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『戦闘力5の三十路ギャンブラー、異世界で「命の代償」を強いる――最強の騎士も魔王も、俺の賭場からは逃げられない』  作者: 仁胡 黒


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7/8

第7話:確定した死を、勝利へ書き換えろ

第7話をお読みいただきありがとうございます。

最強の守護者・リクドウとの決着。

「外れた数字が死に変わる」という恐怖のルール。

しかし、エイトはその恐怖すらも利用し、相手の「確信」を逆手に取り勝負します。

「……ふん。面白い空間だな。だが、小細工は私の眼には通じない」

リクドウが右目のモノクル――『六道眼ろくどうがん』を静かに発光させた。

俺たちの背後にそびえ立つ巨大な回転盤には、1から36までの数字、そして唯一つの『髑髏どくろ』のマークが刻まれている。

【遊戯種目:『死線デッドライン・ルーレット』】

【ルール1:交互に数字を一つ宣言する。回転盤が止まった際、選んだ数字に球が落ちれば勝利】

【ルール2:外れた場合、その数字の溝は『髑髏』へと上書きされる。以降、そこに落ちたプレイヤーは敗北(即死)となる】

「……ほう。外せば外すほど、死の確率が上がるというわけか」

リクドウが断罪刀の柄を弄びながら、冷酷に目を細めた。

(どのマスに止まる……? ……ほう、『髑髏』か。くくっ、最初から詰んでいるとはな)

リクドウの『六道眼』には、すでに静止した未来の盤面が視えていた。

運命の女神は、最初からこの不遜な三十路男を見放している。

「……いいだろう。先攻は譲ってやる。一投目で死ぬか、それとも無様に外して死の影に怯えるか。好きな方を選べ」

リクドウが余裕たっぷりに手招きする。

(勝った。止まるのは『髑髏』だ。……貴様の死は、今この瞬間に確定した)

俺は一歩前に出ると、巨大な回転盤を見上げ、小さく吐息をついた。

隣でイチカが「ねえ、おじさん、顔色が悪いわよ!? 無理なら逃げようよぉ!」と喚いているが、耳に入らない。

俺はゆっくりと右手を上げ、迷いなくその場所を指差した。

「……宣言するぜ。俺の選ぶのは、『髑髏』だ」

「……は?」

リクドウの思考が、一瞬停止した。

「……貴様、今なんと言った?」

「聞こえなかったか? 『髑髏』に落ちる方に全額オールインだ。……さあ、回せよ」

俺が不敵に笑った瞬間、空間に轟音が響き、巨大な鉄球が回転盤の中へと解き放たれた。

リクドウのモノクルが激しく明滅する。

(ありえん……! 死のマスを自ら選ぶだと!? ……いや、待て。このゲームの勝利条件は……!)

リクドウの顔から血の気が引いていく。

鉄球は凄まじい速度で弾け、吸い込まれるように――最初から盤面に存在していた唯一の『髑髏』の溝へと突き刺さった。

【判定:命中。プレイヤー・エイトの宣言通り『髑髏』に落下】

【確定:宣言的中により、勝者・エイト】

「な……が、ははははっ! 負けだ! 俺の完敗だよ!」

リクドウが、力なく椅子に背中を預け、天を仰いで爆笑した。

「『当たれば勝利』。……例えそれが、本来なら死を意味するハズレくじであっても、当てちまえば『正解』になるのか! 盲点だったな……因果を視るこの眼さえ、貴様の狂気の前ではただの負け札だ」

「……ギャンブルの鉄則だぜ、守護者さん。配られたカードがゴミなら、ルールの方をねじ曲げる。……悪いな、アンタの『眼』が良すぎたのが敗因だ」

俺は、動けないリクドウの胸元から、静かに禁書庫の鍵を抜き取った。

「ひ、ひえぇぇ……死ぬかと思った……。おじさん、心臓に悪すぎるわよぉ!」

「やっぱりおじさん、最高にクレイジーね! 私の愛人候補、筆頭に格上げよ!」

背後で騒ぐ二人を無視して、俺は埃を被った書架へと足を進める。

そこには、この世界の真実――『転移者名簿』が眠っている。

俺は、一冊の黒い書物を手に取り、その重みを感じながらゆっくりと表紙を開いた。

「……さて。アンタは何者なんだ、イチカ」

そこには、俺の予想を遥かに超える、最悪で最高な真実が記されていた。

第7話、いかがでしたでしょうか?

相手の完璧な予知を逆利用し、「死の的中」を「勝利」に書き換える。

ギャンブラー・エイトの本領発揮です。

そしてついに開かれた『転移者名簿』。

イチカの正体、そしてエイトをこの世界に呼んだ「システム」の正体とは。

次回、第8話。物語の歯車が大きく加速します!

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