表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

放置されたRPGエディターで普通に生活する始まりの村のNPCの話 ちなみに魔王はMP0で魔法が使えません

作者: 千ノ葉

勢いのみで書き上げた作品になります。RPGツクールなどで

ゲームを作った人なら刺さるかもしれないお話になります。

「ここはハジメーノ村です」


名もなきNPCは今日も誰も居ない村の門付近で

そう叫んでいた。


今日も快晴。

風一つ吹いていない素晴らしい陽気だ。


彼がいつものセリフを言い終わり、今日のルーティンを

終了しようとしていると、


「ふははははは!」


遠くの方から高笑いと

足音が聞こえてきた。


随分邪悪な気配だが、彼の顔はパァッと明るく

なった。


彼は慌てて、声の主に近づき、


「ここはハジメーノ村です」


と大声で叫ぶ。


「耳元でうっさいな! お前は誰じゃ!」


「誰……えっと……名前が決められてないです 強いて言えば***です」


「いや***ってなんて発声すれば良いのじゃ!」


その人物は少し悩んで、


「そのまごうことなき一般市民感。モブ男でどうじゃ」


「モブ男……それが僕の名前なんですね!」


モブ男と呼ばれた青年は嬉しそうに涙を浮かべる。


「名前を付けられただけで、泣くとは随分この村の男は

 軟弱なようじゃな!」


「で、あなた様は? はっ! まさかその姿……」


「ふふん。ようやく気付いた様じゃな!」


「チェックのスカートに紺のブレザー。

 そして猫耳……JKですね!」


「誰がJKじゃい!」


JKらしき人物はモブ男に対して拳を繰り出す。


ぽふっ……


細腕から繰り出されるパンチ(弱)は随分優しい音がした。


「っ!? くくく……中々の耐久力ではないか」


「JKに触られて少しドキドキしてしまいました……」


JKらしき少女は、顔を赤く染めるモブ男に、引き一歩下がる。

そして、コホンと咳ばらいをし、


「魔王じゃ! ワシは魔王じゃ!」


「魔王!?」


モブ男は驚き、懐から本のようなものを出す。


「えっと、魔王ルガルディス=フェリシア―」


「はぁ? な、なぜお前その名を……」


自称魔王の猫耳JKは驚く。


「趣味はスライムの育成と魔の森のお散歩。好きな食べ物はパンケーキ

 猫を3匹飼っていて、子供のころから一緒のクマのぬいぐるみが無いと

 なかなか寝付け――」


「ちょ! ま、待つのじゃ!」


モブ男は本を見ながら、淡々と読み上げるが、

ルガルなんちゃら魔王は身体を張って制止する。


「えー。まだまだいっぱい設定項目があるのに……」


「貴様! なんじゃその本は!? どこで手に入れた!」


魔王は怒りを露にする。耳まで赤く染めて可愛らしい。


「そこの木の洞から見つけましたよ 〇秘設定メモとかなんとかで」


モブ男は村の木を指す。


「ちょっと貸してみろ!」


「あっ!」


魔王はモブ男から本を奪い取り、中身を確認する。


「なんで下着の色まで設定しているんじゃ! バカ作者め!」


頭から蒸気が噴き出しそうなくらい怒りをあらわす魔王。

地団太を踏み、地面に本を叩きつけた。


「あっ、〇秘本が……」

モブ男は悲しそうな顔をする。


「はぁはぁはぁ……いいか! 

 その本のワシの設定は金輪際見るんじゃない!」


「胸が小さいのが悩みとかですか?」


「忘れろ!」


「はい」


魔王はぶつくさ言いながら本を拾い上げる。


「だが、この本のお陰で確信が持てたわい」


「確信ですか?」


魔王は空を指す。


「ああ! ズバリこの世界はゲームの中じゃ!」


「ゲームの中ですか? 信じられない……」


モブ男は自分の手をマジマジと見る。


「いいかモブ男!」

「はい。魔王ちゃん」


「魔王……ちゃん?」


「ええ。だってどう見ても魔王ちゃんより僕のほうが

 年上だし、設定でも16歳って」


「貴様……死にたい様じゃな」


魔王ちゃんは怒ったらしい。もの凄い魔力が村全体を

震え立たせる。


「魔王にちゃん付けとは、万死に値する! 

