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5 冒険者ギルド

街の外側に向かいぶらぶら歩いて行くとインク屋を見付けることが出来た。メイドに聞いていた場所よりも近いところに見付けた。何軒かあるのか。

店に入って行くと、其処に、ゴツイ防具と大きな剣を身につけた男がいた。その隣には華奢な女の人が居て、魔法使いのローブを着ている。彼女も魔法を使うのか。僕は興味津々で見ていた。

「チョット!この間買ったインク、全然効果が無かったわよ。返品して!」

「そう言われましても、もう使い切っていらっしゃるので。返品は勘弁してください。代わりのものを格安でおわけいたしますので。」

女はそこで引き下がり、代わりのインクを買って帰っていった。

「本当にたちが悪い冒険者だ。何時も難癖を付けては値切って行きやがる。」

店主がブツブツ言っていた。僕はここでは買わないでおこう。と思い適当に見てから、その店を出た。

「冒険者か。其れも、面白そうだ。だが魔法だけでは危険だな。剣の使い方を習うか。」


僕はメイドに紹介された店でインクを3瓶買い、その足で冒険者ギルドに行ってみた。

大きな建物で、外壁に直ぐの場所にあった。南門の直ぐ近くだ。僕が入ってきた門の隣の門だった。

沢山の冒険者達が其処に併設された酒場でたむろしていた。僕はこの中では背の高い方だ。しかし上には上が居る。2メートル越えの巨漢も二,三人居た。彼等は大きな盾を横に置き何やら騒いでいたが、近づくのは辞めておこう。怖すぎる。

受付の場所は奥の方だ。そちらに向かい歩いて行く。受付は中年の男が殆どだった。

セオリー通りなら、綺麗なお姉さんが居るはずなのにここは男ばかりだった。然も皆怖そうな顔だ。

考えてみれば、荒くれ共を御せるのは、女性では難しい。こんな男達が相手の方が良いに決まっている。

「すみません。ここに登録するには何か資格が必要ですか?」

「資格だあ?そんなもんはねえよ。やりたけりゃあ、なんか魔物を倒してきな。そうすりゃあ、今日からでもお前は冒険者さ。」

そうなんだ。余り働く環境が良いとは言えなそうだ。いつでも成れるなら、今で無くてもいいや。

そのまま其処を出て帰路についた。


屋敷に着くとその日の夕方、領主が来た。

僕は領主の執務室に呼び出された。

「トーリ君。君は才能があると教師には言われている。私の所で働いてみないかね。」

突然そう言われて僕は面食らった。確かに何時までもやっかいになるのは気が引けていた。このままこの異世界で生きて行かなければならないのなら、何か仕事を探さなければならない。

「少し考えさせてください。」

「君。今日冒険者ギルドに行ったそうだね。あそこは辞めなさい。君のような才能ある若者が行くところでは無いよ。」

僕は監視されているのか?嫌な気分になった。

「はい。」

と言ってその場を辞したが、僕は良く考えて行動しなければならない。領主は悪い人間では無さそうだが、僕を監視すると言うことは、未だ何か疑いがあるのだろう。僕は親切でここまで来たが、ここでは違う思惑があるのかも知れない。他の地域に行ってもうすこし自由な場所で生活したい。


仕方がないので、当分は領主のお手伝いという形にして貰った。

僕は未だ勉強したいのでと言う理由だ。嘘は言っていない。実際、魔方陣の書き方を教師に習いに行っているのだから。

領主のお手伝いとは名ばかりで僕には仕事らしい仕事は回ってこなかった。

そこで騎士団に行って、剣術を習うことにした。これも異世界チートが遺憾なく発揮された。日本ではスポーツはそれなりに熟したが、剣の使い方など、習ったことは無かった。しかしいざ、騎士団長の手ほどきを受けると、めきめき実力が付いた。

なんなのだろうな。さして時間が掛からずに、これも早々に免許皆伝だ。後は実際に戦って修練していくと言いと言われてしまった。毎朝の自主練が僕の日課になった。

目標は、直ぐになくなってしまった。後はここを出て行くだけだが、どういう風に切り出せば良いのだろう。お世話になったので、言い出しにくい。


「トーリ君。君は、アレス真教徒では無いかね?」

「え?なんですか其れは。ここの宗教ですか?」

「いや、違うが。そうか君は違うようだな。だったら良いんだ、気にしないでくれ。ところで、トーリ君は、これからどうしたいかね。どうも、此処に仕官する気は無いように見受けられるが。」

丁度良い。思い切って言ってみよう。

「僕は、田舎から出てきたばかりで、他の街もみてみたいと思っています。」

「そうか。残念だが、仕方がないな。では、私から、ドルンの街に手紙を出すから、其れを持って行ってみなさい。これまでのお礼だ。君のおかげで今があるのだ。」

僕はドルンという町は何処にあるかも分らないが、兎に角ここを出ることが出来そうだ。


ドルンの街は、ここからかなり離れた場所にあるらしい。このカルマとドルンの街の間には、小さな村がいくつかあるだけだ。要するに離れてはいるが、隣町と言う事だ。

領主は飛竜も貸してくれた。あの飛竜とは別の飛竜だ。乗り捨てても大丈夫、勝手に帰ってくる。と言う事だった。

領主は最後に、「疑っていて済まなかった。」と謝ってくれた。

何でも、アレス真教というのは過激な宗教団体で、今回の領主を嵌めた一派らしい。

そりゃ、疑って当然だ。僕は快く謝罪を受入れた。




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