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日ノ本元号男子  作者: 安達夷三郎
第七章、未来を繋ぐもの
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五十一話

「よーし、受験お疲れ様会するぞー!!かんぱーい!」

今日は私の家に集まって『受験お疲れ様会』をしている。

テーブルには宅配ピザやサラダが鎮座しており、貴族になった気分だった。それぞれジュースが入ったコップを掲げる。

「「「「「「かんぱーい!」」」」」」

カチンとコップがぶつかる音が鳴って、それぞれ取り皿に食べ物を移した。

「やっと終わった」

「悪夢からの解放だわー」

「それな」

ピザを切り分けて一口食べる。

「ん!美味しい!!」

「宅配ピザってこんな味だったっけ?」

「サラミが染み渡る〜!」

「受験終わった瞬間、脳みそが一気に溶けた気がする」

「わかる。昨日まで単語帳とにらめっこしてたのに、今日はピザ見つめてる」

「進化なのか退化なのか」

そんなことを言い合いながら、次々とピースが消えていく。紙皿の上に残った油の跡すら、今日は勲章(くんしょう)みたいに見えた。

「ところでさ、自己採点どうだった?」

「聞くな」

健太の言葉をサラミのピザを食べていた朱里が、わざと大きな音を立ててコーラを注ぐ。

しゅわっと泡が立ち上がって、張り詰めていた空気も一緒に弾けた。

「合格発表までは、現実逃避期間ってことで」

「今日はやけに和希がニヤニヤしてるな……雨でも降るのか?」

「戦プリの春イベもあるからな!春イベでは信玄ちゃんの桜衣装が実装されるんだ!!」

和希が意気込みながらスマホを見せてくる。そこには『全キャラ桜衣装実装』の文字。

「良かったねー」

「そのテンション、受験前にも出せなかったのかよ」

「無理無理。あの時期は呼吸するだけで精一杯」

「みんな死んだような顔してたもんな」

「ウケる」

「いやー、受験終わって肩の荷が降りたわ〜……」

笑いながら、私はサラダを取り分ける。シャキッとしたレタスが美味しい。

「あとは結果を待つだけだな」

トマトを口に運びながら、委員長がしみじみ言う。

「高校入っても遊ぼーぜ」

「当たり前だ!」

「家近所だし、とつって来て良いよ」

「じゃあ、春休み委員長の家とつろー」

「それは追い返すわ」

「お前がいない間、天下取るつもりだったのに……」

「天下取ったのはウチの推し・信長ちゃんぞ」

「いや、今度は信玄ちゃんが天下取る」

「今度はってなんだよ……」

委員長が呆れながらため息をつく。

「もう高校生か〜、お前ら文化祭呼べよ」

「ウチと美空は同じ高校ー」

「いえーい!」

朱里と肩を組んで健太に見せ付けるようにピースすると、蒼真が高校生になったらどうなるかを予想しだした。

「朱里はギャルになりそう」

「なりそうなりそう」

「無理。ウチ、人見知り」

「じゃあ美空は?」

突然話題を振られて、思わずエビマヨのピザを持ったまま固まった。

「私?」

「図書委員してそう」

「あー、分かる」

「委員長は?」

朱里が聞くと、全員が一斉にそちらを見る。

「……生徒会」

「だろうな」

「副会長とかやってそう」

「いや会長だろ」

「やらん」

即答だった。

「絶対やる顔してる」

「責任感の塊」

「逃げ場ないぞー」

委員長は一瞬言い返そうとして、諦めたように髪を掻く

いた。

「健太は?」

「運動部」

「バスケかバレー」

「マネージャー泣かせ」

「おい最後」

健太が笑いながら抗議する。

しばらく他愛もない話が続いて、気づけばピザはほぼ消え、テーブルの上には空き皿と二リットルあったはずのジュースの空ボトル、氷の溶けたコップだけが残っていた。

そろそろ時間も時間なので、お開きとなった。

「じゃあまた明日」

「おー」

「今日はありがとうな」

ドアが閉まると、家の中は急に静かになる。

さっきまで人でいっぱいだった空間が、少しだけ広く感じる。

窓の外を見ると、街灯の下でみんながそれぞれ違う方向へ歩いていくのが見えた。

「楽しかったな〜……」

合格発表のことを考えると、不安がゼロになったわけじゃないし、むしろこれからの方が落ち着かないのかもしれない。

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