾げる。


「こちらは?」


小林社長が五人を見る。


「紹介しよう」


そして男性の肩に手を置いた。


「私の息子だ」


「ええっ!?」


五人が揃って驚いた。


まやが目を丸くする。


「社長、息子さんいたんですか!?」


「いるよ」


「初めて会った!」


未紀が思わず言う。


小林社長は苦笑する。


「そして、もう一つ」


部屋の空気が変わる。


「近いうちに、私は社長を退く」


「……え?」


リオの笑顔が消えた。


「社長……」


「歳には勝てないよ」


小林社長は穏やかに笑った。


「これからは息子に会社を任せる」


五人は驚きながらも、息子を見る。


新しい世代。


それを五人も感じ取った。


だが――。


小林社長の話は、それだけではなかった。


「今日、君たちを呼んだ本当の理由は別にある」


机の上に、一冊のファイルが置かれた。


リオが表紙を見る。


その瞬間。


表情が変わった。


「……SECRET GIRLS?」


まやも身を乗り出す。


「どういうこと?」


小林社長は五人を見渡した。


「君たちの娘についてだ」


「娘?」


五人が一斉に反応する。


「ちょっと待ってください」


麻子が真剣な顔になる。


「どうして娘たちの話が……」


小林社長は静かに告げた。


「新しいシークレットガールズを作りたい」


沈黙。


そして――。


「ええええええっ!?」


五人の声が部屋いっぱいに響いた。


「まさか!」


「私たちの娘を!?」


「シークレットガールズに!?」


小林社長は頷いた。


「候補は、君たち五人の娘だ」


五人は言葉を失った。


二十五年前。


自分たちが歩いた道。


それを今度は娘たちが歩く。


リオが最初に口を開いた。


「でも……娘は知りません」


「何を?」


「私がLIZ☆だったこと」


まやも頷く。


「うちもです。私がBEEだったことは話してません」


「私も」


「私も」


「同じです」


五人全員だった。


小林社長は静かに頷いた。


「分かっている」


そして――。


「だから今は、話さなくていい」


五人が顔を上げる。


「え?」


「君たちが初代シークレットガールズだったことは伏せたままにする」


「でも……」


「娘たち自身が、新しいシークレットガールズとして何を感じ、どう成長するのか。それを見守ってほしい」


リオは机の上のファイルを見る。


その目には、二十五年前の記憶が蘇っていた。


初めてステージに立った日。


失敗した日。


泣いた日。


笑った日。


五人で手を取り合った日。


そして――秘密を守り続けた日々。


まやが小さく言う。


「私たちの娘が……」


未紀が続ける。


「シークレットガールズ……」


麻子はまだ信じられない様子だった。


愛が静かに笑う。


「なんだか……すごいね」


リオは四人を見る。


二十五年前、一緒に青春を過ごした仲間たち。


今度は――。


その娘たちが同じ場所に立とうとしている。


小林社長が息子を見る。


「ここから先は、新しい社長と新しい五人の物語だ」


息子が頷いた。


そして五人の母親たちへ深く頭を下げる。


「お母様方が守ってきたシークレットガールズという名前を、必ず大切にします」


五人は顔を見合わせた。


まだ答えは出ない。


娘たちがどう思うのかも分からない。


そもそもアイドルになりたいと言うのかすら分からない。


だが――。


何かが動き始めた。


それだけは、五人全員が感じていた。


◇◇◇


その頃。


そんな大人たちの話など何も知らない五人の娘たちは、いつもと変わらない日常を送っていた。


学校。


友達。


勉強。


部活動。


恋。


将来。


笑ったり、悩んだりする、ごく普通の少女たち。


自分たちがこれから秘密のアイドルになることなど知らない。


母親たちがかつて同じ道を歩いていたことも知らない。


そして――。


自分たちが受け継ぐことになる「シークレット」の本当の意味も知らない。


二十五年前。


五人の少女から始まった物語。


そして二十五年後。


母から娘へ。


五人から、新しい五人へ。


小林社長から、その実の息子へ。


夢も、友情も、秘密も――次の世代へ受け継がれていく。


伝説は、終わっていなかった。


新しい五人の青春は――。


まだ、始まったばかりだった。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


Season 3の幕開けとなる第0話では、初代シークレットガールズだった五人の二十五年後と、その娘たち、そして小林社長から実の息子への世代交代を描きました。


母親たちは、自分たちがEYE、MORM、YAH、BEE、LIZ☆だったことを、今も娘たちには明かしていません。


そんな何も知らない五人の娘たちが、まさか「新しいシークレットガールズ」の候補に選ばれることになるとは――。


なぜ自分たちが選ばれたのか。


どうして母親たちは芸能界に詳しいのか。


そして、二十五年前のシークレットガールズの正体とは何なのか。


娘たちはこれから、母親たちと同じように「普通の少女」と「秘密のアイドル」という二つの顔を持つ青春へ足を踏み入れていきます。


一方で、その姿を見守る母親たちには、娘たちに言えない二十五年前の大きな秘密があります。


いつか娘たちが真実を知る日は来るのでしょうか。


そして小林社長の実の息子である新社長は、父から受け継いだシークレットガールズをどのように新しい時代へ導いていくのでしょうか。


二十五年前の五人から、新しい五人へ。


ここから、二代目シークレットガールズの物語が本格的に始まります。


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