 『我が魔力の波動で息絶えるが良い!』


(あっ、このセリフ、戦闘に入るときに言うって書いてあったな……)


『魔王が現れた!』(BGM:バトル3~♪)


「おお、村の音楽が変わった!」


平和な村に響いていた音楽はいつの間にかおどろおどろしい音楽へと

変わってしまっている


モブ男は興奮し、魔王のことを見るが

口をあけて固まってしまった。


「どうじゃ! モブ男! 戦慄して声もでんか?」


「いえ、魔王ちゃん……ですよね?」


「ははは! 戦闘形態に驚いているようだな」


「ええ。だって……」


モブ男は魔王? を指さす。


「その姿。まさにスライム(サンプル1)ですよ……?」


魔王ちゃんは恐る恐る自分の身体を見る。

そこには可憐な猫耳JKの姿もなければ、カッコいい魔王の姿もなく、

雑魚スライムのようなブニブニがあるだけであった。


「馬鹿作者っ! 戦闘立ち絵くらい、ちゃんと設定しろっ!」


魔王スライムはブニブニをまき散らしながら飛んだり跳ねたりする。

正直可愛らしい。


「うわぁ……気持ちよさそう。触ってもいいですか?」


「あっ! やめろ馬鹿っ! あんっ……」


魔王ちゃんは身体を触られ悶える。


「はぁはぁ……ええい! レディの身体をなんだと思っておる!」


怒っているようだが生憎表情は分からない。


「そっか。僕、レディに触ってしまったのかぁ」


モブ男は顔を赤く染める。


「ふっざけんな。馬鹿者が!!」


魔王はさらに怒り、身体を赤くする。


「あっ、カラー変更したんですね」


「うっさいわ!」


スライム魔王ちゃんは距離を取り、何かを詠唱する。


「ふはははは! 随分馬鹿にしてくれたが、こんな姿でも

 詠唱はできるらしい――」


スライム魔王ちゃんの上には雑魚敵にそぐわない巨大な魔法陣が現れた。


「ふははは! しかもワシの魔力値は999! 消し炭にしてやるわい!」


魔法陣に炎のようなエフェクトが集まっていく


『闇の炎よ! すべての敵を魂ごと焼き尽くせ =ダークインフェルノブレイズ=』


(あっ……このセリフも設定集に書いてあった。【俺(神作者)】の考えた

 最高、最強の魔法って――)


モブ男は美しいエフェクトを見ながら、そう思った。


「しねええ!」


ぷすっ……


炎と魔法陣は間抜けな音を立てて消えてします。


『MPが足りません』


空中にポンとそんな文字がポップした。


「なぜじゃああああ! 謀ったなあああ!」


魔王ちゃんスライムは張り裂けるほどの声量で鳴き

地面に伏せた。


「貴様っ! 何かしただろう!」


触手を伸ばしてモブ男のほっぺたをペチペチする。


「いや、僕は何もしていないよ」


「だったらなぜ! 魔法は習得しているのだから唱えられるはず!」


「ほら、魔王ちゃん。自分のステータス見て見なよ」


「はあ?」


スライムは自分のステータスを確認している。

空中に浮かんだ画面を2本の触手を伸ばして操作しているのが

とても可愛い。


「えっと……魔力は999――MP:10!?」


魔王ちゃんスライムはうな垂れた。


「あはは。デフォルト値だね」


「笑うな! 馬鹿者っ!」


「あー! そんなところ触手でペチペチしないでぇ!」


モブ男は悶えるのだ。



戦闘を強制終了すると、魔王ちゃんは猫耳JKの姿に

戻った。


「やっぱ、そっちのほうが僕好みだな」

「うっさい! お前の好みなど聞いておらんわ!」


魔王は腕を組み、頬を膨らます。


「で、不服な結果だが、

 これでこの世界がおかしいと分かっただろう」


「うん。通りで人ひとりいないと思ったよ」


モブ男は納得し、晴れ晴れとした表情を取っている。


「モブ男! ワシはこの村に来た理由がある!」


「えっ? 何? 寂しくなった?」


「くっ……違う! そうだが、違う!」


この反応。魔王ちゃんも随分一人でいたのかもしれない。


「そもそも、どうやってこの村に来たのさ? 

