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日ノ本元号男子  作者: 安達夷三郎
第六章、過去と未来
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三十六話

明治さんの車に乗って草津のイオンに向かう。あそこは大きいから好きなんだよね〜......。

平成くんが後部座席で早速スマホを構えた。

「はいチーズ!出発前の自撮り〜!」

「おめぇ、シートベルト締めろって!」

助手席に座る昭和くんが手を伸ばして、平成くんの肩をガシッと掴む。

「あ、忘れてた!自分が改正したのに破った駄目だよね......」

平成くんはカチャンと音を立ててベルトを締める。

運転席の明治さんは苦笑しつつハンドルを握る。 「お二人とも、運転中に騒がないでくださいね。事故でも起きたら大変です」

「だよな。おい平成、騒ぐのは良いがよ、運転してる人の邪魔すんじゃねぇ」

「えー、でもドライブって盛り上がるのが醍醐味(だいごみ)でしょ?」

その直後、平成くんがスマホをこちらに向ける。

「ほら美空も、カメラにピース!」

「えっ、私も!?」

「当たり前!記録に残さなきゃ!ほら、明治さんも」

「運転中にピースは無理です!」

昭和くんは地図本を膝に置いて、肩掛け鞄から何かを取り出して私達に渡してきた。

「平成、御寮人、これやるから騒ぐなよ」

懐かしの桃の缶ジュース。

「ありがと〜!」

「ありがとう、昭和くん」

貰った缶ジュースを飲んでいると、平成くんが突然声を張り上げた。

「ねぇねぇ!じゃあさ、クイズ出すから答えてよ!」

「クイズぅ?」

昭和くんが眉をひそめる。

「じゃあ第一問、平成(オレ)の時代にヒットしたゲーム機はなんでしょ〜か!」

「ゲーム機なんざ知らねぇよ!」昭和くんは即答で一蹴。

「え、昭和くんマジで?プレステだよプレステ!」

「ぷ、ぷれ......?何だそれ。食いもんか?」

「違うって!美空は知ってるよね!?」

「う、うん......さすがに知ってるよ」

運転席の明治さんも思わず吹き出す。

「出題内容が平成くんらしいですね。僕は前に平成くんが遊んでいたファミコンくらいしか分かりませんね......」

「おー明治さん分かるじゃん!その流れでプレステなんだよ!」

平成くんが熱弁を振るう。

「俺ん時はメンコとベーゴマで充分楽しめたんだよ」

充分を強調させて昭和くんが腕を組んで胸を張る。

「古っ!動画映えしないよそれ!」


しばらく車に乗っていると草津の大きなイオンが目の前に広がった。

「おーでっかい!」

平成くんはさっそくスマホを構えて、看板を背景に自撮り。

「はい到着記念〜!」

「また撮ってんのかよ」

昭和くんが呆れながら頭をはたく。

「だってこういうのは残さなきゃ!」

店内に入ると、色とりどりの商品に明治さんが目を見張った。

「まるで百貨店ですね......」

「これが現代の百貨店ってやつだよ!」

平成くんが胸を張る。

「いや、百貨店とはまた違うだろ」

昭和くんがツッコんでいると駄菓子コーナーを見つけて、駆け寄る。

「駄菓子屋とはなぁ、懐かしいなぁ」

一方で明治さんは書店の一角に立ち止まり、文庫本を手に取っている。

「......活版(かっぱん)印刷の香りがまだ残っていますね。紙質も、装丁も見事です」

平成くんはというと、ゲームコーナーの前で目を輝かせていた。

「最新機種の体験コーナーだ!これやって良い!?」

「おめぇは遊ぶことしか考えてねぇな」

昭和くんが呆れる。しかし、その手には大量の駄菓子。

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