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日ノ本元号男子  作者: 安達夷三郎
第七章、未来を繋ぐもの
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四十八話

「おーい!令和ー!」

こたつでぬくぬくしていた時、平成くんが雪を両手いっぱいに抱えて入ってきた。

「......え?」

ここ、室内だよね?何で雪が......え?

平成くんは悪びれもせず、両手の雪を机の上にどさっと置いた。

白い塊は暖房でみるみるうちに崩れていく。

「ねぇ雪合戦したい!」

「気を付けてね」

「え、令和も」

「やらない」

そう拒否ると、平成くんが「えぇぇぇぇ」と声を上げながらみかんを私の頬にぐりぐりと押し付けてくる。

「何でやらないの!?こんなに雪が積もってるのに!!」

平成くんがシャッとカーテンを開けると、窓の外には辺り一面雪景色。なんて可愛らしいものじゃなく、ビュオォと聞くだけて寒くなりそうな突風が窓をカタカタと音を鳴らしている。

(絶対やだ!)

心の中で即答する。

あの風の音、明らかに『楽しい雪合戦』の域を超えている。

せめて、風が止んだら......。

「ほら見て!めっちゃ積もってる!」

平成くんはテンション高く窓に張り付いているが、ガラス越しに見えるのは、横殴りの雪と揺れる木々だけ。

「日本有数の豪雪地帯の滋賀県!そしてそんな滋賀県出身の令和は雪は友達、雪は家族!ってことでその雪合戦の様子をSNSにアップしたいな〜なんて」

「なるほど......?」

「あ、もしかしてオレと一体一(タイマン)で戦うの怖いんだ〜」

「......」

押し問答をしばらく繰り返していると、雪と風が止んだ。

庭に出ると鼻がじんじん冷たくなる。

「さぶ......」

「よーし!雪合戦するぞー!」

(まんまと乗せられてしまった......)

平成くんは雪に飛び込み、感動していたが、正常に戻ったのか急に「雪合戦の勝ち負けって......何?」と私に聞いてきた。

「え、知らない」

「小生も知らないであります」

私と近くにいた安土桃山くんが即答すると、平成くんは一瞬きょとんとしてから、勢いよく安土桃山くんを見る。

安土桃山くんは厚着の着物に防寒防水の手袋をはめ、片手に先が平らになった雪掻き用のシャベルを持って正面玄関周りの雪を片付けていた。

「安土桃山も雪合戦する?」

「......雪国出身にそういう勝負を挑むでありますか?」

「元からそのつもり!」

(そういえば安土城って近江八幡(おうみはちまん)市だったよね......あそこも雪降るんだ)

私がそんなことを考えている間に、平成くんとシャベルを置いた安土桃山くんはもう次の段階に入っていた。

「そこまで言うなら乗ってあげるでありますよ!令和ちゃんと二人がかりで小生を止めてみるであります!」

「さすが安土桃山!」

「え......安土桃山くん?」

(あれ、巻き込まれた......?)

「この勝負はどちらかが白旗をあげるまでであります!」

「よし来たぁ!」

「先手必勝であります!」

雪玉を素早く作った安土桃山くんが目にも止まらない速さで平成くん目掛けてぶん投げる。

その雪玉は見事、平成くんの顔面にクリーンヒット。

「速っ!」

「次は令和ちゃんでありますよ!お覚悟!」

安土桃山くんは雪玉を掲げながら私ににっこり笑った。

あれ、これマズい状態?

「え、ちょ、待っ――!」

言い終わる前に、ひゅっと風を切る音。

「わっ!?」

反射的にしゃがむと、私のいた位置を通り過ぎて雪玉が背後の木に当たり、ぱふっと弾けた。

結果、安土桃山くんの圧勝。

「こうなったら助っ人を......!」

「お、令和も乗ってきた?」

「助っ人呼んでくる!」

助っ人として呼んできたのは、勝手口にいた七輪でお餅を焼いていた室町くん、南北ツインズ、戦国さん、江戸くん、大正くんの六人。


「てことで呼んできたよ!」

「おぉ〜!」

ゾロゾロと庭に出てきたのは、全員だった。

なんでも、私が誘った後に「人手不足なら他にも人を呼んだ方が良い」ということで、全員別の人をそれぞれ呼んだんだって。

「これはまずいでありますね......。超雪国帰り(北海道留学者)がいるであります」

安土桃山くんは明治さんを見ながら呟いた。

開拓者として北海道に定住していた時期を持つ明治さん。

庭はいつの間にか、古代・中世・近代〜現代の三陣営に分かれていた。

「後でかまくら作ろうよ」

「よかよー、手伝いなら任せとき!」

「雪合戦はどうするん?」

「雪壁を作るのですよー!」

「じゃあ俺達は雪壁に使う雪を掻き集めようか」

「私も手伝いますよぉ」

―――せっせと守りに使う雪壁を作る古代グループ。

「まず戦国と安土桃山が陣地から出て正面から戦う。その間に南と北は玉の補充、俺と室町は全体を見て正面突破組の援護だ」

「南朝、今のうちに雪玉を作っとこう」

「そうだね!」

「これって勝ったチームには商品貰えたりするの?」

「ですわですわ、やりますわ〜!」

「さすが鎌倉公であります!」

―――どう戦うかを話し込んでいる中世グループ。

「……何で雪合戦で、陣地とか援護とか出てくる訳?」

「皆さん必死なんですね」

「俺達も頑張ろう!」

「つうことでみんな、武器を持て!」

「おー!」

「私、沢山雪玉作っとくね!」

―――通販で買った雪玉ランチャーを引っ張り出した『近代~現代グループ』

こうして準備が整ったところで、グループ対抗雪合戦が始まった。

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