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向日葵をあなたに  作者: 宇多良 和笹
アイビーを土蜘蛛に

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25ページ目 処刑される少女

第二章―――愚民どもの祝福


次の刑が執行される

眼の前には絞首台。

周りには顔のない民衆が拍手している。まるで一つの巨悪が裁かれるのを祝福するかのように不気味な笑い声だけが反響する。ただただ気持ち悪い


ふと縄をみる。縄の先から誰かが手を振ってる。誰だっけ?とても大切な人だったのだけは覚えている。

行かなきゃ。あの子達のもとに、あれ?でも誰か覚えてないのに?なんで、なんでだっけ?


自然と、縄に首をかける。

意外と、軽いな。


そのまま、私は宙ぶらりん。


―――ほら、おしまい?


「あ、あがっ」

「罪の重さを自覚なさい」


シャルは笑いながら宣告する。

呼吸ができない。「死」の文字が私の首に手をかける。急いで縄をどうにかしなきゃいけないのにうまく想像できない。視界がモノクロになり、やがて徐々に暗転する。民衆の声は遠くなっていく。


あぁ、私は死ぬのか―――そう思ったときガベルの音が響く。


「ゲホッゲホッ」


咳き込みながら必死に酸素を肺に取り込む。またあの裁判所だ。どうやらまだ生きていていいらしい。

シャルが見下ろす。その目は冷たく、優しさの欠片もなかった。ただ眼の前の哀れな生物を嘲笑うかのようだった。


「なんで気分転換で私殺されかけなきゃいけないんだよ」

「安心してくださいまし。殺しはしませんわ」


呼吸を整えながら思考を巡らす。シャルの魔法にしては威力が高すぎる。観測の時に使ってないってことは禁書の能力か?裁判所に様々な処刑方法。最初は水攻め、次に絞首刑。彼女の禁書の能力という前提で考えるなら中世の魔女裁判だろう。発動前にしっかり宣言してたし。


「殺されないとはいえ痛いもんは痛いんですけど?」

「あらあら、困りますわ。あなたには自分の罪を償ってくださらないと」


軽い口を叩くがはっきり言って余裕がない。嫌な汗が背中を伝う。死なないとはいえ恐怖で逃げ出したくなる。嫌な想像が思考を鈍らせる。


「次、いきますわよ」

「ちょ、ちょっと待…」


第三章―――裁きの雷鎚


無情にもがベルの音が鳴り響く。視界は真っ暗で何も見えない。手足は縛られているせいか動かせない。椅子に座っているかのような体勢。頭になにか被せられる処刑方法・・・!?

拘束をほどこうと必死にもがく。しかしびくともしない。もし私の予想が正しければこの処刑は…電気椅子だ。


「では、始めてくださいまし」


その声とともにそれは作動する。

全身に強い電流が流れる。体の内部に鋭い痛みが突き抜ける。


熱い、痛い、いたい。


筋肉は硬直して声などでないはずなのにあまりの激痛に声にもならない声を出す。


数秒、数分、いや数時間。痛みのせいでどれくらい経ったのかわからない。全身が痺れて力が入らない。意識を保つので精一杯だ。

何度目かのガベルの音が鳴り響く。相手の前で膝をついてしまう。


「あらあら、練習とはいえいいんですの?今のあなたであればわたくしでもとどめを刺せてしまいますわ」

「・・・」

「まあ、これで最後ですわ」


―――エピローグ 哀れな魔女の終演


そこは村の広場だった。

様々な民衆の感情が私に向けられていた。

手足は縛られ、身動きができない。

下には松明を持った村人がこちらをニヤニヤと笑い、火を付ける。

魔女裁判で最も有名な処刑方法・・・火あぶり、それが今行われる。

炎の温かさが私を包み込もうとする。

突然頭の中に複数の感情が流れてくる。


助けて

なんで私なの

私は悪い魔女じゃない


あの魔女を殺せ

あんなやつ死んで当然

これで清々する


悲痛な魔女の叫びと醜い民衆の憎悪。

その両方が頭の中でこだまする。


助けて―――うるさい

なんで私なの―――うるさい

私は悪い魔女じゃない―――うるさい


あの魔女を殺せ―――うるさい

あんなやつ死んで当然―――うるさい

これで清々する―――ウルサイ


モウ疲レタ。

全部、壊レテシマエバイイノニ

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