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向日葵をあなたに  作者: 宇多良 和笹
アイビーを土蜘蛛に

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25/28

24ページ目 新たな力を手に入れる少女

「琴音。少しいいですの?」


ティーパーティーという名の考察タイムは終わり部屋に戻ろうとしていたところだった。


「どうしたのシャル?」

「少し、お話がありますの」


幼女の姿とはいえさすがはここの館長と言ったところだろうか。威厳というか気迫というか圧がある。


「観測中に不思議な音が響きましたでしょう」

「あぁ、虎兄さんの名前の時とか?」

「そうですわ。あれは改変によるものですわ。一度改変された禁書は根幹に関わる情報ほど規制されてしまいますの」

「知るためにはどうすれば?」

「改変を起こした張本人を何とかするしかありませんの」

「待って、改変って人為的なものなの?」

「ええ、そうですわ」


さっきの事といい神埼を完全に信用するのは危ないのかもしれない。少し神埼に不信感を抱きつつシャルの話に戻る。


「そもそも改変とは禁書の持ち主の感情や欲望の増幅によって禁書が崩壊することを指しますわ。琴音の記憶喪失も崩壊の副産物ってことですの」

「私の記憶も誰かによって失ったってこと?」

「そうですわ。しかし残念ながらわたくしたちは改変については知っていますがその方法まではわかりかねませんの。ですので改変した張本人の生け捕り、最悪の場合息の根を止める必要がありますの」

「コアを破壊するのじゃだめなの?」

「それはあくまでも改変を悪化させないための手段ですの。根本的な解決にはなりませんわ」


改変を止めるには諸悪の根源を叩かなきゃ行けなくて、でもできることなら殺し合いは避けたい。

思い沈黙の末―――私は決断をする。


「コアの破壊に専念する」

「いいんですの?琴音の記憶は戻らないかもしれませんのよ」

「それでも、私は平和的な解決を目指したい」

「・・・わかりましたわ」


シャルが答える。そこに威圧感はなくいつもの優しいシャルがいた。冷めた紅茶を飲み一息つく。きっと私の判断は甘いのだろう。本来の司書であればいや、本来の私であれば下すことのない甘すぎる決断。それでも()()()は平和を望みたい。


「まあ、今のままでは犯人の目星すらついていませんの。それでいいと思いますわ」

「ありがとう」

「さて、少し重い話になりましたわ。気分転換に体でも動かしますわよ!」


魔法で一気に紅茶を片付け、スキップしながら訓練場に向かう。

着いてそうそう、シャルは大人の姿になる。禁書を開き杖を取り出す。

なんだかとても嫌な予感がする。これってもしかしなくても…


「さて、あなたの決断を試させてもらいますの!」

「ですよね~」


上からギロチンが降ってくる。観測の時ほど速くはないが当たれば致命傷になりかねない。ためらって負けるぐらいならと思い、私も反撃する。

私は避けながら銃を禁書で出す。リボルバーにゴム弾。狙うは禁書を持つ左手。シャルもそれを警戒してギロチンから炎のレイピアに切り替える。これも速さと威力は観測の時より怖くない。ギロチンでやり過ごしながら時々反撃をする。

銃弾とレイピアが交差する。何発か届いてもやはり直前で銃弾が止められる。互いが攻めるに責めれない状態が続く。


「このままでは埒があきませんわ。ここでとっておきを出させてもらいますの」


そう言って杖をしまう。両手を広げると禁書が浮きひとりでにページがめくれていく。なにか発動する!?私は急いで止めようとするがあと一足遅かった。


「プロローグ―――魔女裁判開廷」


そう唱えると禁書から無数の文字が出現する。それは訓練場を包み込み、すべてを書き換えていく。

次に目を開けたときそこは裁判所だった。


「あら、これを受けたのは初めてでして?」


法壇からシャルが見下ろしてくる。銃で狙えないことはないが、眼の前で止められ弾を無駄にするだけだろう。シャルに勝つには不意打ちが必須。隙を伺うしかない。


「あいにく、こっちは記憶喪失なもんでね」

「そうでしたわね。まあ、大人しく負けてくださいまし!」


第一章―――魔女の印


シャルはガベルを取り出し一振りする。いきなり水の中に場面が変わる。足には大きな石のおもりがロープで繋がれてる。このままでは溺死する!

急いで禁書でナイフを出しロープを切ろうとする。

しかし、焦っているせいでなかなか切れない。

沈みゆく体と焦りでだんだん息が限界に近づく。

もう、限界。

止めていた息が切れる―――それと同時にロープも切れる。

必死に手足を動かし水面に向かっていく。なんとか既のところで息継ぎが間に合う。それと同時に裁判所に場面が移る。


「あらあら、まだ裁判は開廷したばかりですわ」

「ははは、殺意マシマシじゃん」

「ふふ、たっぷり楽しんでくださいまし!」


そう言ってまたガベルの音が響き渡った。

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