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向日葵をあなたに  作者: 宇多良 和笹
ポビーを魔女に

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6ページ目 世界の一欠片を拾う少女

普通の人みたいな朝を迎える。ここには時計などもないから時間の感覚がない。まあ、体感7時といったところだろうか。歯を磨いて、顔を洗い、スーツに着替える。相変わらず、いつも持つ銃の代わりに自分の“禁書”を持って部屋を出る。

世界の禁書は忙しそうにページをめくり、禁書を生み出している。新たな生命が誕生しているのだろう。その中で私は一体いくつの禁書に終演をもたらしたのだろうか。改めて自分のしたことの重大さに気がつく。また、あの黒くてドロドロとしたなにかが少しずつ増えていく。


「・・・朝ごはん食べに行こ」


心のなかに残る黒い何かを抱えながら朝ごはんを食べに行った。

朝ごはんは和食派の私はおにぎりに味噌汁、ふわふわの甘い卵焼きを食べていた。神埼も起きてきたのか朝ごはんを食べに食堂に来た。


「おはようございます。昨日は良く休めましたか?」

「お陰様で。このあと時間ある?」

「昨日のことですよね。せっかくですから紅茶でも飲みながらゆっくり話しましょうか」


ご飯を食べ終わるとティーセットを用意して食堂の中にあるカフェに案内された。雰囲気がガラリと変わりとてもおしゃれでまるで森の中にあるかのような雰囲気だ。ファム・シャル・ロッテとあったあの森に近い。紅茶を一口飲み、神埼に向き合う。


「それで、何が知りたいですか?」

「色々聞きたいことはあるけど、一番知りたいのはなぜわたしは生きているのかが知りたい」


寝ても消えないあの大木に潰され、体が燃える感覚。夢と片付けるにはあまりにもリアリティがある。私はあの感覚を思い出し少し手が震える。


「私達の体は禁書とつながっています。いくらこの体が傷つこうとも禁書さえ無事であれば何度だって生き返ります。」

「つまりセーブデータみたいなものってこと?」

「そうですね。イメージはそれに近いですよ」


神埼の仕草には一切嘘や迷いなどはない。どうやら冗談とかそういうたぐいのものではないらしい。

―――死んでも生き返るならそこまで怖くない。

一番に気になっていた問題が解決した。私は安堵し、そっと息を吐いた。


「原理は私にもよくわかっていません。1+1が2であるようにそうであるとしか言えません」

「・・・まあ、実際それで私は生き返ってるわけだし。わかったよ」

「言い忘れてました。あくまでも生き返るのは禁書で観測を行ってるときだけで、架空図書館リバリルで死ぬんと生き返ることはできません。」

「そうなんだ」

「ええ、だからここは一番安全でなければなりません」


最後にとんでもないことを言っていたが、まあここで戦闘が起こることなんて早々ないだろう。

紅茶を飲みながら話し合いは進む。


「次なんだけど、観測って具体的に何をすればいいの?」

「観測はまず持ち主との対話から始まります」

「対話?」


確かにファム・シャル・ロッテとも最初森の中でお茶会をした。心を覗かれるまではまともな会話を躱していた。あの時の紅茶とても美味しかったなと思いながら神埼の話を聞く。


「その対話で特定の言葉を引き出します。持ち主に関わる言葉でなにかきになることありませんでしたか」

「特定の言葉…魔女とか魔法?」

「そうですね。あとはその持ち主が一番大切にしていることです。執着している場合もありますね」

「そういえば私の過去を覗いたときに敵対してきたな。もしかすると正義感…」


言いかけたときにファム・シャル・ロッテの一言を思い出す

―――あなたに裁きを下しますの

―――裁きは絶対ですの

あの時、声色は異常だったな。私がしてきた行為が許せないというより―――


「…裁きを下すことに執着しているのかもしれない」

「では、次の観測ではそこを追求してみてください」

「・・・待って。彼女も生きてるの?」


予想外の言葉にティーカップを落としそうになる。神埼はさも当然かのように続ける。


「観測とは禁書を通して様々な世界線を見ている状態です。あなたが体験したのは“操琴音とファム・シャル・ロッテが敵対して共倒れになった世界線”。

あなたの行動次第でファム・シャル・ロッテの運命は大きく変わるのです」

「私の行動が彼女の運命を大きく変える…か」


神埼の言った言葉が少し心に重くのしかかる。前の私みたいにファム・シャル・ロッテを殺さずにとも手を取るような関係になれるだろうか。あの記憶のような関係になれるのだろうか。手を強く握りしめる。

もし、殺さないという選択肢があるのであれば私は―――今度こそ彼女の手を取りたい。


―――ティーパーティーと質問はまだまだ続く

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