 村を歩き回ったけど、なんかどこにも出られなくて」


モブ男は毎日散歩がてら、村の入り口をフラフラしていたが

村から出るはおろか、近くにある公園にも行けない始末であった。


「いい質問じゃ! こっちにこい!」


魔王ちゃんはモブ男の手を取り、村の端まで来る。


「うわぁ。僕の村ってこうなってたんだ……」


村の違う景色を見て、モブ男は感動しているようだ。


「でも、魔王城なんてないよね?」


「ある。ここじゃ!」


魔王ちゃんは地面を指す。

だがそこには何もない。


「魔王ちゃん、からかってるの? こんなところに何があるのさ」


「ふふふ、見えているものだけが真実だと思うなよ

 モブ男」


魔王ちゃんは地面を踏むと、すっと消えてしまう。


「えっ? 移動したの?」


モブ男も後を追ってその地面を踏むと、

画面がフェードアウトして、ウェイト1秒を挟んだ後に

画面がフェードインした。



「うわぁぁ……」


目を開けると、おどろおどろしい城の内部にいた。

しかもここは玉座の間だ。


「ふははは! モブ男! 我が城に良く辿り着いた!」


玉座に座った魔王ちゃんが足を組んでモブ男を見下ろしている。

ミニスカートなので、かなり際どいアングルではある。


「おお! これが魔王ちゃんの城。ガッテム=キャッスル」


「おいっ! その名前で呼ぶな!」


また怒られた。


モブ男はあたりをキョロキョロ見回すと、

設定どおり可愛いベッドの端にクマのぬいぐるみが

置いてあり、安心して微笑んだ


「モブ男! 我が城はどうだ? かっこいいだろ」


「うん。猫もいるし――」


モブ男はその辺にいた猫に触れようとする。


「あっ! バカっ! 触れるな!」


カッコいいBGMが城の恐ろしいBGMを

上書きする。



『フレアドラゴンが現れた!』(BGM:バトル2~♪)


