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『戦闘力5の三十路ギャンブラー、異世界で「命の代償」を強いる――最強の騎士も魔王も、俺の賭場からは逃げられない』  作者: 仁胡 黒


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第9話:名簿に刻まれた「2」、再会の確信

第9話をお読みいただきありがとうございます。

名簿の中に「かつての悪友」の名を見つけたエイト。

不自然な再会ではなく、エイトの直感とニカの性質が引き寄せた、必然の会合。

ここから「数字」を持つ者たちの真実が、二人の知略によって暴かれていきます。

禁書庫の静寂の中、俺は『界境の碑録(名簿)』を貪るように捲った。

イチカ――八嶋一美の「生贄」という残酷な記載に胸を締め付けられながらも、俺の目はある一行で止まった。

【転移者登録:NO.000002】

氏名:二階堂ニカイドウ 恭一キョウイチ

適性:情報屋トリックスター

備考:極めて高い生存本能。王都地下組織との接触を確認。

「……二階堂、恭一……。ニカか」

その名を目にした瞬間、カビ臭い禁書庫の空気が、新宿の裏路地の煙草の匂いに変わった気がした。

二階堂。現世で俺と幾度となく万札を奪い合い、時に公園で一本の缶コーヒーを分け合った、救いようのないクズ。そして、俺が唯一「情報の扱い」で一目置いていた悪友だ。

「ねえ、おじさ…え、エイト。 その……ニカイドウ、っていう人が知り合いなの?」

イチカが、顔を赤らめて俺の顔を覗き込んできた。…そんなに恥ずかしいなら呼ばなきゃいいのに…ったく。

「ああ。……もしこいつがこの世界にいるなら、間違いなく『一番汚くて、一番金が動く場所』に根を張ってるはずだ」

俺は名簿を閉じ、リクドウから預かった鍵を懐にしまった。

この世界には、転移者に『1』から『9』までの管理番号が振られているらしい。男性は偶数、女性は奇数。俺は『8』、一美は『1』。そして二階堂は『2』。

この数字の羅列が何を意味するのかはまだ分からねえが、ニカなら何か掴んでいるはずだ。

「……行くぞ、イチカ。王都の『底』だ。そこに俺たちの活路がある」

俺たちは貴族街を抜け、華やかな表通りを避けながら、スラムの入り口へと向かった。

三奈が「あそこは私のハニートラップすら通用しない修羅の国よぉ」と泣き言を言っているが、俺の足取りは軽かった。

確信があった。あいつなら、この異世界の混沌を、誰よりも楽しんでいるはずだと。

入り口から数えて三つ目の、窓のない酒場。

扉の隙間から漏れてくるのは、安酒と——かすかな『現世』の煙草の匂い。

俺は扉を蹴り開ける代わりに、聞き慣れたリズムでノックを刻んだ。

タン、タタン、タン。

……新宿の地下カジノで、警察のガサ入れを知らせる際の合図だ。

「……おいおい。そのリズム、まさか現世の『サツ』が迷い込んできたわけじゃねえよな?」

酒場の奥。薄暗いカウンターでコインを指に躍らせている男が、ゆっくりとこちらを振り向いた。

整えられていない髭、人を食ったような薄笑い。

二階堂恭一は、この世界の住人になりすましながらも、その瞳に隠しようのない「ギャンブラーの光」を宿していた。

「久しぶりだな、ニカ。……情報の出所にまで煙草の匂いを染み込ませる癖、直ってねえな」

「……ハッ! 黒田の旦那かよ。戦闘力5で有名人とは、相変わらず『引き』が強すぎて笑えねえぜ」

二階堂は立ち上がり、椅子を蹴って俺を招き入れた。

第9話、いかがでしたでしょうか?

ニカ(2)の登場により、物語に「裏の専門家」が加わりました。

イチカを救うためのヒントは、この男が握っているはず。

そして次回、第10話。ニカが語る「生贄システム」の回避策と、エイトの戦闘力を偽装する『最大のハッタリ』が幕を開けます。

お楽しみに!

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