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向日葵をあなたに  作者: 宇多良 和笹
ポビーを魔女に

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4ページ目 踊り狂う少女

銃声が鳴り響く。敵は驚き私を見つめる。私の手にはデザートイーグルがあった。いつも使う私の道具。生きる資格を得るために必要な道具だった。


「なぜ...生きているのです?」

「あ...ははは。あはははははははは」

「狂ってしまわれたのですわね。いいですわ、あなたに裁きを下しますの」


炎のレイピアが現れ私めがけて飛んでくる。私は森の木々を使い避ける。容赦なく降り注ぐ。躱しながら引き金を引く。何発もの銃弾が敵の横を通り過ぎていく。硝煙の匂いと血の匂いがここを満たす。レイピアが頬をかすめる。炎が私を焦がす。

相手はレイピアを放つ。躱したレイピアは森に飛んでいき木々を炎で包み込もうとする。

命中すれば死ぬ。あれだけ怖かった死が目の前にあるのに不思議と怖くない。むしろ、この状況に興奮している自分がいる。体験したことのない感情につい、笑いが漏れ出てしまう。

私は一呼吸置いて銃をしっかりと敵に捉える。敵へ放たれた銃弾。しかし既のところで銃弾は停止。パラパラと地面に落ちる。敵は私を死へ一歩ずつ追い込む。けれどこの興奮は冷めるどころがどんどん大きくなり体を焦がす。


「いくら撃っても無駄。あなたの攻撃は私には届きませんの。裁きは絶対ですの」

「・・・」


拳銃程度の弾丸では止められてしまう。思い出せ、私が使っていた武器を。それも反射では止めれないもの―――あるじゃないか。周りを観察するととあるものに目が止まる。バラバラに散ったピースがカチッとハマるように一つの作戦が頭に思い浮かぶ。いや、作戦というよりギャンブルに近い。しかし、試してみたくてしょうがない。心臓の鼓動がうるさい。楽しくてしょうがない。

私は心の赴くままに、普通なら思いつかない―――狂った賭けに出た。

無数の銃弾とレイピアが飛び交う。

炎が森全体を包み込む。

逃げ場がどんどんなくなっていく。

煙で息が詰まる。

じっとスコープで目標を定める。

敵が来るのをじっと待つ。


「降参ですの?でしたらわたくしの目の前に来てくださる?」

「・・・」


死の手が首元まで迫る。そのはずなのに口元が緩んでしまう。死ぬのが恐ろしい。でもこの緊張感が私をハイにする。一歩、また一歩。敵が近づく。緊張と互いの殺意がこの戦場を支配する。しかし、そんな戦場ももうすぐ終わる。


「チェックメイトですわ」


敵はそれを宣言する。

私はただそれを構える。

レイピアがデザートイーグルを構えるものに突き刺さる―――しかしそこに私はいない。


「なっ!一体どこへ!?」


一発の銃弾が放たれる。


「あははははっ。わたしもチェックメイトだよ」


敵の片足が吹き飛ぶ。

バランスが取れなくなり地面に倒れ込む。

直後、私の脇腹にレイピアが突き刺さる。

双方の顔が痛みでゆがむ。

お腹から血がどくどくと流れる。

私の命はもう長くない。

見届けなければ―――敵が死ぬ瞬間を。


「わたくしが勝ちましたわ」

「あは、ははは、あ、はは。」


ファム・シャル・ロッテは冷たく宣言する。もう、全てが終わったかのように私に言い放つ。

足からはもう出血していない。なるほど、致命傷以外は治ってしまうのか。対する私のお腹からは血が大量に流れた。血溜まりができつつある。あたりは大火事なはずなのにとても寒い。

杖によりかかりながらファム・シャル・ロッテが語りかけてくる。


「最後に言い残すことはありませんの?」

「思…考…読め」


息を切らしながら敵に伝える。

敵の手が頭に触れる。私はその手をしっかり掴む―――より絶望を与えられるように。


「何を伝えたいんですの」


私が使ったのは何だと思う?


「・・・?」


普通の拳銃ではお前に命中すらしない。おそらくマシンガンやアサルトライフルもだめだろう。

かといって近づけば魔法でお前になすすべなく殺される。

だから遠距離で高火力のライフルが好ましい。


「さっきから何の話をされてますの?」


おかしいと思わない?ただのスナイパーライフルで片足が吹き飛ぶか?


「時間稼ぎなら無駄ですわよ。その出血では長くありませんの」


対戦車ライフルって知ってるか?あのガチガチに硬い戦車すら破壊する高火力のライフル。

大きな音を立てて何かがやってくる。

私は最初からお前を狙ってない―――道連れにするためだよ。


「なっ、何を・・・!?」


大きな影が私達を包む。影のもとには大木があり、降りてくる。

ずっと拳銃やレイピアで脆くなった大木は最後の一発で完全に大破。残りが私達を押しつぶそうとゆっくり倒れる。

敵は逃げようともがくが反応が遅れる。片足が使い物にならない。おまけに私に手を掴まれてる。完全に逃げ遅れてしまう。異常者を見る目で私を見つめる。


―――魔女さん、一緒に踊りましょ。地獄でな。

なすすべもなく敵は私とともに木に押しつぶされる。

恐怖も、痛みも、正義も、全てを飲み込み赤く染める。


―――それが私が見た“物語最初のエンディング”だった。

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