「おいおい。魔王ちゃん。猫じゃなくて、どうみても

 ドラゴンなんだけど……」


モブ男は困った顔をする。


「仕方が無かろう。ワシも触るたびにバトルになって

 何回ベッド送りになったか……」


魔王ちゃんはため息を付いた。


「魔王ちゃんより強いの? この竜ちゃん」


「不服ながらそうじゃ……製作者は何を考えていたのか……」


フレアドラゴンは尻尾を振り、モブ男を弾き飛ばす。


「モブ男! 大丈夫か?」


モブ男はむくりと立ち上がる。


「ああ。びっくりした」


魔王はそれ以上に驚く。


「お前、なぜあの攻撃を受けて死なん?」


「えっ、だって……」


モブ男が破れかけたシャツを脱ぐ。


「モブ男! な、なんで裸になっているんじゃ!」


魔王ちゃんは両手で顔を覆う。

指の間からはしっかりモブ男の鋼のような肉体を見ている。


「僕は全ステータス13892ほどあるから。このぐらいへっちゃらさ」


「せ、製作者! いい加減にせい! カンストどころの騒ぎじゃないぞ!」


魔王ちゃんは顔を赤く染め、モブ男の背筋に見とれていた。


「さて、決めますか! ちぇい!」


モブ男の一撃でフレアドラゴンは派手なエフェクトを出しながら

光へと消えて行った。


「ふう……」


モブ男は戦闘を終え、息を吐いた。


「お、お前! 実力を隠していたのだな!」


「えっ? まあ、戦う相手いないしさぁ」


「そ、そうか……」


モブ男の強さを見たからか、魔王ちゃんは少し怖がっている様子であった。


「で、魔王ちゃん!」


「は、はい!」


「村に来た理由を聞きそびれていたよ」



モブ男と魔王ちゃんは小さなテーブルに対峙する。

そのテーブルの上には豚の丸焼きのようなレディが食べるには

些か重い食べ物が乗っている。


「モブ男。この世界をどう思う?」

「どうって……」


モブ男は自分の半生を思い出した。

村に来た人間に村の名前を教えるのが

自分の役割であり、それに対して何も疑問を覚えなかった。

だがーー


「正直……寂しかったよ。誰も来ないんだもの」


モブ男は下を向く。


木の洞から設定集を見つけた時、本当は分かっていた。

この世界は作り物で、あの村には誰もこないのだと――


「ワシもじゃ。ほれ、この城を見ろ」


城の中には何者か分からない骨が散らばっており、毒々しい霧が

立ち込めている。どう考えても可愛い設定がちりばめられた

魔王の居城ではなかった。


「ワシは、どうしてこの世界に生み出されたか分からん。だがーー」


魔王ちゃんの瞳に大粒の涙が溜まる。


「この世界が閉じられ、自分の役目が果たせないのがとても悲しいのじゃ!」


「魔王ちゃん……」


そうだ。こんなに可愛いのに、魔王ちゃんはこの世界のラスボスとして

生み出されたのだ。

そして討伐される運命だった。


だが、ここには誰も来ない。

勇者も居なければ、配下も居ない。


いるのは戦闘狂いの猫(竜)だけ――


そんな環境で、魔王ちゃんはどのくらい待っていたのだろうか。

それは僕も同じで――


彼女はハジメーノ村へ転移するイベントを見つけた時

どう感じたのだろう。


希望――

そう、繋がっているという希望――


尊大な態度で村に来た

魔王の姿をモブ男は思い出した。


「モブ男。この世界はいずれ閉じられるだろう」


「えっ? なんで?」


「製作者のパソコンはいつも容量がパンパンって、設定本の

 日記に書いておっただろう」


「たしかに」


魔王は話す。


「この世界は不完全だ。正直、いつ消されてもおかしくはないだろう」


「うん」


モブ男は恐怖というより、一種の諦めに似た感情が上がってくるのを感じた。

ステータスがチート級でもこの作品に限った話だ。

消されてしまえば、それも無に帰してしまう。


「だったら、消える前に、この世界のすべてを一緒に見て回らないか?」


魔王は手を出す。その手をNPC01は取るのであった。



「この城はすべて調べた。ならば、お前の村を調べるしかなかろう」

「そうだね。どこに転移のイベントがあるの?」

「箪笥を調べるのじゃ!」

「わかった!」


『モブ男は箪笥を調べた。中には女の子用のカラフルな下着が埋め尽くされていた』


「ま、魔王ちゃん……これ……」

「ば、馬鹿者! 右の箪笥じゃ!」


魔王ちゃんは箪笥を思いっきり閉めた。


モブ男が横に1マスずれて箪笥を調べると

転移が起こり、ハジメーノ村に戻ってきた。


「ここからはお前の方が詳しいだろう。何かないか?」


「うーん、僕も門でランダム移動しているだけだったから……あの家に行ってみようか」


モブ男は適当な民家を指す。

だが、

「開かない」

「開かないね」


ドアがあるだけでドアは鉄の扉の様にびくともしない。


「あっ! こっちなら入れる!」

「おおっ! って教会じゃないかいっ!」


魔王ちゃんはうぇっと舌を出した。

どうやら神聖は苦手らしい。


「魔王ちゃん。きっと大丈夫だよ! 入ってきてみて!」


中から楽しそうなモブ男の声が聞こえてきた。

「ええい、ままよ! はぁ!」


飛び込むと、あたりが暗くなり、そして明るくなった。


「はぁ?」


教会に入ったと思ったら、目の前にあるのはバーカウンターだ。

どうみても酒場である。


「はは。作者さん、移動場所間違っているみたいだね」


モブ男はカウンターに座る。


「なるほど。一安心した……」


魔王ちゃんもその隣に座る。


「グラスもあるし、何か飲む?」

「お酒は飲めん……」

「知ってた。設定集に実は下戸って」

「お前、どれだけ暗記しているんだ!」


怒りながらも魔王ちゃんはグラスに炭酸水を注ぐ。


「雰囲気だけだが、これでいいだろ」

「おお! 魔王ちゃん、気が利く!」


二人はグラスを持ち、


「ゴッドファンタジーに」


そう言い、お互いのグラスを当てた。

キャンという綺麗な音が、酒場のムーディなBGMに良く似合った。





それからというものマップの端から端を探し、

二人は隠しイベントを探し、色々な中途半端な世界を旅した。


何もない砂漠、意味深な湖、まっさらな大地――

どこもかしこも中途半端で、二人で笑い転げた――


そして、その時は来た。


「モブ男。ここで最後だ」

「ああ。二人で一緒に調べようか」


マップの端を二人で踏んで、押して、調べた。


「はぁ……終わったな」

「うん……終わったね」


散りばめられた作者の気まぐれはここで終わりであった。

この世界にはもう調べられるところはどこにもない。


「モブ男。その……ありがとう」

「えっ?」


急なデレに困惑するモブ男だ。


「ワシ一人ではこの世界を調べつくせなかっただろう。

 もし同じことをしてもここまで楽しくはなかった……」


「魔王ちゃん……僕も楽しかった」


モブ男は笑う。


「ここはハジメーノ村です。あのセリフ以外を言うのがこんなに楽しいってことを

 僕は知らなかった」


そして少し泣きながら


「魔王ちゃんに会えて、この世界に生まれて、本当によかった……」


二人はお互いに歩み寄り抱き合う。


「ふふ……だが一つだけ惜しいことがある」

「えっ?」

「勇者がいないことじゃ」

「あー」


魔王ちゃんはモブ男から離れ照れくさそうに言う。


「そ、そのワシも仮に魔王だから勇者ってやつの顔ぐらい消える前に見たいと思ってな!

 べ、別に勇者がお前ほど強いとは考えていないが、一応な」


魔王ちゃんは顔を赤く染め、そんなことを言う。


「魔王ちゃん」


「なんだ?」


「勇者なら、居たよ?」


「はっ?」





二人は道をたどりハジメーノ村へたどり着く。

「ほら、あそこに」

モブ男は民家を指すが、その空間に誰も居るようには思えない。


「もう少し近づこうか」


モブ男と民家の壁に近づくと、異様な人物が居た

半分は壁、半分は尻 たまに足が見え、その場で歩行をしているような

動きをしている。

つまり壁の中にいるのだ。


「この人が勇者」


「は――ははははっ!」


魔王ちゃんは笑い転げる。


「今まで見た中で一番面白いわいっ!」


魔王ちゃんは笑う。

その声は穏やかな村のBGMをかき消すように

大きく、強かった。



「モブ男、分かるか――」

「うん――」


ぱっと空が暗くなった。どうやら終わりの時間らしい。


「モブ男。お前に逢えて本当に良かった」

「うん」

「最後にこんな情けない勇者も見れたしな! あっぱれじゃ!」

「うん……」

「何を最後に泣いているのじゃ! 元気を出せえ!」


魔王ちゃんは攻撃力10の拳でモブ男の背中をどついた。

モブ男は痛みが無いのに涙が止まらなかった。


「魔王ちゃん、もし……また逢えるなら」

「ああ。今度はお前が勇者にでもなって、ワシの所に来い! 返り討ちにしてやるわい!」

「うん」


二人は手を取り合う。


「おい! 製作者! たまにはワシらのことを思い出すがいい!」

「今度はちゃんと最後まで作ってよ~!」


暗い空が弾け、世界は光に包まれる。


「綺麗……」


そして、一つの世界が消えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「ふう、バックアップ終了だ……PCを買い替えるとこれが面倒だ」


カチカチとバックアップを確認する男


「うお! ゴッドファンタジー……くぅ……黒歴史ぃ」


男はファイルをゴミ箱に移動、だがその指は止まってしまった。


「いや、もう一回作ってみるかな」


男はエディターを立ち上げ、キャラデータを確認し始める――





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔王城

それは最後の戦いの場所


魔王

『ふはははは。よくぞここまでたどり着いた勇者どもよ! 

 魔王ルガルディス=フェリシアがお前らを血祭にあげてやるっ!』


勇者モブ男

『魔王め! 今日こそやっつけてやるっ!』



勇者と魔王は対峙し、お互いに目配せをした。


魔王

『では勝負といこう!』




『魔王が現れた! これがさいごのたたかいだ!』(BGM:バトル3~♪)


ーーーーーーーーーーーーーーー完ーーーーーーーーーーーーーーーーー





作者自身RPGツクールで100以上のプロジェクトを作っては

放置してきました。どのゲームも未完成ですが、熱意の塊でした。


そんな忘れ去られたプロジェクトを時々で良いので思い出してみてください。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